昨シーズン、GPファイナルで2位、世界選手権にも出場した山本草太(23)。
12月21日から開幕する全日本フィギュアスケート選手権に向けて、山本は「気持ちよく終われたことがないので、笑顔で終わりたい」と意気込む。
今シーズンは、GPシリーズに2戦出場するも「昨シーズンに比べると山あり谷あり」と語る山本。
7年連続10回目となる全日本に向けて抱く思いを聞いた。
世界選手権に初選出も悔しい結果に
昨シーズン、山本草太の快進撃はすさまじかった。
GPシリーズ2戦で自身初の2位表彰台にのぼり、GPファイナルでも2位と成績を残した。

全日本選手権では5位と悔しい結果にはなったが、全日本までの成績も加味され、世界選手権代表に初選出される。
しかし、その世界選手権では15位と、本来の力を発揮することはできなかった。

「昨シーズンは自分もすごく調子がいい状態でシーズンを迎えることができましたし、GPシリーズとGPファイナルと、シーズン序盤・中盤はすごく調子が良く、しっかり結果を残せました。
その結果を踏まえて期待してくださり、(世界選手権へ)選考してくださったと思うのですが、その期待に応えられなかったのはすごく悔しかったです」

山本はショートプログラムを振付師のデヴィッド・ウィルソンに振り付けしてもらい、そこでの会話を受けて、「ニュー草太」を今シーズンのテーマに掲げた。
「今シーズン、いろいろな取り組みをしてきました。世界選手権を良い結果で終われなかったので、自分としては追い込まれている状況で。全日本で今年、表彰台にのぼっても僕が選ばれるかわかりません。
でも、今シーズンは全日本の舞台で表彰台を目標にしているので、まずは自分がやるべきことを出し切って、そこを目指しながら頑張っていきたい」
今シーズンは「山あり谷あり」
今シーズンの山本は、GPシリーズ第2戦スケートカナダで初優勝を果たし、幸先のよいスタートを切った。
この優勝を機にGPファイナルの切符争いで最も優位に立つが、続く第4戦中国大会ではフリーでシーズンベストを更新するも、ショートの出遅れが響き、順位をあげることができず、2年連続のファイナル進出を逃した。

「中国大会ですごく悔しい思いをして。そこから気持ちを切り替えるのも難しかったのですが、もう1回考え直して、自分を見つめ直す時間を設けて。
そこからはまた、練習に前向きに取りかかることができました。調子も上がってきて、自信は少しずつ出てきているところです」

夏頃の山本は「全日本の質問をされるだけで緊張する」と答えていた。
それでも全日本まで1カ月を切ったところで改めて聞くと「今はもう自分がやるべきことを淡々と日々積み重ねていて、緊張することは自覚していますし、緊張しないことはムリ。それを受け止めて、緊張しても練習してきたことが出せるように、日々練習しています」と語る。
「昨シーズンに比べると山あり谷あり、というか。
いい時もあれば、悪い時もあるという状況で、その中で自分の課題と向き合いながら少しずつ成長できている実感はあります。
しっかり全日本で力を出し切りたいのと、やってきたことを信じて本番ですべて出したいです」
今年こそは「笑顔で終わりたい」
山本は今回で7年連続10回目の全日本となる。
しかし、シニア転向後はその全日本で思うような結果が出せていない。

「全日本で良い演技をした記憶が本当にあまりないんです。シニアに上がってからは1回も気持ちよく終われたことがない。
晴れやかな気持ちで年末年始を過ごせたことがないので、今年こそ全日本で自分がやってきたことを全て出し切って、笑顔で終われたら。
自分の演技に集中すれば、その結果順位がついてくると思うので、まずは自分の演技に集中していきたいです」

「今までいい思い出がない」と語る山本だが、「いい思い出にする壁も高い」と話し、その壁を乗り越えるには日々の練習が重要だと何度も繰り返す。
「追い込まれているとかでもなく、もう吹っ切れた状態ではあるので、自分が練習してきたことをやるだけ。本当にそれだけ。
調子も悪くなく、ちょっと自信もあるので、全日本で『おお、やるやん』ってちょっとでも思ってもらえるように頑張りたいです」

今シーズンは「ニュー草太」を掲げ、「自分の中で新しい表現が詰まったプログラム。いろいろな新しい引き出しや表現が全面に出ていて、1試合1試合ずつ完成度を高めて、理想に近づけている段階。
ショートプログラムの『カメレオン』をやることで、この先、いろいろなプログラムに挑戦できると考えています」と話す。
その際には「まずは自分が楽しむこと」を意識し、山本自身が楽しんでいることを観客らにも感じてほしいという。

そうしたプログラムと思いを抱えて挑む全日本に向けて、山本はこう意気込む。
「表彰台を目標にしていますが、いつも結果を意識すると空回りするので。自分の演技に集中して、点数発表で『今から点数出るんか』ぐらいの気持ちで、意外とその方がうまくいっている気もするので。
前もってどれくらいの点数を出したいとか、この順位を取りたいというよりは、練習でやってきたこと、やりたいことを本番でやるだけ。点数がつく試合というより、練習してきたことを表現する場。そういった気持ちで全日本に挑んでいきます」
全日本までの道の詳しい概要はフジスケでhttps://www.fujitv.co.jp/sports/skate/figure/index.html
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