2025年に開催予定の大阪・関西万博は、11月30日で開催まで500日となった。

当初計画では建設費が1250億円だったところ、2度の増額見直しが行われ、会場建設費は2350億円に膨れ上がっている。

2350億円に膨張した万博の会場建設費 「このまま開催」は15%

FNN世論調査(11月11日・12日に実施)で、この現状での開催について聞いたところ、「このまま開催」が15.2%、「費用削減して開催」56.7%、「開催中止」26.9%となり、現状のままでの開催に8割が不満を持っていることが明らかになった。

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【大阪・関西万博の開催について】
▶このまま開催     15.2%
▶費用を削減して開催  56.7%
▶開催中止       26.9%

一方で、「このまま開催」「費用を削減して開催」をあわせると71%となる。費用の問題を解決すれば、7割は開催を容認しているともいえる。

さらに、調査を分析すると、大阪万博の開催については、地域によって温度差があることが明らかになった。「このまま開催」とする答えは、開催地大阪がある「近畿ブロック」では24.4%だった。2割を超えたのは近畿のみで、2005年に愛知万博が開かれた「東海ブロック」が近畿に次いで高く18.1%、「中国ブロック」が16/9%と続いた。一方で、最も低かったのが「九州ブロック」5.0%、「東北ブロック」9.1%と、飛行機や新幹線など交通機関を使った場合、大阪から“遠い”地域になるに従い「このまま開催」に対して厳しい結果となった。

【大阪・関西万博「このまま開催」】
▶近畿    24.4%
▶東海    18.1%
▶中国    16.9%
▶南関東   16.1%
▶東京都   15.3%
▶四国    14.8%
▶北海道   14.4%
▶北陸信越  13.7%
▶北関東   11.9%
▶東北     9.1%
▶九州     5.0%

「大阪万博を知らない世代」が期待する2025年大阪万博 

続いて、世代ごとに万博開催についての意見を分析してみる。

1970年の大阪万博当時はまだ生まれていなかった、40代以下から「このまま開催」の意見が高い実態が明らかになった。「20代以下」21.0%、「30代」25.1%、「40代」20.3%といずれも20%を超えた。一方で、70年大阪万博を知る50代以上では、年があがるにつれて「このまま開催」に厳しい意見となった。この傾向と一体で50代以上では「開催中止」を求める声がいずれも3割を超え、「開催中止」との答えが、1970年の大阪万博を知る世代で高い結果となった。

【世代別 大阪・関西万博「このまま開催」
▶30代    25.1%
▶20代以下  21.0%
▶40代    20.3%
▶50代    14.1%
▶60代    11.1%
▶70代以上  7.3%

【世代別 大阪・関西万博「開催中止」
▶70代以上  37.9%
▶60代    34.8%
▶50代    26.8%
▶40代    20.3%
▶20代以下  16.3%
▶30代    14.7%

大阪・関西万博には、与野党でも立場に違いがある。

自民党は11月30日の前売りチケット販売に先立ち大阪・関西万博推進本部を開くなど計画発足来推進の立場だ。一方で、野党第一党の立憲民主党は、国会で“万博の無駄”を追及している。さらに、強い勢力基盤を大阪に持つ日本維新の会は「レガシー」「経済効果」を標榜して、積極推進の立場だ。この3党の支持層での万博開催への期待を分析してみると。政党の立場に沿う結果となった。

【自民党支持層】
▶「このまま開催」20.7%
▶「費用を削減して開催」57.1%
▶「開催中止」21.3%

【立憲民主党支持層】
▶「このまま開催」10.9%
▶「費用を削減して開催」52.1%
▶「開催中止」35.9%

【日本維新の会支持層】
▶「このまま開催」35.6%
▶「費用を削減して開催」46.9%
▶「開催中止」16.4%

一方で、支持政党別の結果を見て、いずれの支持層でも最も大きいのが「費用を削減して開催」という意見だ。実は、年齢別、地域別をみても、すべての結果で同じく「費用を削減して開催」という意見が最も多い。つまり「費用削減」して「開催」という意見が現状で一番強いことから、万博開催を推し進める万博協会、地域、政府としては、今後500日あまりの間に、見直せる部分の見直しが課題となる。
【フジテレビ政治部デスク 世論調査担当 西垣壮一郎】

西垣壮一郎
西垣壮一郎

フジテレビ報道局 政治部デスク 世論調査担当
2000年から政治部担当で報道記者・報道番組プロデューサーを歴任。
政治部官邸キャップ、自民党キャップ、野党キャップなどを担当。
ワシントン支局特派員(ブッシュ政権~オバマ政権)「BSフジLIVEプライムニュース」総合演出、「日曜報道 THE PRIME」プロデューサーなどを経て現職。
趣味は釣り。