10月は世界食料デー月間。食品ロス防止はハロウィーンのイベントでも呼びかけられていた。
10月21日、ハロウィーンの仮装をした子どもたちが、東京・世田谷区の町を練り歩いた。
この記事の画像(10枚)合言葉は「お菓子くれなきゃ、いたずらしちゃうぞ」を意味する、おなじみの「Trick or Treat」ではなく、口にしていたのは「Trash? or Treat?」。「ごみ?それともごちそう?」のオリジナルの合言葉だ。
子どもたちが呼びかけていたのは「フードドライブ」という活動。
家庭で余った食べ物を個人で持ち寄るもので、集められた食料は、フードバンク団体を通して「こども食堂」や生活困窮者など必要な人に届けられる。
食べ物は、未開封で、賞味期限が1カ月以上あり、冷凍や冷蔵する必要がないことが条件だ。
活動が始まった背景にあるのは世界的な食料問題。FAO=国連食糧農業機関によると、世界では毎年、食料生産量の3分の1にあたる13億トンもの食品ロスが発生している。
日本でも、毎日1人あたり茶わん1杯分ほどの食料が捨てられていて、その半分ほどは家庭から出ていることが農林水産省の調査で明らかになっている。
ハロウィーンのイベントに参加した子ども35人も、家庭で食べきれない缶詰やレトルト食品などを持参し、およそ25キロの食料が集まった。
参加した小学4年生:
「食べきれなくてお菓子を持ってきた。(食料が必要な人にわたることに関して)協力できるんだったらいいかな。」
食料の届け先となる「こども食堂」に行ってみると、およそ60人の子どもやその親に、お弁当や野菜などが配られていた。
こども食堂利用者:
5人家族なので、いっぱい食べるので、助かる。
全国フードバンク推進協議会の9月の調査では、物価高の影響で、全国のフードバンク団体の4割で食料の寄付が減っているとされている。
一方、8割の団体では支援を求められることが増えていて、さらなる食料支援が求められている。
そこで注目を集めているのが「フードドライブ」だ。
NPO法人 フリー・ザ・チルドレン・ジャパン 子ども活動応援課・広瀬太智さんは「フードドライブ」について、「 普段の生活の中でとても取り組みやすいアクション。そこに魅力を感じている」と話す。家庭から持ち寄られる食料は種類が豊富で、さまざまなニーズに応えやすく、個人から食料の寄付を募る「フードドライブ」の役割の重要性が増しているという。
■取材後記
食べ物を大切にしなければいけないことを知ってはいても、食べきれずに残したり、賞味期限が切れて捨てたり、やむなく無駄にしてしまうことは多いのではないだろうか。フードロスの取り組みについて調べていた中で見つけたのが今回のイベントだ。子どもたちがハロウィーンの仮装を楽しみながら食料問題を学べるところに魅力を感じた。
取材したこども食堂には、自治体に集められたレトルト食品や袋に穴が開いたため売れなくなったお米、運営者が知人からもらった野菜などが寄付されていた。運営者は、子どもたちにただ食べてもらうだけではなく、栄養のあるものを食べてもらいたいという。お弁当はなるべく手作りにしたり、野菜を多めに入れたり、さまざまなこだわりを見せていた。
そのためにも十分な食料の提供が必要だ。
「フードドライブ」は、食品ロスの削減につながることはもちろん、気軽に参加できる取り組みだ。「フードドライブ」が進んでいるアメリカでは、全国規模のイベントが開催され、スーパーなどでは日常的に寄付ができるようになっている。日本でも「フードドライブ」がさらに普及していくことを願う。
取材・執筆:杉山仁実
(「Live News days」10月30日放送より 一部情報を追加しています)