GPシリーズ2戦に出場し、スケートアメリカで3位、フィンランド大会で2位だった、佐藤駿(19)。
惜しくもファイナルを逃すことになったが、確かな手応えを実感しているという。
今年は、北京五輪アイスダンス金メダリストのギヨーム・ジゼロンにフリーの振付を依頼し、「自分のイメージを変えたい」と臨んできた。
その佐藤は12月21日から開幕する全日本フィギュアスケート選手権で「トップを目指す」と宣言する。
ジゼロンに教わった「基礎の大切さ」
5種類の4回転を操ることができ、“ジャンプの天才”と呼ばれる佐藤駿。
今シーズンのフリーは、多彩なバリエーションを持ち、情感たっぷりのスケーティングに定評のあるジゼロンから表現力を学び、世界一の表現力と“ジャンプの天才”が融合したプログラムで成長を遂げている。

「今までジャンプが一番優先で、ジャンプしか考えてなかった。でも今、ジャンプは二の次で、ステップやつなぎといった部分を意識できるようになって、(ジゼロンから教わったのは)良い経験でした。
振付の前にスケーティングを一緒にやって、難しいのとかあるのかなと思っていたら、意外と簡単な基礎だったりして、本当に基礎の基礎はたくさんやらなきゃダメなんだと感じました」

先日、宮城・仙台市に新たなアイススケートリンク「ゼビオアリーナ仙台」が開設されることが決まった。
通年型のリンクは「アイスリンク仙台」のみで、仙台に2カ所目のリンクが誕生する。
仙台出身の佐藤は、その「アイスリンク仙台」で、幼い頃から練習に励んできた。

仙台の地でトップを目指す選手の練習環境が整備されてきたことに「オリンピックに出るような選手たちが、仙台からたくさん出てくると思う。練習環境も良くなると思うし、これから頑張ってほしい」と未来のスケーターにエールを送る。

佐藤からすると「アイスリンク仙台」は原点のような場所でもあり「数年前に一度滑って、すごく懐かしいなと思いました。そこで『活躍を見ているよ』と言ってくれて、すごく励みになっています。
あそこでトリプルアクセルや4回転サルコーもある程度、跳んでいたので、ジャンプの原点でもあり、仙台で滑ったからこそ、今のジャンプがあるのかなと思っているので感謝しかないです」と振り返った。
GPシリーズ2戦で受けた刺激
今シーズンは、9月の東京選手権に出場し2位に。
東日本選手権ではショート、フリーともにノーミスでそろえ、ISU非公認ながら自己ベスト284.87点を出し、圧巻の演技を披露した。

しかし、その大会のキスクラで佐藤の笑顔はなく、続くGPシリーズフィンランド大会や全日本をすでに見据え「ここからだ」と気を引き締めていた。
そして、GPシリーズ2戦を、佐藤は「率直に、頑張ったんじゃないかな」と振り返る。

「良かったところ、悪かったところもあって。特にフィンランド大会ではショート・フリーともに良い演技ができた。自己ベストも更新することができましたし、良い試合になったんじゃないかと思います」
GPシリーズの舞台に立ったことで、佐藤はさらなる刺激を受けたともいう。

「300点が当たり前というか、300点を出す選手が何人もいるという世界になってきている。
今のままでファイナルに行っても、出るだけで終わってしまったり、戦いにすらならない状況だと思う。
濃密な演技は大前提として、そこからさらにジャンプの種類、4回転の種類などを増やしていけたら」

続けて「そもそも予定構成で負けているので、まずは予定構成を同じぐらいまでに持っていけるようにしないとダメだったなと感じています」と話す。
目前に迫る全日本に向けて構成を上げていくかどうかは「調子と相談」だという。
4回転ルッツの成功と気持ちで負けない
佐藤には幼少期からともにライバル関係の3人組がいる。
『関東卍ボーイズ』として鍵山優真、三浦佳生とともに今でも互いに高めあっている。
そんなライバルたちと、全日本で再びぶつかり合う。

「本当に誰が勝ってもおかしくないような現状だと思う。僕にとっては、4回転ルッツや、高難易度の4回転なのかなと思っているので、そこで大きな加点を入れられたらいいのかな」
佐藤は4回転ルッツの成功が結果に大きく左右されるとした上で、ライバルの戦いぶりをみてある発見があると語る。

「足りない部分としては、気持ちですかね。例を挙げると(三浦)佳生は、特に情熱的な感じ。なんかもう、すごく気持ちを自分で高めて、どれだけ緊張していても、それを跳ねのけるぐらいのパワーがある。
僕はそういった緊張とかに負けちゃったりする試合が多いなって感じているので。トップ選手になると、自信もすごく高いと思うので、そういった気持ちの面を高めていけたら」
「トップ」を目指す
佐藤にとって今年の全日本は、7年連続7回目の出場になる。
去年の全日本は4位で、惜しくも表彰台を逃してしまった。

ジュニアの頃は「あまりプレッシャーとかなくのびのびできていたんですけど、シニアにあがってからは、かなりプレッシャーというか、緊張を感じる試合になった。意識も変わってきて、シーズンを通して一番大事な試合だと感じています」と話す。
「今まで全日本であまりいい演技をした覚えがないので、まずここでしっかりといい演技をしたい。今までで一番仕上がっている全日本だと思う。あと、気持ちの面で負けないように頑張りたい」

その全日本に向けての目標を「全日本ではショート・フリー共にノーミスをして、東日本(選手権)よりも高い点数を出して、表彰台を目指して…、トップを目指して頑張りたいと思います。いつも『表彰台』と言っているんですけど、ここは“トップ”を目指して頑張ります!」
全日本までの道の詳しい概要はフジスケでhttps://www.fujitv.co.jp/sports/skate/figure/index.html
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