2月26日から世界ジュニアフィギュアスケート選手権が台湾・台北市で開催される。
ジュニア世代の世界一を決める今大会。
高橋大輔、羽生結弦、宇野昌磨、鍵山優真、浅田真央、坂本花織も、この世界ジュニアを経験してオリンピックメダリストへと駆けあがった。
この世界ジュニアに出場する注目選手を紹介。さらに、2016年の世界ジュニアで金メダルを獲得し、開催地・台湾にも思い入れのある本田真凜に今大会の見どころを聞いた。
女子、男子、ペア、アイスダンス注目の日本勢
女子シングルには、3名が日本代表として出場する。
この記事の画像(11枚)去年ジュニア1年目にして世界ジュニアを制し、ユース五輪で日本女子シングル史上初の金メダルを獲得した島田麻央が、日本人史上初の世界ジュニア連覇を目指す。
さらに、ジュニア1年目にして全日本選手権で4位に入った上薗恋奈、全日本ジュニア選手権で初の表彰台にのぼった櫛田育良が初出場する。
男子シングルは3人全員が初出場だ。
去年の全日本ジュニア選手権で初優勝を飾った高校3年生の中村俊介。今季JGPファイナルを制した中田璃士、ユース五輪日本代表の垣内珀琉が出場。
ペアは結成1年目の清水咲衣・本田ルーカス剛史組が初出場。
世界ジュニアは2人が今季最大の目標として掲げていた大会だ。本田は2021年にシングルで出場して以来の世界ジュニアのリンクに立つ。
アイスダンスは、JGPグダニスク大会で銅メダルに輝いたジュニア期待の新星カップル、岸本彩良・⽥村篤彦組。
結成2年目の“さらあつ”は、日本勢初のトップ10入りが期待されている。
“女王”に輝いた大会に再び
その世界ジュニアで2016年に金メダルを獲得したのが、1月に引退を表明した本田真凜だ。
今大会が開催される台湾は、本田にとって2014年アジアンフィギュア杯ノービスクラスで3位になった場所で、アイスショーでも訪れた。
さらに世界ジュニア女王になった翌年に行われた2017年の世界ジュニア舞台でもあり、本田もかなりの思い入れがあるという。
その本田は、世界ジュニアで“フィールドキャスター”として、初のキャスターに挑む。
大会2週間前には木下アカデミーで練習に励む、島田の取材も行った。
これまでは取材を受ける側だったが、取材をする側を経験した本田。
「普段の練習やみんなの裏側を実際に見ることができて、新しく学ぶこともありました。選手それぞれ練習の仕方があったり、当時の私のコーチの教え方も少しずつ進化していることもあったので、いろんなことが新しくなったと感じました」
選手の話を聞く“取材”について、本田は過去の経験から「自分がリラックスしていることが大事」だと感じたという。
「2年くらい前に初めて聞く側としてインタビューさせていただいた時は、本当にガチガチで。自分が緊張していたら、選手のみんなが緊張しちゃうかなと思ったので、リラックスしながら選手それぞれの良さや意見を引き出せたんじゃないかなと思います」
「これからがスタート」コーチのエール
そして本田が現役時代、師事していた濱田美栄コーチとも対面。
新たなチャレンジを始めた本田に濱田コーチからのエールも送られた。
久しぶりに濱田コーチと会った本田は「何年かぶりにゆっくりお話できたので、すごく懐かしい気持ちになりました」と再会をうれしそうにする。
多くの選手らが師事し、現在も勢いのある選手らを見ている濱田コーチは「上に立ってからが難しいでしょ。あなたも分かると思うけど」と本田に語りかける。
「真凜を見ていた時よりもいっぱい、いろいろな人を見てきた。(千葉)百音ちゃんもやっとスタートだねって。今からスタートだよって。
良かった時に、こうやってみなさんが来ていただける。それからがスタートだよ、ということを大事にしている。そう言えるようになったのは私の経験だと思う。キスクラでうれしいけど、そこで必ず0って言っている。悲しくても0って。
ここで全部終わって、もう次は次のことを考えないと違う方にいってしまうよって。すごく嬉しいのはあの日だけ、悲しいのもあの日だけ。前に進めないしね」
アスリートとしての本田の成長を見てきた濱田コーチは、本田の努力にも触れた。
「お姉さんになった。妹の面倒をよく見る、お弁当を作っていて、いいお姉ちゃんだったよね。本当に小さいときに紗来のお弁当を作ったり、よくやったよね。全部自分で用意して全部自分でやって。偉かったよね」
こう褒められた本田は「またお会いできると思っていなかったので。すごくうれしいです」と微笑む。
「これからがあなたのスタートじゃない。今からが大事だから頑張ってください」と濱田コーチは背中を押した。
本田の新たなスタートとなる世界ジュニア。
キャスターとしての抱負を「長年フィギュアの選手として戦ってきたこともあり、分かり合えることもたくさんある。自分にしか出せない選手の魅力を、これからもどんどん引き出していけるように頑張っていきたい」と意気込む。
その見どころを本田は「日本のジュニアの選手は素晴らしい選手ばかり。その中で勝ち抜いた選手が世界ジュニアに行くということで、現地で見られるのが楽しみです。選手それぞれに聞いた目標や理想に近い演技をみんなができれば私は嬉しいです」と語った。