3年ぶりに福岡ソフトバンクホークスのコーチに復帰した倉野信次コーチ(49)。アメリカに渡りコーチの武者修行、テキサス・レンジャーズ傘下の3Aの投手コーチを務めるなど異色経歴の持ち主だ。ホークスの投手陣再建を任されたキーマンを直撃した。

ホークスに育ててもらった恩を返す

投手陣再建の陣頭指揮を任せられた倉野コーチ。1軍投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手)と長~い肩書からも役割の大きさが伺える。

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倉野信次コーチ:
2年間、いないと「ここまで変わるんだな」っていうふうには思いましたね。雰囲気とかではなくて、選手が多分3分の1、知っているかどうかぐらい。要は選手が入れ替わっているっていうことなんですよね

指導者としてあえてホークス、古巣を選んだ理由を聞いた。

倉野信次コーチ:
ホークスからのオファーを聞いたときに、かなり力を必要としてくれた思いがすごく伝わったというか、僕はもう「ホークスに育ててもらった恩を返さなきゃ。返すべきだ」という決心をしまして、ホークスさんにまたお世話になると決めたんです

ホークス一筋の現役時代は王貞治監督の元、中継ぎ、先発として活躍。3歳違いの小久保裕紀監督とは青山学院大学時代からの旧知の仲だ。小久保監督も倉野コーチに全幅の信頼を寄せている。

小久保裕紀監督:
チームのなかを変えていくにあたって、一番僕のことを知ってくれている近い人を優先的にコーチをやってもらおうと。一番ポイントになってくるのは投手陣だと思うので。その点では倉野投手コーチが3年ぶりに戻ってきてくれましたし、特に先発投手をしっかり整備していく点も倉野コーチとは毎日連絡を取りながらやっています

投手王国再建へ陣頭指揮

千賀滉大投手(現ニューヨーク・メッツ)が抜けて一番期待が大きかったのは東浜巨投手と石川柊太投手だったが、千賀投手の穴を埋められなかった。エース不在の先発投手陣は、チーム最大の課題だ。

倉野信次コーチ:
2人はもうひと踏ん張りすれば、もっと先まで活躍できると思いますし、そういう意味ではすごく分岐点になる年(来シーズン)になるんじゃないかなと思います。だから僕も彼らには期待しているので、できるアドバイスをして行きたいと思います。ただ、それが全てではないし、彼らに頼り切るということはないですね。これはプロの世界なんでどうなるか分かりません。期待は大きいですけれど…

来シーズン、リリーフから先発に回る投手については「大津亮介(=2022年ドラフト2位)が一番じゃないですかね。大津のところが明確に変わったんじゃないかなというふうに思います」と語る。

倉野信次コーチ:
(大津投手に先発に回ってもらう理由は)やっぱり球種が豊富。そしてストライクが取れる。どの球種でもストライクが取れるっていうところで、長いイニングを投げるスキルがあると思っています

バージョンアップした「魔改造」

かつて千賀を育成からエースに育てたその手腕は「魔改造」とも言われた。アメリカのコーチング論も取り入れたそれは「魔改造2.0」にバージョンアップ。指導方法の日米での違いを聞いた。

倉野信次コーチ:
コーチングにおいては、とにかく数字と映像をしっかり使った、要は根拠のあるアプローチをするんですね。ボールの弾道測定分析機のトラックマンであったりラプソードであったり、それ以外の指標がたくさんあって、アメリカのようにちゃんと数字で表せられる部分においては、その数値を使いながら評価していくほうが、コーチの評価が分かれないのではないか。要は根拠のあるアプローチをするんですね。日本はどっちかというと、感覚とか経験で教えることって多いんですけれども、それもすごく大切なんですけれど

一方で、選手との距離感、感覚、感性を大事にする日本の良さも感じたという倉野コーチ。秋季キャンプでも、早速“倉野流”を打ち出している。

倉野信次コーチ:
(小久保監督がやりたい野球は)大学1年生のときのキャプテンでしたので、その時からのお付き合いというか、僕のなかではかなり理解はしているつもりですね。必ず日本一になるように最善の努力をしていきたいと強く思ってます

(テレビ西日本)

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