懲役8年の判決が下された福島県小野町で起きた傷害致死事件の裁判。判決公判後の会見に応じたのは、60歳女性、20代女性、そして19歳の男性だった。2023年から10代も裁判員裁判に参加する可能性がある、裁判員制度に注目した。

19歳も選出された裁判員裁判

2023年10月、福島県小野町の高齢者施設で入所する女性を暴行し、死亡させた罪に問われた元介護福祉士の被告。この裁判で、被告は「暴行はしていない」と無罪を主張。「被告が暴力をふるった場面を見た人はいない」など弁護側の主張もあったが、検察の求刑通りとなる懲役8年の判決が言い渡された。

傷害致死事件の裁判 求刑通り懲役8年の判決
傷害致死事件の裁判 求刑通り懲役8年の判決
この記事の画像(12枚)

経過や証言を証拠として

今回行われた形式が「裁判員裁判」。裁判員は有権者の中から無作為に選ばれるが、今回の裁判では10代の裁判員も審理に参加した。裁判員に選ばれた19歳の男性は「被告人が確定的にいつ暴行したかはわかりませんでしたが、時系列的に証言があった部分で照らし合わせました。判決にある通り、胃の中に食べ物が残っていないなど、その経過や証言を証拠として考慮しました」と話した。小野寺裁判長は「被告人の暴行でできたケガとしか考えられない」と結論付けている。

審理に参加した19歳の裁判員「経過や証言を証拠として考慮した」
審理に参加した19歳の裁判員「経過や証言を証拠として考慮した」

18歳と19歳も選ばれる可能性

2022年から18歳以上に引き下げられた成人年齢。これに応じて、2023年から18歳と19歳も裁判員に選ばれる可能性がある。2023年全国では、裁判員の候補者として約21万人に通知が送られているが、そのうち約3700人が18歳と19歳となっている。

2023年は約3700人が18・19歳の候補者
2023年は約3700人が18・19歳の候補者

参加したいけど不安

高校3年生から裁判員に選ばれる可能性があることを、若い世代は知っているのか話を聞くと「知っている」という返答が。中学や高校の授業で学んだという。

福島市で若い世代にインタビュー
福島市で若い世代にインタビュー

では、自分が裁判員として選ばれたら?と尋ねると「参加したい」としても不安を口にする人が多くいた。

21歳:できれば選ばれたくない。何をすればいいか分からないし、人の一生を左右する
19歳:不安はある。自分がそんな重大なことをやっていいのか
19歳:選ばれたからには社会のことを知れたらいい。当時の現場写真とか見て耐えきれるか不安はある
19歳:自分は参加しようと思う。社会経験がない中で、難しい裁判について考えるのが大変

62%が参加したくない

年代を問わず、SNSで「裁判員として裁判に参加したいか?」とアンケートをとったところ、「参加したくない」と答えた人が62.6%を占めた裁判員裁判。

福島テレビによるアンケート 62%が参加したくない
福島テレビによるアンケート 62%が参加したくない

一方、裁判員経験者からは参加を勧める積極的な意見が多く聞かれる中、このギャップをどう埋めていくのか?裁判員制度は、15年目の節目を迎えている。

経験者からは参加を勧める積極的な意見
経験者からは参加を勧める積極的な意見

裁判員は3回の抽選で選出

裁判員制度では、3回の抽選によって、裁判員が選ばれる。まず1回目…10月から11月頃になると、市町村の選挙管理委員会がくじを行いそれをもとに翌年の「裁判員候補者名簿」を作成する。そして、選ばれた人にお知らせと調査票が送られる。2022年は福島県では3000人が選ばれた。
調査票には「70歳以上・学生・生徒である」「重い病気やケガ」「仕事上の都合」などの設問が記載され、裁判所が認めれば辞退することができる。ただ、法務省によると原則辞退はできないという。

法務省によると原則辞退はできない
法務省によると原則辞退はできない

2回目は刑事裁判ごとに抽選

2回目は、翌年の刑事裁判ごとに抽選が行われる。そして、名簿から選ばれた裁判員候補者に対し、裁判の6週間前頃にお知らせと質問票を送る。2022年は、福島県では1095人が選ばれた。1回目同様、質問票で辞退を希望することができ、介護や養育、仕事上の都合、冠婚葬祭・妊娠中または出産直後など、こうした理由で辞退が認められた人以外は、3回目へと進むことになる。

2回目は、翌年の刑事裁判ごとに抽選
2回目は、翌年の刑事裁判ごとに抽選

3回目は裁判所で手続き

3回目は、裁判所に行って、再び「質問票」に記入する。事件と特別な関係はあるか?今回の事件を報道などで知っているか?など答え、裁判長が不公平な裁判をする恐れがないかなど確認。最終的に残った候補者から裁判員が選ばれる。

不公平な裁判をする恐れがないかなど確認
不公平な裁判をする恐れがないかなど確認

確率は満員のドームから2人?

福島県では、福島市と郡山市の2つの裁判所で裁判員裁判が行われる。2022年の選挙人名簿登録者数は、福島で45万2371人。そのうち選ばれた裁判員は15人。郡山は113万90人中44人。福島県の確率は2万6821分の1人で、0.0037%となる これは5万5000人収容の東京ドームから約2人が選ばれる計算。全国では1万7773分の1で0.0056%だという。

全国では1万7773分の1で0.0056%
全国では1万7773分の1で0.0056%

裁判員に交通費や日当は出る?

日当は、審理の時間に応じ一日あたり約1万円以内、交通費は一番経済的な経路や交通手段で裁判所に来た場合の費用が支払われる。

日当は審理の時間に応じ一日あたり約1万円以内
日当は審理の時間に応じ一日あたり約1万円以内

特定の職業や立場に偏らず、広く国民に参加してもらう裁判員制度。裁判員を務めた人からは「良い経験だった」という声が多く聞かれている。

(福島テレビ)

福島テレビ
福島テレビ

福島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。