政治資金パーティーをめぐる“裏金”疑惑について、東京地検特捜部による捜査を受けている自民党の最大派閥・安倍派。事実上のトップを務める塩谷立 座長は23日、地元の県議・市議との会合に“厳戒態勢”で臨んだ。

“裏金”疑惑に揺れる自民・最大派閥

自民党の最大派閥・清和政策研究会(通称・安倍派)をめぐっては、政治資金パーティーの収入の一部について、政治資金収支報告書に記載しないまま議員側にキックバックし、議員側も収支報告書に収入として記載していなかった疑いが持たれている。

安倍派事務所への家宅捜索(12月19日)
安倍派事務所への家宅捜索(12月19日)
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一連の金の流れは実質的な“裏金”作りの温床となっていた可能性もあり、東京地検特捜部は12月19日、派閥事務所へ家宅捜索に入った。

地元・浜松市で取材に応じた塩谷座長(12月10日)
地元・浜松市で取材に応じた塩谷座長(12月10日)

これに先立ち、10日には安倍派で事実上のトップを務める塩谷立 座長が取材に応じたものの、「現在、事実確認をしている」「現在、精査中なので、いまそれぞれの捜査が進んでいる中で、まだ具体的なことを申し上げる段階ではないと思っている」「まだ申し上げられない。精査している最中」などと繰り返し、派閥に関わる疑惑も自身に関わる疑惑も詳細な言及を避けた。

地元県議・市議との会合が開かれるも…

こうした中、塩谷座長が地盤とする衆議院静岡8区エリアの県議・市議の集まる会合が23日に開かれ塩谷座長も出席した。

ただ、会合が行われる建物の入り口付近に報道陣が数社いることを察した塩谷座長は“裏口”を使ったようで、誰にもわからぬ形でひっそりと会場に入室。

会合が行われた建物入り口(12月23日)
会合が行われた建物入り口(12月23日)

会合は非公開だったが、関係者によると冒頭まず塩谷座長が「迷惑をかけて申し訳ない」と謝罪したという。

しかし、肝心の内容については「自分もよくわかっていない」とした上で、「捜査中」を理由にまたしても詳細な説明を避け、自身が受領したキックバックの総額についてもはっきりとしたことは言わなかったそうだ。

出席者の中には次の衆議院議員選挙への立候補の意思を問う人もいたとのことだが塩谷座長は明言を避け、「支援者にどのように説明したらよいのか?」という質問に対しては「然るべきタイミングで説明すると話してほしい」と返答したという。

さらに、この問題に関する会見の開催を勧める声が上がったものの、これについては拒否。

不記載などを認めた宮澤議員(12月13日)
不記載などを認めた宮澤議員(12月13日)

加えて、安倍派をめぐっては塩谷座長と選挙区が隣り合う前防衛副大臣の宮澤博行 議員がキックバックを受領していたこと、収支報告書に記載しなくてよいと派閥から指示を受けていたこと、この件についてかん口令が敷かれていたことを明らかにしていることから、「窮地に立たされていることを理解しているのか?」と詰め寄られる場面もあったそうだが塩谷座長は無言を貫き、出席者はただただ不満を募らせる結果となった。

消化不良の結果に不満が増幅…

このため、会合終了後の出席者からは「本人から詳細な内容を聞きたかった。今後の進退についてでも話があれば、まだ支援者への説明にもなるのに話がかみ合わなかった」との声も漏れてきた。

また、出席者によれば安倍派の“裏金”疑惑が浮上した当初、塩谷座長の秘書が地元の支援者に対して「塩谷は関与していない」と説明して回っていたことも、反発が強まっている要因になっているという。

一方、当の塩谷座長本人は再び報道陣を避ける形で帰路についた。

説明を避け続ける塩谷座長(2021年撮影)
説明を避け続ける塩谷座長(2021年撮影)

これまでに塩谷座長は東京地検特捜部から任意の事情聴取に応じたことがわかっている。さらに言えば、元々この“裏金”疑惑は塩谷座長がキックバックに関して「そういう話はあったと思う」と述べたことで疑念が深まったという経緯がある。

今後、支援者に対して“お詫び行脚”に出向くことを予定しているというが今のところ日程は未定で、2023年も残り1週間を切る中、本人の口から何も語られることなく、霧の晴れない年越しとなってしまうのだろうか。

(テレビ静岡)

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