元日に発生した能登半島地震。いつ起こるかわらない地震に備えようと、静岡県富士宮市の小学校で防災授業が行われた。被災地に移住経験のある教師が企画した授業は、ゆれた時の机の下への避難は「お尻は出しても頭は隠して」と教える。彼女の思いは、子供たちに伝わっただろうか。
危険な場所はどこにでもある
この記事の画像(9枚)2024年1月19日 静岡県富士宮市の大富士小学校で行われた防災授業。授業を担当するのは、1年1組の中川優芽 先生だ。
大富士小学校・中川優芽 先生:
あのような大きな地震(能登半島地震)が起きて、本当にいつ起こるかわからないということを感じた。(防災について)伝えてこなかったら、きっと後悔すると思った
防災教育に力を入れている中川優芽 先生。大学院で防災について研究しながら2年間 岩手県釜石市に移り住んだ経験を活かし、これまでもさまざまな防災授業を行ってきた。
この日は「地震が起きたらどうする?」をテーマに、危険から身を守る方法を考える。保護者が見守る中、全教室をオンラインでつなぎ全校児童が参加した。
授業では教室の中で「落ちてきそうなもの」「倒れてきそうなもの」「移動してきそうなもの」はどんなものがあるか、中川先生は児童に質問をした。児童はテレビや棚、黒板など教室にある身近なものをあげていた。
そして中川先生は「こういった危険なものから命を守るためには頭と首を守ることが大事。避難訓練の時に机の下にもぐるのは頭と首を守るため。もぐるときは膝を床につけること、そして机の脚は上の方を持つこと」と説明した。
教室に潜む危険や様々な場所に危険が潜むことを学び、児童は命を守る方法を実践する。机の下にもぐった児童が実際にしっかり机を持つことができているか、中川先生が一人ひとりの机を揺らして確認していく。中川先生は「お尻は出ても、まずは頭と首を守って」と児童に訴える。
大事なのは命を守ること。
授業を受けた児童は「机の下にもぐるときは机の脚の上を持つこと」「ロッカーの中身が落ちてくることもあるので避難するときは周りを見る」「地震について深く考えたことがなかったので、この機会にもっと調べたい」と訓練を通して多くのことを学んだようだ。
子供たちの命を守りたい
続けて行われた避難訓練。能登半島地震を踏まえ、児童の表情には緊張感もうかがえた。
訓練を終え、中川先生は「みんな真剣にやっていた。今まで(机の下に正しくもぐることを)やったことがなかった子がほとんどだったので確認できたのでは」と話してくれた。
この後 児童はグラウンドへ避難する。訓練では4年ぶりに保護者への児童の引き渡しも行われた。参加した保護者も「初めて子供との避難訓練で、リアリティのある感じでやれた」「帰り道での避難先なども確認しておきたい」と防災意識を高めていた。
新型コロナウイルスの影響などで3年間はやっていなかったが、やはり実際にやってみると気づくこともあるようだ。
いつ起こるか分からない地震。だからこそ、子供たちに防災意識を高めてほしいと中川先生は願っている。
大富士小学校・中川優芽 先生:
学校が命を落とす場所ではあってはならないとすごく思っている。子供たちの命 自分の命を守れるように、これからも防災教育を頑張っていきたい
学校で命を落としてほしくない。そして子供たちに防災意識を高めてほしいという中川先生の願いは、きっと子供たちに届いただろう。
(テレビ静岡)