11月3日~5日に行われたフィギュアスケート・東日本選手権。
ジュニアでは男子は西野太翔、女子は髙木謠が優勝した。
今大会は青森県八戸市で開催された。キスクラに置かれていたシクラメンは、青森県立三本木農業恵拓高等学校の生徒らが育てた花だという。まだ五分咲きだったようで、成長著しいジュニアたちがどう花を咲かしていくのか表現しているようだった。
この大会を勝ち抜いた選手たちは、11月17日から滋賀県・木下カンセーアイスアリーナで開催される全日本ジュニアへ出場できる。その切符を手にした選手たちを紹介していく。
【ジュニア男子】ジュニア1年目の西野太翔が優勝
男子は上位10名が全日本ジュニアへ進出した。
優勝はジュニア1年目の西野太翔。

最終滑走者として迎えたSPでジャンプが決まらず、7位スタートになった。

挽回を誓って挑んだFSでは、全てのジャンプを着氷させる。冒頭にはトリプルアクセルも決めて見せた。
「まさか優勝できるとは思わなかった」と、西野は大逆転で優勝を飾った。
次戦は、東日本チャンピオンとして挑む全日本ジュニア。
“失敗しても乗り越える”という今回の経験は西野の大きな武器になりそうだ。

2位は中田璃士(りお)。
JGPファイナルへの出場を決め、ここまで調子があがっていた中田。
SPではいまや自信を持って跳べるトリプルアクセルを完璧に決める。最後のスピンでミスがあったと語るも70.07点で首位発進する。
演技後、中田はSPの衣装を見せてくれて、SPのプログラム『天使と悪魔』を表現していると話した。

「衣装は天使と悪魔のせめぎ合い。(僕は)悪魔側を演じていて、最後は悪魔が勝つ」と、ダークなリオでジャッジにアピールしているという。
普段の中田は「60%悪魔で40%天使」のようで、笑いながら答えた。
そして今回、いつも試合前に共にするブラッキー(ポケモン)の姿がなく、なぜないのか聞いてみると「忘れました(笑)」と教えてくれた。

続くFSでは、冒頭の4回転トゥループを完璧に決める。
しかし、初めて2本組み込んだトリプルアクセルへのタイミングのズレが生じて崩れてしまい、FS5位で終えた。
中田は「今すぐ練習したい」と全日本ジュニアまで追い込む構えだ。

3位は蛯原大弥。
大会直前に高熱を出していたため、ジャンプを戻すことに精いっぱいだったようだ。
そのため、今季ブレイクのきっかけとなったトリプルアクセルを回避し、確実性で挑んだ。
「この大会のために看病してくれたお父さんとお母さんに感謝して、出られる喜びを感じた」と語り、海外遠征中の岡島功治コーチも心配してくれていたため、満足がいく演技ができて良かったと振り返った。

FSでも安定した演技を披露すると思われたが、まさかの靴のバンドが外れるアクシデントが起こってしまう。
それでも、冷静な判断で付け直し、落ち着いて最後まで滑り切った。

今季5回目の3位となり、蛯原は「“ブロンズコレクター”を変えていきたい」と話した。
4位は森遼人。
ジュニア1年目の森は、SP4位のスタートとなったFSで自己ベスト更新する。

SPとFSでまとめることができ、満足の結果だったようだ。
次は自身初となる全日本ジュニアが控える。
SPでの3回転―3回転のコンビネーション、FSでミスのあったジャンプの成功を掲げ、構成を上げて挑みたいと話した。

【ジュニア男子】
1位 西野 太翔(神奈川FSC)182.08点
2位 中田 璃士(TOKIOインカラミ)179.32点
3位 蛯原 大弥(明治神宮外苑FSC)176.90点
4位 森 遼人(MFアカデミー)166.97点
5位 山田 琉伸(早稲田大学)162.13点
6位 菊地 竜生(明治大学)161.48点
7位 周藤 集(ID学園高等学校)157.21点
8位 加藤 海里(目黒日本大学高等学校)156.21点
9位 木村 智貴(西武東伏見FSC)154.74点
10位 堀野 伊織(八戸FSC)152.79点
【ジュニア女子】髙木謠が優勝
女子は上位11名が全日本ジュニアへ進出した。
優勝は髙木謠。

6分間練習で3回転―3回転のコンビネーションジャンプが決まらず心配そうだったが、本番で決まり、ホッとしたと振り返る。
心配の種のコンビネーションジャンプが決まったあとからは、表情が和らぎ、SPをノーミスでまとめあげる。そのSPは自己ベストを更新し、首位発進。

そして、最終滑走で迎えたFSは、ミスがあったもののMFアカデミーチームの大声援を背に最後まで演じきった。

「全日本推薦出場、そして世界ジュニアを目指す」と力強く語ってくれた。
2位には髙木と同じ日にスケートを始めたという奥野友莉菜。

ここまで2年連続2位の奥野は、この東日本で優勝を狙っていた。
SPではコンビネーションが決まらず、4位で出遅れるが東京選手権後からメンタル強化のために “瞑想”を続けているようで、効果は少なからずあると奥野は言う。

FSでは課題としている3回転ルッツ―3回転トゥループのコンビネーションを決めるが、そのあと崩れてしまった。
3年連続の2位に「銀ばっかりなんですよ、優勝したい」とこぼした奥野も全日本推薦出場を目指している。
3位は中尾歩。
「まさか表彰台に乗れるとは思わなかった」と本人もびっくりな結果だったと語る。

SPノーミス演技で3位スタートの中尾は、FSではミスがあったものの上位に食い込み、初めて表彰台にあがった。

2年前から大島淳コーチに師事し、ジャンプの安定感が出てきたという。
去年20位だった全日本ジュニアの悔しさを晴らしたいと話した。
4位は岩本愛子。
ジュニア2年目の岩本は去年の東日本でSP落ちを経験している。

SP6位で迎えたFSは、ノーミスで演じきり、初めての全日本ジュニアを手にする。
その全日本ジュニアではSPノーミスでFS進出を目指す。
5位はジュニア1年目の岡万佑子。

身体が柔らかさを生かしたプログラムでは拍手喝采。
SPでは57.77点という堂々の点数で2位スタートする。

FSではジャンプのミスもあり悔しさが残るも、インタビューではグッとこらえていた。
岡も全日本ジュニアで上位に食い込み、全日本推薦出場を目指す。

【ジュニア女子】
1位 髙木 謠(東京女子学院)175.61点
2位 奥野 友莉菜(駒場学園高校)158.94点
3位 中尾 歩(埼玉アイスアリーナFC)157.65点
4位 岩本 愛子(白鳥FSC)154.75点
5位 岡 万佑子(ROYCE' F・S・C)149.05点
6位 今関 友梨香(MFアカデミー)142.02点
7位 千葉 美乃花(埼玉栄高校)137.52点
8位 入江 美友(Mエイトクラブ)132.76点
9位 北見 奏(MFアカデミー)132.01点
10位 宮本 琉花(白鳥T・FSC)130.62点
11位 瀬川 穂乃(仙台FSC)130.35点
【ジュニアペア】新ペア“さえルカ”が優勝
出場した全組が全日本ジュニアへの出場を決めた。
優勝は、今季結成された新ペアで、“さえルカ”こと清水咲衣&本田ルーカス剛史組。

「何もわからない不安があったが、意外とあっという間に終わった」と振り返り、「いい出だしだった」とデビュー戦を振り返った。

2人はシングルでも全日本へ出場する二刀流ペアだ。
強みの“ジャンプ”は2人で行う世界屈指の大技3連続ジャンプとして新たな武器となった。

今季の最終目標は世界ジュニアへの出場。そのために、まずは全日本ジュニアで最高の演技をしたいと意気込んだ。

【ジュニアペア】
1位 清水 咲衣・本田 ルーカス剛史(木下アカデミー)116.39点
この青森の地で予選を勝ち上がったスケーターたち、全日本ジュニア、そして全日本などの舞台でで咲き誇ることを期待したい。
全日本までの道の詳しい概要はフジスケでhttps://www.fujitv.co.jp/sports/skate/figure/index.html
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