12月21日から開幕する全日本フィギュアスケート選手権。
今シーズン、本格的なシニアデビューを果たした千葉百音。

去年の全日本でSP71.06点と自己ベストを更新。SP3位スタートで、FSは初の最終グループ入りし、緊張感の中、総合5位と過去最高の成績を収めた。
さらに推薦された四大陸選手権でも、その実力を遺憾なく発揮し、3位に輝いた。
大躍進を遂げた昨シーズンだったが、千葉はオフシーズンに大きな決断をした。
この決断の裏には、千葉が見据える2026年のミラノ・コルティナ五輪があった。
移籍は次の五輪を見据えて決断
現在、18歳の千葉。6歳から12年滑った地元・宮城のアイスリンク仙台に別れを告げ、5月に京都・木下アカデミーへ移籍した。
千葉本人から田中総司コーチに移籍の希望を伝えたという。

高校3年生の千葉は、大学進学のタイミングではなく、このタイミングで決断をする。それは、約2年後のミラノ・コルティナ五輪を見据えてのものだった。
さらにリンクの先輩である羽生結弦さんもソチ五輪の2年前、高校3年生でトロントへ拠点を移すなど移籍のタイミングが被っているのも不思議なつながりだ。
仙台のリンクから京都・木下アカデミーへ移籍した初日、千葉に話を聞くと「全体的に充実している」と新たな練習拠点の環境に満足していた。

「ずっと考えながらジャンプしていて頭が疲れました。体もずっと動いていたのでもちろん疲れたんですけど、それよりも頭で考えながらジャンプのフォームを跳んでいたので、まだこれからどんどん、もっとよりよいフォームになっていかないと。
(木下アカデミーは)全体的に充実しすぎている。バレエはなかなか時間が取れなくてできなかったのが、プログラムに組み込まれて、日常的にできるって素晴らしいなって思います。氷上の練習も曲かけし放題ですし、いい環境で滑れているのはありがたいです」
それでも、一緒に練習した木下アカデミーの生徒らには圧倒されたようで、千葉は移籍について「今の時期が一番いいかなと思いました」と話す。
仙台が第1、次が第2ステージ
「正直移籍についてすごく悩みました。悩んだし、今シーズン(2022-2023シーズン)も100%まではいかなかったけど、自分の中でいい演技ができた試合も多かった。
高3まで仙台にいようか、それか移籍しようか、すごく悩んだんですけど、やっぱり自分のスケート人生、2026年のオリンピックにピークを合わせたいので。
それに向けてさらに成長していくためには、やっぱり移籍のタイミングは、今しかないかなって考えて、移籍の決断に至りました」

約2年、田中コーチのもとで過ごした千葉。その田中コーチは「仙台の2年間が第1ステージ、これからが第2ステージ」と千葉に期待し、移籍を後押しした。

「田中コーチのもとで教わったことは決して無駄にならないと思います。自分のいいところ、直していくべきところを誰よりも自分が繊細に感じ取らないといけない。田中コーチに教えていただいたことも思い出しながら、前にさらに成長していけたらなと思います」
そんな千葉のシニア1年目、そして千葉の新天地で迎えるシーズンが始まった。
今は「一番キツいところ!」
10月には近畿選手権デビューし、2位で終えた千葉。
GPシリーズ第1戦スケートアメリカに派遣され、GPデビュー戦も果たし、堂々の演技でSP5位につける。
ところがFSは自身にとって不本意な内容だったようで、全体6位で終え、演技後には唇を噛みしめた。
続くフランス大会でも、全体9位と思うような結果は出なかった。

ここまでのシーズンを振り返り、千葉は「登山で言うと真ん中くらい。一番キツいところ!」と苦笑する。
そして「シニア1年目で初めてのことがたくさんあって。まだ完全に慣れていないところと、思い通りに行かない大会もたくさん。その中でも学ぶことも多かったので、ゴールまであとちょっと、そういう感じはまだないけど、ただひたすら頑張る!って感じです」と気を引き締めていた。
「メンタル面もそうですけど、それ以前に体力的な面も。ちょっとスポーツ喘息になったりして。今は薬を服用したりする治療も始めて、練習でいい感じになってきて、自分の中で100%、120%の練習がもっともっとこれからできていかないといけないので、これからです」
自分らしくのびのびと演技できるように
今季、本格的にシニアデビューをした千葉は、ジュニアのときとは違うシーズンの流れにまだ戸惑っているとも言う。
「一緒に出ている周りの選手が、テレビで今まで見てきた憧れの選手の方々ばかりで。自分が同じ大会に出ているっていう感覚が、なんか実感が湧かないまま迎えた試合も多くて。
その実感がつかめてないにしろ、ちゃんと自分の演技、自分の演技の芯をしっかり持って演技するべきだったなと思います。少し周りに流されてしまったところが、シニアの大会に出ての反省、課題点だったと思います」

去年はジュニアとして出場し、最高の成績を収めた千葉。
シニアとして挑む今回の全日本は心境も異なるが、毎年掲げていることは心掛けていきたいと語る。
「今まで全日本ジュニアで一度ピークを迎えて、それから全日本に出ていたので。今回は全日本にそのピークを迎えて試合に臨むので、シニア1年目の全日本として、真っさらな気持ちで、自分らしく、のびのびと。
これは毎年言っていますけど、“自分らしくのびのびとした、自分らしい演技ができるように”頑張ります」
全日本までの道の詳しい概要はフジスケでhttps://www.fujitv.co.jp/sports/skate/figure/index.html
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