子どもが不登校になったことをきっかけに、広島県安芸高田市でフリースクールを立ち上げた女性がいる。「一度きりの人生を思い切り楽しませてあげたい」という思いを込め、不登校の子どもたちの気持ちを理解し、受け止める。その「居場所」を密着取材した。
You only Live Once=YOLO
風情のある古い街並みが広がる安芸高田市吉田町。この町の一角に築80年を越えた古民家がある。安芸高田市初のフリースクール「YOLO(ヨロ)」だ。
![フリースクール「YOLO」](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/e/b/700mw/img_eb29ae092e6e5c04d8d24ffbb8af8652485594.jpg)
2023年10月に「YOLO(ヨロ)」を立ち上げたのは坂田雅美さん。
Q:「YOLO」はどんな意味?
坂田雅美さん:
”You only Live Once”という言葉から。「一度きりの人生、思い切り楽しませてあげたいし、一緒に楽しもう」みたいな意味を込めた
![坂田雅美さん](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/2/e/700mw/img_2ed2065743c518472ae7e9f22e5b74b2539913.jpg)
文部科学省の調査によると、2022年度、全国の小中学校における不登校の児童・生徒数は過去最多となる約30万人にのぼる。背景には、いじめや教師とのトラブル、新型コロナによる生活環境の変化などが挙げられている。
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自分の子どもが不登校に 親の会をつくる
「YOLO」には様々な理由で学校に馴染めなかった子どもたちがやってくる。
3人の子どもを育てながら看護師として、以前病院に勤務していた坂田さんは7年ほど前、自分の子どもが小学校に行けなくなってしまった。
![フリースクール「YOLO」](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/b/2/700mw/img_b2c3890a66b02747afe8f84061cdabdb451363.jpg)
予測しなかった事態に誰にも相談できず、坂田さんは一人思い詰めたという。
坂田雅美さん:
子どもの問題だけど、やっぱり私が一番近くにいるので、この子をちゃんとさせないといけないとか、行き場も逃げ場もないって言ったらどうしようもないけど、受け止めるしかなかった
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この経験をきっかけに同じ悩みを抱える親同士の会を結成。子どもたちの言葉がきっかけに…。
不登校の子どもたちが「自分たちの居場所をつくりたい」
坂田雅美さん:
我が子を含めて不登校の子がたくさん増えていて”悩んでいる”という声を聞いていた。親が元気になろうということで親の会を設立して、子どもたちがそれを見ていて「私たちの居場所を作りたい」と言ったのがきっかけです
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その子どもたちの思いにこたえるため、「たった1度の人生、自分が輝ける場所を」との思いを込め、フリースクールの立ち上げを決心。
坂田雅美さん:
学校に行けない子とか、悩んでる子たちが堂々と行ける場所にしようと
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「学校は従わせるだけ」
「YOLO」は現在、週に4日開校していて、5人の子どもたちが通う。
台所で坂田さんに教わりながら、昼食を作るのは中学2年生の大悟くん。
Q:きょう何作るの?
大悟くん:
何を作るか…
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大悟くんは今、学校での生活に疑問を抱いている。
大悟くん:
学校での”こう生きなさい”という常識が嫌いなだけ。なんかもう従わせるばっかりな感じ
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素直ないまの思いを打ち明けてくれた大悟くん。
Q:大悟くんはどんなお子さんですか?
坂田雅美さん:
めっちゃいい子です。もう素直で最高です
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Q:だって大悟くん。照れる?
大悟くん:
いや…
坂田雅美さん:
普段から言ってるもんね、割とね
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坂田雅美さん:
なんかいろいろ考えとかも、マイペースのようで、めっちゃ、いろいろ深く考えて、こちらが驚かされることもある。なので、子どもだからって、あなどっちゃいけんなって思わされる
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子どもたちがやりたいことをできる“居心地がいい場所”に
「子どもたちの考えや思いを尊重する」。それが坂田さんのモットー。
この日、子どもたちが提案したのは部屋に”水槽を置くこと”だ。まずは魚を捕まえるため近所の川にやってきた。
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子どもたち:
お!やった!バケツ持ってきて。メダカの赤ちゃん。
夢中で魚とりに興じる子どもたち。
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Q:のびのびしていますね
坂田雅美さん:
そうですね。外の方がやっぱり好きなことやっているんで集中している。基本的にYOLOは、こどもたちの居心地がいい場所にしたいので、子どもたちの好きなもので溢れている、そういう場所を作りたいなと思っている
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子どもが、子どもらしくいられるのは、ほんのわずか。坂田さんの思いは大悟くんにも伝わっている。
Q:YOLOをどんな場所にしたい?
大悟くん:
”自由に過ごしたい”って言ったら、そう過ごせる場所がいいんじゃないか。それが過ごしやすい場所なんじゃないかと
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子どもたちと「人生の道しるべを一緒に探す」
坂田雅美さん:
この子たちも今こうやって過ごしてますけど、学校に行きたいって思うタイミングがあれば、いつでも学校に行って、学校で自分の力が発揮できたらいいと思う。その子が、その子なりにいきいきと生きて行けるなら、その選択肢を私たちは全力で応援する
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子育ての悩みに真剣に向き合ってきた坂田さん。これからは人生の道しるべを一緒に探していきたいという。
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坂田雅美さん:
私たち自身が楽しんでる姿を見てもらうことが、子どもたちが、こういう形もあっていいのかなって思うきっかけの一つになると思う。子ども自身が自信を持って生活していけるように、私たちは、できる限り、子どもに寄り添いたいと思っています
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自分の“居場所”がないと感じる子どもたちにとっては、“シェルター”のような存在の「YOLO」。「一度きりの人生を思い切り楽しもう」というフリースクールの名前に込めた目標に向け、坂田さんの挑戦は続く。
(テレビ新広島)