7月3日に公示された参院選。鹿児島選挙区は、長年自民党が議席を守ってきた“保守王国”に異変の兆しが見える。自民党公認を巡る分裂、野党勢力の結集、新興勢力の台頭…。4人が立候補して争う構図となった。物価高や農業問題など生活に直結する争点が山積する中、各候補はどんな訴えで有権者に迫るのか、注目の選挙戦が幕を開けた。
同じ自民党から公募、明暗分かれた二人
今回の選挙戦は議席を長年守り続けてきた自民党現職・尾辻秀久議員(84)の勇退に伴う争いだが、注目されるのは、尾辻議員と同じ自民党の元職・園田修光氏(68)と、尾辻議員の三女である新人・尾辻朋実氏(44)の対決だ。
自民党県連が尾辻議員の後任を選ぶために行った公募に、園田氏と尾辻氏の2人も参加し、選考の結果、園田氏が公認を獲得した。一部の県議からは選考結果への不満も漏れたが、園田氏は各地で集会を開くなど組織固めを進め、公明党からも推薦を受けている。

3日の出陣式では自民党の国会議員に加え、塩田知事や鹿児島市の下鶴市長も応援弁士として登壇。陣営関係者は「県議や友好団体の多さを生かしながら園田さんの訴えを広めたい」と組織戦を展開する構えだ。
自民党選考に漏れた尾辻氏、野党からの支持を獲得
一方、選考に漏れた尾辻氏は立憲民主党からの提案で推薦を受け、連合鹿児島も推薦を決定。さらに公示5日前には、共産党から立候補予定だった女性が一本化に応じて尾辻氏の支援を表明するなど、自民党現職の娘でありながら野党から広く支持を集めた。

出陣式では立憲の国会議員や県議会の県民連合関係者も集まり、尾辻氏の陣営は「保守・野党関係なく幅広く支持を得たい」と意気込みを示した。
参政党とNHK党も参戦、四つどもえの戦い
選挙戦には園田氏と尾辻氏以外に、参政党の新人・牧野俊一氏(39)とNHK党の新人・山本貴平氏(50)も加わる。牧野氏は救急医として勤務しながらの選挙戦で、3日の出陣式は夜勤明けで行った。参政党は6月の東京都議選で初めて議席を獲得するなど支持を拡大中で、県内にも5人の地方議員がいる。参政党の神谷代表は「鹿児島は支援者に熱があり期待できる」と話している。

NHK党の山本氏は公示前日の2日夜に立候補を発表。鹿児島での活動実績が少なく、出陣式も1人で行うなか、どれだけ支持を広げられるかが課題だ。

出陣式で見えた各候補の訴え
尾辻氏の出発式では壇上に上がった応援弁士6人全員が現状について不満を述べ、「変える」というキーワードを口にした。尾辻氏の演説は冒頭、父親である尾辻秀久議員の言葉を引用して始まり、3分弱の話の中で大企業や都会が一人勝ちをしていると危機感をあらわにした上で、「今こそ政治を変えないといけない」と力を込めた。
牧野氏は炎天下、約15分にわたり演説を行った。前半では減税に応じない自民党を批判し、その後は「物やサービスの供給能力を上げる」などと自身の訴えを展開した。
園田氏がマイクを握ったのは8分半ほどで、その半分以上の時間を使い県議や国会議員を務めた過去の実績をアピールした。一方、鹿児島選出の衆議院議員、自民党、森山幹事長は他県での応援に入っていたため園田氏の式には出席できず祝電を寄せた。
県庁前で1人でマイクを握った山本氏は、約4分半の演説のほとんどで「ルールを守らない違法外国人が増加している」として「今動かないと将来日本が日本人のための国ではなくなる可能性がある」と訴えた。
2001年以降の構図が変わるか
2001年に鹿児島選挙区が2人区から1人区に変わって以降、参院選では自民党公認候補が議席を獲得してきた。しかし、2024年の衆院選では裏金問題の影響などから4議席のうち自民党公認候補が勝利できたのは1議席のみと逆風も吹いている。
今回の参院選では物価高対策や米問題など生活に直結する争点も多く、選挙戦の行方が注目される。すでに4日から期日前投票が始まっているが、投票日は7月20日で即日開票される。
*KTSホームページ内に参院選特設サイトを開設しています
(鹿児島テレビ)