FNNの12月の世論調査で、岸田内閣の支持率は22.5%、11月より5.3ポイント下がった。
10月以来、支持率は3カ月連続で過去最低となるとともに、内閣の“危険水域”ともいわれる支持率20%台が2カ月連続した。また内閣不支持率が、岸田政権発足以来、初めて7割台に上昇した。
FNNは、12月9日・10日の両日、全国の18歳以上の男女を対象に、電話世論調査(固定電話+携帯電話・RDD方式)を実施し、1035人から回答を得た。
【岸田内閣への支持】
支持する 22.5%
支持しない 71.9%
自民党派閥の政治資金パーティー収入をめぐる疑惑が広がり続けている。5派閥で政治資金パーティーの収入の一部が収支報告書に記載されていないことが判明したほか、安倍派では、複数の所属議員に1000万円超のキックバックがあり、事実上の裏金となっていた疑惑で捜査が進んでいる。こうした疑惑に対する自民党や派閥の対応に、92.6%が「問題がある」と答えた。
また、政治資金パーティーの疑惑は、岸田政権の中枢を担う、松野官房長官にも指摘された。派閥から1000万円超のキックバックを受けて、収支報告書に記載しなかった疑惑について、連日の官房長官会見で記者からの質問に対し、「政府の立場として会見を行っていて、この場ではお答えできない」と繰り返した。
また国会でも野党が、キックバックを受け取ったのか疑惑について追及を続けたが「自らの政治団体について精査したい」と、あらゆる場所で捜査が行われていることと、安倍派が調査を行っていることなどを理由に、明確な説明を拒み続けた。
こうした対応に有権者の87.4%が「納得できない」と答えた。
【政治資金 自民・派閥の対応】
大いに問題がある 72.6%
やや問題がある 20.6%
あまり問題はない 4.8%
全く問題はない 1.0%
【松野官房長官の説明】
納得できる 8.9%
納得できない 87.4%
自民党の疑惑は、裏金の規模が拡大し、他派閥への広がりも指摘されるなど収束にはほど遠い。こうした中、不透明な政治資金の温床となった派閥のあり方について、「問題がある」との答えが88.3%に上った。
さらに、自民党総裁としての岸田首相の責任についても87.7%が「問題がある」と答えた。
【政治資金の問題が指摘された派閥について】
大いに問題がある 51.9%
やや問題がある 36.4%
あまり問題はない 8.1%
まったく問題はない 2.3%
【岸田首相の責任について】
大いに責任がある 50.9%
やや責任がある 36.8%
あまり責任はない 9.1%
全く責任はない 2.1%
岸田首相肝いりの経済対策7割超が「期待しない」
こうした中、世論調査では、臨時国会で、岸田首相が掲げる7万円の給付や、4万円の定額減税などを盛り込んだ、経済対策の裏付けとなる補正予算が成立した。
これを受けて、経済対策が、持続的な賃上げや、物価高対策として効果が出るか期待を聞いたところ、「期待しない」との意見が74.7%で、「期待する」の24.4%を大きく上回った。
【岸田首相の経済対策の効果への期待】
大いに期待する 7.4%
やや期待する 17.0%
あまり期待しない 36.7%
まったく期待しない 38.0%
一方で、レギュラーガソリン価格の高騰が続いた場合、ガソリンへの課税の一部を引き下げて、ガソリン価格の抑制につなげる「トリガー条項」を検討するように、岸田首相が、自民・公明・国民民主との協議を党幹部に指示したことについては「評価する」との答えが65.1%で、「評価しない」の29.0%を大きく上回った。
【岸田首相がガソリン価格抑制に「トリガー条項」の検討を指示】
評価する 65.1%
評価しない 29.0%
また臨時国会では、メインテーマとなった経済対策をめぐる審議で与野党の攻防が続いた一方で、与野党が一致して対応にあたった法案もあった。
旧統一教会の被害者救済に向けた法案審議では、自民・公明・国民各党が、立憲・維新と法案修正協議を行った。結果的に、自公国案を一部修正する形で、解散命令請求を受けた宗教団体の財産監視を強化する法案で、一部野党を除く、与野党が賛成して衆議院を通過した。今国会で成立する見通しとなった。
その上で、法案が旧統一教会の被害者救済につながるかどうかを質問したところ「救済につながる」44.8%、「救済につながらない」43.7%と意見が分かれた。
【旧統一教会被害者救済法で救済につながるか】
救済につながる 44.8%
救済につながらない 43.7%
岸田首相 「すぐに交代」が4割「次の総理」上位は「小石河」
12月13日まで国会での諸課題のほか、閉会後も自民党の派閥の政治資金をめぐる疑惑の捜査が続くとみられる。岸田首相にいつまで総理大臣を続けてほしいか聞いたところ、「すぐに交代してほしい」が40.5%、「来年9月の総裁任期まで」が46.3%、「来年9月以降も続けてほしい」は9.3%となった。
【岸田首相にいつまで続けて欲しいか】
すぐに交代 40.5%
来年9月の総裁任期まで 46.3%
来年9月以降も続投 9.3%
「すぐに交代」「来年9月の総裁任期の満了まで」を足し合わせると、86%に上ることから、有権者は、来年秋までのどこかで、別の総理・総裁になることが望ましいと考えていると言える。
そこで「次の総理大臣にふさわしい人」を聞いたところ、自民・石破茂元幹事長(18.2%)、小泉進次郎元環境相(16.0%)、河野太郎デジタル相(11.9%)の3人が上位を占めた。
この「小石河」3議員は、調査のたびに、順番や数字が変わるものの、上位3人を頻繁に占める常連の顔ぶれだ。ただし今回は、自民党の派閥の政治資金疑惑がクローズアップされる中、無派閥の石破氏、小泉氏と議員が、麻生派の河野氏を上回る結果となった。
一方、岸田首相は、内閣支持率が“危険水域”と言われる3割を割り込んだ11月に、一気に2%台に数字が落ち込み、12月もほぼ同様に2.5%で、7番手となった。
【次の総理大臣に一番ふさわしいと思う人】
石破茂 自民元幹事長 18.2%
小泉進次郎 元環境相 16.0%
河野太郎 デジタル相 11.9%
高市早苗 経済安保相 5.4%
上川陽子 外相 4.3%
菅義偉 前首相 4.2%
岸田文雄 首相 2.5%
泉健太 立憲代表 1.4%
林芳正 前外相 1.0%
野田聖子 元少子化相 0.9%
茂木敏充 自民幹事長 0.8%
西村康稔 経産相 0.6%
萩生田光一 自民政調会長 0.4%
馬場伸幸 日本維新の会代表 0.1%
この中にはいない 25.6%
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはならない。