日本中に大好きな方が多数いる『ラーメン』。実は今、倒産する店が増えているという。そこにはラーメン業界特有の厳しい「壁」があった。

【動画】ラーメン業界苦しめる「1000円の壁」 倒産ラッシュのラーメン店 ファンが多くても閉店の悲劇

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あったかいスープに、つるつるの麺。日本人の国民食とも言えるラーメン。しかし今、苦境に立たされている店は多い。

兵庫県西宮市で25年以上営業を続けていた「にしのみやラーメン」。豚骨や鶏ガラのスープに海老エキスを加え、白菜がたっぷり入ったあっさり系のラーメンが名物で、長年、地元の人たちに愛されてきた。

――どのくらいの頻度で?

15年来の常連客:週1くらいでしょうかね。食べ応えといいますか、味はもちろんなんですけど。

15年来の常連客:スープが特徴的なので、とんこつラーメンとかみそラーメンでもなくて、『にしのみやラーメン』っていうジャンルで成り立ってる。

 しかし、1月末に店を閉めることを決めた。

一番の要因となったのが「物価高」だ。

にしのみやラーメンオーナー 秦一晶さん:スーパーでも買い物されたら値段上がってるのは感じられると思うんですけど、僕ら店はスーパーよりも安く仕入れてきてたもので、スーパーが1.5倍になってるところを僕らは2倍になってたりするところもあるので。

オーナーの秦さんによると、チャーシューに使う輸入物の肉が、5年前は1キロ当たり約600円だったのに対し、2023年末には約900円にまで値上がりしたと言う。さらに…

にしのみやラーメンオーナー 秦一晶さん:『1000円の壁』っていうところですかね。やっぱり。

ラーメン業界で叫ばれる「1000円の壁」。

この店では、物価の上昇に伴い、値上げすることもあったが、1000円を超えると客離れにつながるのではと考え、全てのラーメンを1000円以下で提供していた。しかし度重なる物価の上昇で、値上げも限界を迎え、店を閉める判断をした。

こうした影響などで閉店する店は多く、東京商工リサーチによると、2023年、倒産や休廃業をしたラーメン店は合わせて74件と過去最多となった。

■営業最終日 多くのファンが 「地元帰ってきてこのラーメンが食べれないのは悲しい」

営業最終日、店内には閉店を惜しむ多くの客が集まった。

最終日に訪れた客:いや~でも悲しいね~。10回くらい来とったから。思い出の味

最終日に訪れた客:『人生で一番好きなラーメン屋がここ』って後輩が言ってて。(最終日に)来れないっていうんで、気持ちは代理で(来ました)。すごいさみしいですね、本当においしいラーメンで。

15年来の常連客:幼稚園くらいから(食べている)。来年から地元離れるんで、社会人になって。帰ってきてこのラーメンが食べれないのは悲しいかなって。

にしのみやラーメンオーナー 秦一晶さん:ありがとう
15年来の常連客:また作ってください

にしのみやラーメンオーナー 秦一晶さん:最後、おしゃべりできるお客さんとたくさんおしゃべりさせてもらえたんで、僕はもうやり残したことはないですね。ありがとうございます。ばいばい。

ファンが多くても閉店することになったラーメン店。今も多くの店が苦境に立たされている。

(関西テレビ「newsランナー」 2024年2月5日放送)

関西テレビ
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