福島県西郷村に現れた土砂の山…県外から運び込まれたという。住民の頭に過るのは、大規模な盛り土が崩落したことによりにより28人が犠牲となった静岡県熱海市の土石流被害。「いつ崩れるか分からない」と不安を募らせている。
電柱より高く積み上げられた土砂
住宅脇にうず高く盛られた大量の土砂。高さは約10メートルに達するとみられる。この大量の土砂があるのが、福島県西郷村真船の私有地。
この記事の画像(12枚)西郷村では2022年9月と2023年7月、国道289号線近くにある2カ所の私有地で、土砂の搬入が行われるようになった。
関東ナンバーのダンプを目撃
近隣の住民によると、埼玉県や茨城県など関東ナンバーのダンプが深夜から早朝にかけて出入りし、土砂の山が形成されたという。近くで見てみると、土砂の中には鉄筋が混じっていたり、道路から投げ捨てられたとは言い難いゴミなどが見受けられた。
いつ崩れてくるか…心配
土砂の山の目の前に自宅がある女性は「心配で夜も眠れない」と話す。「いつ崩れてくるか分からないでしょう。この間も雨降ったのね、そしたら自宅の方に土や石がゴロゴロ流れてきて。心配だよね」と不安を口にする。
証拠を残しておかなければ
別の住民が11月10日に撮影した写真には、土砂の山に亀裂が入っているのが確認できる。撮影した男性は「まさか、こんな高く積もると思わなかった。これだけ高く積んだら静岡県熱海市の問題あったでしょ?そんなイメージあるから。証拠として写真に撮っておかなくてはいけないなと」
「地形見たら自宅側が低いから、うちはここに防波堤みたいなの作って土砂がこないようにしなくちゃいけないかなと考えている」と話す。
私有地のため規制できず
早朝に重機で土砂を埋め立てる音が響き渡ることもあり、西郷村には住民から騒音の苦情や盛り土を心配する声が相次いで寄せられている。
しかし、私有地のため現状では盛り土を規制する条例がなく、西郷村では土地の地権者や作業員に盛り土の中止を求めているが、取材した朝も1カ所で業者が出入りしているのが確認された。
運び込まれる土砂とともに募る住民の不安。西郷村は福島県に対し、盛り土を規制するための条例の制定を求めている。
多くの自治体 規制の法令・条例がない
静岡県熱海市では2年前、大規模な盛り土が崩落したことによりにより28人が犠牲となった。(※関連死を含む)これを受けて2023年5月には盛土規制法が施行された。ただ福島県内では、福島市を除くほとんどの自治体で盛り土を規制する法例も条例もないのが現状。
福島県の内堀知事は「土地の利用状況等をしっかり把握をした上で、関係部局が連携をして事業者等への協力を求めるなど、必要な対応を早急に検討していきたいと考えております」と話した。
福島県は西郷村にある土砂の山への対応を検討していて、盛り土を規制する区域の候補を2023年度内にとりまとめて、2025年5月までの適用を目指している。
(福島テレビ)