FNNの12月の世論調査で、岸田内閣の不支持率が71.9%まで上昇、先月に比べ3.1ポイント上がり、政権発足以来初めて7割台に突入した。

派閥の政治資金パーティーの不記載問題や、安倍派から所属議員への裏金キックバック疑惑などが、政権をさらに窮地に追い込みつつある状況がうかがえる世論調査となった。

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【岸田内閣の内閣支持率】
支持する  22.5%
支持しない 71.9%
FNN世論調査で(12月9日・10日、全国の18歳以上の男女を対象に、電話世論調査・RDD方式)

 内閣「支持しない」71.9% 政権幹部が警戒する“不支持率の上昇”

 岸田首相に限らず、歴代の政権幹部が支持率低下に対して使う“常とう句”に、「一喜一憂」しない、というフレーズがある。
本心は気になるところだろう、と推察しながら聞く言葉だが、安倍政権当時、政権幹部から「本当に、それほど気にしない部分もある」ということを聞いた。
その政権幹部は「どんな政策も支持率100%の政策はない、新たな政策を表明・着手した当初、一定の割合から反対意見が出ることには一喜一憂しない、国民が望む成果になるように実現に専念するだけだ」と話した。
ただ、この政権幹部の話には続きがある。「気にしているのは不支持の上昇だ、離れた支持は戻り得るが、いったん『不支持』に振れると、何をやっても戻ってこない、ここは警戒しないといけない」ということだった。

この政権運営の経験談が岸田政権にもあてはまるなら、政権に対し「不支持」に振れた人が初の70%台に突入したことは、政権の深刻なダメージを表すものだと言えるかもしれない。

止まらない自民支持層の岸田政権離れ 派閥の裏金疑惑に自民党支持層からも厳しい声

不支持率の上昇がどこからくるのか、世論調査を分析すると、政権の岩盤支持である自民党支持層が削り落ちている状況が浮かび上がる。

直近6カ月(7月~12月)の世論調査で、自民党支持層での内閣「不支持率」を見ると、7月19.4%、8月18.6%、9月22.0%、10月21.8%と2割前後が続いていた。
しかし、政権運営の“危険水域”といわれる、支持率が2割台に落ち込んだ11月になると、自民党支持層での不支持率は、11月33.5%と1.5倍に跳ね上がり、12月38.1%と、さらに5ポイント近く不支持率が高まった。

【自民党支持層の内閣支持率】
    内閣支持  内閣不支持
7月   77.0%   19.4%
8月   77.6%   18.6%
9月   73.0%   22.0%
10月   73.6%   21.8%
11月   64.5%   33.5%
12月   53.8%   38.1%

12月調査までに自民党で明らかになったのは、政治資金の不記載問題、派閥の裏金、松野官房長官や安倍派幹部議員らの1000万円超のキックバック不記載疑惑など、古くは自民党の体質と批判されてきた「政治とカネ」の問題だ。

今回の調査では、3つの質問でこれを聞いた。
(1)派閥での政治資金の不記載、安倍派での裏金疑惑に対する党・派閥の対応
(2)松野官房長官(当時)が安倍派からの1000万円超の裏金疑惑に「精査する」との説明にとどめていること
(3)こうした問題が指摘される派閥について

この3問では、有権者全体ではいずれも9割前後が「問題がある」「納得できない」と答えた。

同じ質問を、自民党支持層に限って分析してみると、いずれも有権者全体とほぼ同じく8割以上が、「問題がある」「納得できない」と答えた。
自民党支持層も、今回の「政治とカネ」の問題には、厳しい目線を向けていることが明らかになった。

【政治資金 自民・派閥の対応(有権者全体)】
問題がある  93.2%
問題はない  5.8%

【政治資金 自民・派閥の対応(自民党支持層)】
問題がある  89.3%
問題はない   9.3%

【松野官房長官の説明(有権者全体)】
納得できる    8.9%
納得できない   87.4%

【松野官房長官の説明(自民党支持層)】
納得できる    15.4%
納得できない   81.8%

【政治資金の問題が指摘された派閥について(有権者全体)】
問題がある     88.3%
問題はない     10.4%

【政治資金の問題が指摘された派閥について(自民党支持層)】
問題がある     80.3%
問題はない     10.4%

自民支持層の“岸田離れ”で岸田政権はどうなるのか

来年9月の「任期満了までは岸田総理」が最多 “小石河”候補が上位3人の定位置

ここまでは、有権者全体の意見と、自民党支持層の岸田離れが、同じベクトルでうかがえる調査の分析から浮き彫りになった。
ところが、岸田首相の続投時期については、有権者全体と自民党支持層で、くっきりと違う結果となった。

有権者全体では、「すぐに交代」との答えは40.5%となったが、自民党支持層では「すぐに交代」を望む声は18.2%にとどまり、「来年9月の総裁任期まで」が57.8%と、圧倒的な答えが任期満了までの続投を望む声が強かった。

【岸田首相にどのくらい首相を続けてほしいか(有権者全体)】
すぐに交代          40.5%
来年9月の自民総裁任期まで  46.3%
来年9月以降も継続      9.3%

【岸田首相にどのくらい首相を続けてほしいか(自民党支持層)】
すぐに交代          18.2%
来年9月の自民総裁任期まで  57.8%
来年9月以降も継続      20.6%

この数字の意味するところは、「自民党支持者は、とはいえまだ岸田首相の継続を望む」という額面通りの意味合いではないだろう。
それは、自民党支持者が選ぶ次の首相にふさわしい人は誰か、という質問で明らかになる。
上位3人は、小泉元環境相、石破元幹事長、河野デジタル相で、不動の3人となっている。
一方の岸田首相は、この2カ月で急激に自民党支持層内での支持を下げている。

では、なぜその岸田首相の続投を来年の総裁選まで望む声が圧倒的に高いのかという疑問が残る。
それは、自民支持層のうち、岸田総理を支持する理由について、「他によい人がいない」39.7%、「自民党中心の内閣だから」36.3%との結果から考察できる。

自民党の4割は「他によい人がいない」と考え、別の4割は「自民党政権が続いてほしいと思っている」ので、それらの支持層は、当面自民党の規定通り9月の総裁任期満了まで、他にいい人もいないので、“消極的”に岸田首相が続投することで、自民党政権が続く、という思いが見えてくる。

【次の首相にふさわしい人 上位5人の顔ぶれ(自民党支持層)】
            12月    11月   10月
小泉進次郎元環境相   21.8%   14.9%   15.5%
石破茂自民元幹事長   17.5%   17.4%   11.3% 
河野太郎デジタル相   15.8%   15.2%   13.9%
岸田首相        5.5%    7.5%   14.6%
高市経済安保相     5.5%    7.7%    8.4%

【岸田首相を支持する理由 (自民党支持層)】
他によい人がいないから    39.7%
自民党中心の内閣だから    36.3%
岸田総理の人柄が信頼できる  12.6%
実行力に期待できる       7.5%
政策がよいから         3.3%

調査の範囲内で2024年を展望してみる。

9月の自民党総裁任期までに、「岸田離れ」をしている自民党支持層の動きをつかむ候補が現れてくると、総裁選湯力候補者になっていくというのが、本命のシナリオとなる。
「小石河」議員や連携する議員が、自民党新総裁の動きに大きな影響力を持つ筆頭になることが想定される。

一方で、岸田首相は、来年夏には、物価高対策と賃上げの効果が実感できるようにする、と訴えている。
経済対策の成果を目に見えるものとし、支持の回復を目指す機会は、年明け通常国会が終わりにさしかかってくる6月頃になってくるだろう。
ただし、岸田首相本人も今は「正念場」と言っている通り、この政権への逆風のさなか、支持回復のシナリオへの期待は、極めて低いのが現状だ。

そのうえで、考えられるシナリオ通りに行かないのが永田町の常で、来年9月の総裁選を待たずに、自民党内の動きが、あわただしさを増す2024年になることは間違いない。

西垣壮一郎
西垣壮一郎

フジテレビ報道局 政治部デスク 世論調査担当
2000年から政治部担当で報道記者・報道番組プロデューサーを歴任。
政治部官邸キャップ、自民党キャップ、野党キャップなどを担当。
ワシントン支局特派員(ブッシュ政権~オバマ政権)「BSフジLIVEプライムニュース」総合演出、「日曜報道 THE PRIME」プロデューサーなどを経て現職。
趣味は釣り。