大阪府内の会社が製造した、いわゆる「大麻グミ」を食べた人が相次いで体調不良を訴えている問題で、15日に新たに男女2人が搬送されたことが分かった。東京都内で体調不良を訴えた人の数は、先月以降12人に上る。

体調不良 東京都内で10月以降12人

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15日午後11時半ごろ、東京・板橋区の20代の女性から「グミを食べた。苦しい」と119番通報があった。警視庁などによると、20代の男女2人が、酒を飲みながらグミを1粒ずつ食べたところ、手のしびれや吐き気を感じたといい、病院に運ばれた。2人は軽症だということだ。このグミは、大阪府内に本社を置く会社が製造したもので、グミの袋には大麻由来の成分に似せた合成化合物「HHCH」の文字が書かれていた。

11月3日には、東京の押上駅のホームで、男女4人が同じグミを食べて体調不良を訴え、病院へ運ばれた。

また小金井市の祭りでは、来場者の男性が同じグミを他の来場者に配り、それを食べた10代~50代の6人が体調不良を訴えた。

目撃者:
(Q.立っていられない状態?)そうです、そうです。ちょっとしんどそう。もう横になっていました。雰囲気がざわざわしていた。

祭りで体調不良者が出たことを受け10日、大阪市はグミを製造した大阪府内の会社に立ち入り調査。食品衛生上の問題はなかったという調査結果だが、この結果を受け、大阪市の横山市長は…

大阪市 横山英幸市長:
健康上、危険なものであるなら、早急に法令等で規制する必要があると思っています。

関西テレビはグミを製造した会社に取材を申し込んだが、今のところ応じていない。

こうした大麻グミについて街で若者に聞いてみると。

街の人 30代:
(Q.未成年の子でもグミを?)あると思います。本物の違法大麻はやらなくて、「ちょっと雰囲気を楽しんでみたいな。飛ばない大麻だな」と思ってたら、飛んでるというイメージあります。

街の人 20代:
ヒップホップとか日本でどんどん流行してきてるので、音楽でかっこいいと思って憧れて、ちょっとやってみたりする人もいるのかな。

街の人 20代:
普通に売られると未成年の子も手を染めやすいし、危ないところではあるかなと思う。

今回の事案について厚生労働省は「健康被害が出たことを重く受け止める」として、グミの違法薬物指定に向けた検討や取り締まりを強化する方針だ。

食べたグミの袋には「HHCH」

今回、体調不良を訴えた人たちが食べたグミの袋にはいずれも「HHCH」の文字があった。

「HHCH」とは:大麻由来の成分に似せた合成化合物である「HHCH」は、現状では規制されていない成分で、違法成分である「THCH」という成分に似せて作られたもの。

「THCH」とは:幻覚作用や記憶障害など、健康被害が懸念されるなどとして、国内では8月から違法指定薬物として規制対象になっている。これは大麻由来の成分だ。

厚生労働省などの資料によると、こうしたグミも含めた危険ドラッグは、全国289店舗で販売されているということだ。

変化続ける危険薬物を規制することはできるのか?

一つ規制されると、規制の網をかいくぐるように成分を変えたものが登場し、いたちごっこが続いている。先手を打つ形で規制を設けることはできないものなのだろうか?

菊地幸夫弁護士:
どういうものが次に出てくるか予測するのが難しいです。THCHというのは、主に大麻の葉っぱなど禁止されているものに含まれている成分なんですね。HHCHはそこを外して新たに作ってくるということです。大麻取締法以外にも、旧薬事法の薬機法という法律があるんですが、その規制もさらにかいくぐって、まだ指定されていないものということで登場してきたのがHHCHだと思います。

関西テレビ 神崎報道デスク:
10年ぐらい前に「危険ドラッグ」というのが流行しました。あれも同じように、国が規制をすると、それをかいくぐって、一部分だけ変えた新たな薬物が出てきて、本当にいたちごっこでした。そこで国側は包括指定という新たな考え方を編み出して、「化学式でいう一番幹の部分がダメですよ。あと枝葉をどう変えようが全部アウトですよ」という形で、包括的に危険薬物に指定する新たな規制を設けて、それが功を奏して危険ドラッグについて聞かなくなったと思います。今回の大麻グミに関して、難しいかもしれませんが、化学式の幹の部分を包括的に規制するのは一つの手としてあるんじゃないかと思います。

菊地幸夫弁護士:
どこまでやれるかですね。刑罰というのは非常に強いペナルティなので、「これに類する物全部だめよ」という法律の定め方はなかなか認められません。何が刑罰に値するか明確に分かる形にしないといけないので。一つの方法が、神崎デスクが説明したような包括ということではあります。

厚生労働省はグミの違法薬物指定に向けた検討や、警察庁など関係省庁と連携して取り締まりを強化する方針だ。

(関西テレビ「newsランナー」 2023年11月16日放送)

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