年明け早々、悪い意味で注目を浴びている静岡県の川勝平太 知事。能登半島地震の被災地支援に向けた会議を欠席した上、同時間帯に賀詞交歓会に出席していたからだ。しかし、15日の定例会見でも謝罪の言葉はなかった。

会議を欠席した首長は静岡だけだが…

「欠席したのではない。県として危機管理のトップが出席している。支援に支障を来たしたわけでは一切ない」

1月15日の定例記者会見で川勝知事はこう語気を強めた。

能登半島地震に際して、1月4日にオンラインで開かれた自治体間の連絡会議に川勝知事が欠席しただけでなく、同時間帯に地元新聞社主催の賀詞交歓会に参加していたことへの批判が強まっている問題を受けてだ。

連絡会議に代理を立てた首長は静岡だけ(1月4日)
連絡会議に代理を立てた首長は静岡だけ(1月4日)
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石川や静岡、愛知など中部地方の9県と名古屋市が災害時に相互に協力し合う協定を結んでいることから開かれた前述の会議だが、首長本人が欠席し、代理出席を立てたのは川勝知事ただ一人だった。

”抗議”の文面を手渡す自民改革会議・増田代表(1月11日)
”抗議”の文面を手渡す自民改革会議・増田代表(1月11日)

この問題について、県議会の最大会派・自民改革会議と第3会派・公明党県議団は11日に「静岡県の危機管理を預かるトップの判断として、極めて不適切。今回の件は、ただ単に知事がひとつの公務を放棄したことにとどまらず、知事及び県庁組織の危機管理に対する意識の低さが露呈したものとみなされる」などと抗議したが、川勝知事はそれに先立ち、「我々は先行して救援に入っていた。ですから、あとは(会議で話を)聞くだけということ」と、自らの正当性を主張している。

定例記者会見でも謝罪の言葉はなく

その認識は今日に至るまで改まることはなく、川勝知事は15日の定例記者会見でも当然のことながら謝罪の言葉を口にしなかった。

川勝知事は、まず「心配されている向きもあるが、会議で話すべきことは事前に被災地の馳知事に電話で伝えており、また本県の危機管理体制は非常にしっかり出来ているわけだが、そのトップは危機管理監。従って危機管理監が代理出席した。代理出席も可能ということであり、支援に一切支障はなかったと考えている」と強調。

川勝知事の定例記者会見(1月15日)
川勝知事の定例記者会見(1月15日)

その上で、「その時間は各界の代表が集まる賀詞交歓会があったので、私は賀詞交歓会でいま静岡県が行っていること(支援)を説明するということで、そちらを優先した」と悪びれることなく述べた。

会議内容を暗に批判し…自身を正当化

当然のことながら、記者からは「賀詞交歓会を優先すべきなのか?」という質問が投げかけられたが、「役割分担。私と危機管理監は一体。元々、代理出席可ということで、実務的なことについて今やっていることをすべて統括しているのは危機管理監なので、むしろ他の県もそういう方が出た方が良かったと思う。会議の中身を見てみると、戦略を立てるというよりも、これからやっていくことの共同歩調ということだったのではないか?(静岡県は)やるべきことをやって支援しているので、私は支援の状況を賀詞交歓会の席で話せるようになった」と持論を展開。

さらに、「問題はまったくない。被災地のために仕事をしているので失礼なことをしたと思っていない」と断言した。

また、“防災先進県”を自負しているだけに県庁組織の実力には自信を持っているのか、「(静岡県の)危機管理は万全の体制が整えられている。私が仮に突然倒れても、副知事以下、危機管理監が代理をすると決められている。今回(の会議)は全国知事会の村井会長(=宮城県・村井嘉浩 知事)から『対口支援について、それぞれの自治体間で個別に調整を進めてほしい』ということだったが、それはこの時点で終わっていた。終わっているどころかアクションを起こしていた」と胸を張った川勝知事。

そして、「危機管理監が出席していたが、発言をしなかったのがちょっと悔やまれる。我々がやっていることを説明すれば、一歩も二歩も前を行っていたので、『支援を待っている』『支援をお願いする可能性がある』『協力したい』『混乱しているので整理してほしい』とか、そういう意見が(出席した)知事から寄せられているが、我々は(対口支援先が)穴水町ということで、そこに集中して、近くの輪島や能登町に広げていくという方針を決めていた。そのことを危機管理監が言わなかったので、何もしていないかのごとく受け取られたのは本当に残念」と、他の自治体を暗に蔑むかのような発言まで飛び出した。

職員から知事に助言…驚きの内容とは?

川勝知事によれば、1月4日の日中に職員から「(連絡会議には)危機管理監が出るので、賀詞交歓会で現状を話してくださいという助言」があったそうだ。

もし、これが事実であるならば川勝知事も川勝知事だが、県職員も県職員だ。

南海トラフ巨大地震が心配される静岡県。被災した際には大きな被害が予想され、静岡県だけの力では到底、救助や捜索、被災者支援に対応することが出来ないのは言うまでもない。その時に、一連の対応や発言を見聞きした他の自治体が「静岡県を助けたい」と思ってくれるのだろうか…。

(テレビ静岡)

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