北京五輪メダリスト・樋口新葉は休養を経て今季、戦いのリンクに戻ってきた。

樋口はここまでGPシリーズ2戦に出場し、いずれも5位という成績を残し、12月21日から開幕する全日本選手権では表彰台を狙っている。

シーズンを通し“勝負の眼”に変わっていった樋口。

全日本前に靴を新調し、「トリプルアクセルを間に合わせたい」と意欲を見せる。

新調したスケート靴で挑む全日本

12月5日、3日前に新調した靴を履き、調整を続ける樋口の姿があった。

新調した靴で全日本に挑むようで「まだエッジの調整中で、うまくジャンプは跳べなかった」とアクセルやサルコウをそれぞれ跳びながら、何度もネジを強めたり緩めたりするなど、入念な調整を繰り返していた。

新調した靴の調整をする樋口
新調した靴の調整をする樋口
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靴の調整をしていた小杉スケート・鷹取吾一さんは「アクセルやサルコウが跳びにくいとのことだったので、その調整をしています。ジャンプによって角度が変わるので、本人の踏切やすいところにつけてあげるという感じです」と話す。

小杉さんに靴の調整をしてもらう樋口
小杉さんに靴の調整をしてもらう樋口

「すごく素敵なスケートをしているので、できればトリプルアクセルを決めて本人がすごく良い演技ができればいいなと思っています」と、戦いのリンクに戻ってきた樋口をサポートしていきたいと期待を募らせた。

トリプルアクセルに挑んだ直近大会

今年7月に競技会復帰を果たした樋口は、GPシリーズで久しぶりの国際大会に出場した。

GPシリーズフランス大会、NHK杯を樋口は「海外の選手と試合をするのが久しぶりだったので、全日本までの練習試合のような感覚で挑めるといいなと考えていました。

結果ももちろん求めてはいましたが、自分が練習してきたことを出したいという気持ちが強かったので、結果として順位はあまり良くなかったかもしれないですけど、すごく自信のつく試合になった」と振り返る。

こうした国際大会で樋口は、武器でもある大技、トリプルアクセルに挑戦していた。

トリプルアクセルを投入した理由を語る樋口
トリプルアクセルを投入した理由を語る樋口

NHK杯でトリプルアクセルを投入した理由を「自分がもともと持っているレベルにまで戻したいと、復帰して滑ってきて思いました。調子のいい状態が戻ってきているので、アクセルも練習してみたら跳べるんじゃないかなと思って、練習を始めました。

NHK杯の6分間練習で、一応オーバーターンでしたが、片足では下りていたので、このまま練習していったら、いい状態に持っていけるんじゃないかなと思っています」と語る。

新調した靴でジャンプの練習に励む樋口
新調した靴でジャンプの練習に励む樋口

全日本までにトリプルアクセルは「間に合わせたいなと思うんですけど、本当に自分次第だなと思います」と気を引き締めていた。

2020年の全日本でトリプルアクセルに挑戦
2020年の全日本でトリプルアクセルに挑戦

そのトリプルアクセルをかつて樋口は「すごい側へ行く」ための武器として、2020年の長野で行われた全日本で挑戦している。

五輪出場よりも初めての全日本が印象的

今年の全日本は、同じ長野・ビッグハットで行われる。

樋口にとって、初めて全日本に出場した縁のある会場だった。

そして、これまで印象深い大会を樋口は、2014年の全日本だと話す。

2014年に初出場した全日本で3位表彰台にのぼった樋口
2014年に初出場した全日本で3位表彰台にのぼった樋口

「最初に出た全日本が長野で、めちゃくちゃ緊張して。緊張した中でも、自分の演技ができたなと思うんですけど、もう本当に、ものすごい緊張感だったのを覚えています」

当時全日本ジュニアで優勝した樋口は、ジュニア1年目の13歳で3位表彰台にのぼった。

「最初に出た大会が印象的で、五輪予選はあまり覚えていないんです」と、五輪出場を決めた全日本以上に、初めて出場した大会の方が鮮明に覚えていると語る。

今回2年ぶり9回目の全日本で、3度目のビッグハットは、樋口にとって復帰戦だ。

その全日本で掲げるテーマは「笑顔で終わる」こと。そして「表彰台を狙う」こと。

「本当に納得して笑顔で終われたらいいなと思っています。できるだけのことをやって、やってきたことを全部出したい」

表彰台を狙う目標は「ブレていない」

復帰の今シーズンは試合で「楽しむ」ことを大事にしながら、勝負への闘志も忘れてはいないという。

「楽しむことも大きな目標ですが、楽しむためには結果を残さなきゃいけないなと思いますし、自分が練習でしてきたことを試合でも発揮することが、1つの楽しめる理由になると思う。

もちろん試合をしているので勝ちたいのは当然ですし、こだわりたい。いろいろしんどい部分も含めて楽しめるようになったらいいなと思いながら、シーズンを迎えたなと思います」

練習のためスケート靴をはく樋口
練習のためスケート靴をはく樋口

復帰後の7月に聞いたときから、「表彰台を狙う」という全日本への目標は「ブレていない」と力強い目で真っすぐ見つめる樋口。

コーチと笑い合う樋口
コーチと笑い合う樋口

現在2連覇中の坂本花織や島田麻央ら、表彰台に絡むライバル勢は「あまり気にしていない」と言い、「自分がやってきたことを出せば結果がついてくる」と意気込む。

「GPシリーズの2戦ともショートもフリーをそろえられなかったので、まずは2つそろえること。ショートで70点、フリーで140点ぐらい出したいので、具体的な全日本の目標はそこに設定したいです」

全日本までの道の詳しい概要はフジスケで!https://www.fujitv.co.jp/sports/skate/figure/index.html
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フィギュアスケート取材班
フィギュアスケート取材班