秋の運動会のシーズン到来。すでに親子リレーなどに参加していたり、これから子供に頑張ってるところを見せたいというお父さんは多いのではないだろうか?

その一方で、実は参加したお父さんの約1割が転倒や負傷をしているようだ。家庭用・医療用健康機器の開発・販売を行うオムロン ヘルスケア(京都)の調査で明らかとなった。

実際、京都大学大学院医学研究科の青山朋樹教授によると、10月の運動会の後はお父さん世代の外来受診が増える傾向があり、なかでも転倒による身体の痛みや打撲などが多く、重症のケースでは骨折や靭帯、腱断裂している場合もあるとのことだ。

競技参加中に転倒・負傷した経験(画像提供:オムロン ヘルスケア)
競技参加中に転倒・負傷した経験(画像提供:オムロン ヘルスケア)
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今回の調査対象は幼稚園・保育園~小学校3年生までの子どもがいる運動会参加経験のある全国の父親(30代~50代)の1056人。競技の参加経験や競技に出場した際の転倒・怪我の経験、運動習慣について質問した結果、次のようなことがわかった。

まず、「運動会の競技への出場経験」は半数以上の57%があると回答。参加した理由は、「家族が喜ぶ顔を見たい」が49.0%で最も多く、次いで「子どもの学校・園行事には積極的に参加したいから(37.5%)」「学校・園の活動に参加したい(31.1%)」「子どもや配偶者にかっこいいところを見せたい(25.2%)」となり、つい家族の前で張り切ってしまうという気持ちが浮き彫りとなった。

運動会の競技に出場した理由(画像提供:オムロン ヘルスケア)
運動会の競技に出場した理由(画像提供:オムロン ヘルスケア)

続いて「競技参加中に転倒や負傷をしたことがあるか?」について、全体の11.6%が「ある」と回答。具体的には「転倒(大きなケガはなし)(52.9%)」が最も多く、「すり傷、切り傷(50%)」「打撲(28.6%)」と続いた。

また、転倒や負傷をした理由として思い当たることは、「想像していたほど身体が動かなかった(70%)」と回答した人が最も多く、「はりきりすぎた(31.4%)」と答えた人も3割にのぼり、自分の実力を超えても家族のために頑張る人が多いことがわかった。

転倒や負傷した理由で思い当たるもの(画像提供:オムロン ヘルスケア)
転倒や負傷した理由で思い当たるもの(画像提供:オムロン ヘルスケア)

なお転倒や負傷をした競技は55.7%の「リレー」が最多で、「障害物競走(28.6%)」「徒競走(27.1%)」が続いた。転倒や負傷した際のエピソードとしては、「だんだん疲れてきて足がもつれてしまった。気持ちは前に進むつもりだが、思うように動かなかった」「カーブでバランスを崩して転んだ」などがあり、足がもつれて転んだりバランスを崩したという回答が多かった。

転倒や負傷をした競技(画像提供:オムロン ヘルスケア)
転倒や負傷をした競技(画像提供:オムロン ヘルスケア)

そして、「今年もしくは今後、運動会の競技に参加したいか」を聞いたところ、「参加したい」が74.4%となり、多くの父親が参加意向を示していた。

また次に参加する際に気を付けたいことは「準備運動をする(54.1%)」「張りきりすぎない(48.1%)」「日頃から運動習慣をつける(42.2%)」が4割以上となった。

普段の運動を4割が「ほとんどしていない」

なお普段の運動習慣についても聞いており「ほとんどしていない」が約40%。この回答者のうち、週1回以上の運動習慣を理想と答えた人が全体の約75%にのぼり、普段運動していない人の4人に3人が理想と現実とのギャップを抱えていることもわかっている。

こうした結果を受けて青山教授は、「普段から運動不足の人は自分の意識ほど、身体が動かないことも多いので注意が必要です。特に若いころ運動をやっていて運動不足になっている人は自分の成功イメージと現在の実力のギャップが大きく要注意です」と注意を促す。

また「調査から仕事中に座り姿勢の人が多いことがわかりました。座り姿勢が多い人は、脚や腰の筋力が低下していることがあります。なぜなら、姿勢が前かがみになることが多く、腰回りが凝り固まり動きづらくなるからです。こうした状況のなかで、リレーや障害物競走など全身を使う運動を急にすると、思ったように身体が動かきません」と話し、怪我を防ぐためには、日頃の運動習慣が大切で、「週に最低でも2回は30分程度の運動とストレッチを行うこと」を勧めている。

では、これから運動会を控えるお父さんは、転倒や負傷しないよう注意していただきたいが、改めて運動会でお父さんが競技に参加する際、どんなことに気を付ければよいのか? オムロン ヘルスケアの担当者に詳しく話を聞いてみた。

イメージでは動くはずなのに…

――なぜこのようなアンケートを行ったの?

当社は長期ビジョンの中で「Going for ZERO -予防医療で世界を健康に-」を掲げています。身体の不調をきたす、要因の1つとして日頃の運動不足が考えられます。コロナ後に運動会などのイベントが再開する中、意識調査を通じて情報発信をすることで、この機会を安全に楽しんでいただきたいと考えたためです。


――10人に1人が競技中に転倒や負傷をしたことがあるという結果、どう思う?

転倒される方を見かける機会も多く印象が強いので記憶に残りやすいですが、調査してみて実際も意外と多いので驚きました。


――コロナ禍のテレワークなどで、運動をしなくなった人は増えているの?

2021年4月の調査ですが、コロナ禍では実際に多くの人が外出や運動の機会が減っていました。

※イメージ
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――転倒や負傷の理由で「想像していたほど身体が動かなかった」という回答が最も多かった。どんな理由が考えられる?

青山先生からのコメントにある通り、若いころの運動イメージと現在の実力のギャップが大きいと考えています。イメージでは、「こう動くはずなのに」、身体は普段から運動しないため「動かすことができない」ことが考えられるのではないでしょうか。また、自分の運動能力を実感する機会が減っている方も多く、意識と実力との差を運動会などで実感された方が多いのだと考えます。

日ごろの運動習慣が大切

――他に、気になった調査結果は?

家族のために頑張りたい心理や、運動習慣はないが理想は週2、3回以上は運動するのが良いと思っている部分では人間味が浮き彫りとなっており、微笑ましくも思いました。


――転倒や負傷をしないために、気をつけなければいけないことは?

青山先生からのコメントにもあるように、日ごろの運動習慣が大切です。週に2回ほど30分程度の運動とストレッチを行うなど、継続した運動で動ける身体をつくっておくことが重要です。


――運動会を控えるお父さんにアドバイスをお願いしたい。

運動会が近い方は、ストレッチを無理のない範囲で行い、身体をほぐしておきましょう。運動会まで少し時間のある方は、運動会までに1日30分程度でも身体を動かして、今のカラダの状態を把握しておきましょう。普段から身体を動かすのは健康維持にとっても良いコトですし、改めて運動について考える機会としては運動会は良い機会だと思います。是非、安全に楽しんでいただきたいと考えます。

ダイナミックストレッチの例(画像提供:オムロン ヘルスケア)
ダイナミックストレッチの例(画像提供:オムロン ヘルスケア)

最後に、青山教授が勧める全身をダイナミックに動かしながら関節や筋肉を伸ばしていく3つのストレッチ「もも上げ」「振り上げ運動」「逆向きランジ+ひねり」を紹介する。

〈もも上げ〉
立った状態で、反動をつけながら片足ずつ太ももを高く上げます。背中が丸くならないように意識しながら、左右20回ずつ行いましょう。

〈振り上げ運動〉
立ち上がって、両手を大きく振り上げ、片足を前後に大きく振り上げます。左右20回ずつ行います。

〈逆向きランジ+ひねり〉
立った状態から片足を大きく一歩後ろに引いて、膝を直角に曲げます。前足の方向に上半身をひ
ねり、反対側の手を真上に伸ばします。一度元に戻したら、反対も同様に行いましょう。左右交互に15回×2セット。

運動会の競技で転倒・負傷しないためには、週2回ほど30分程度の運動を心掛けてほしい。また精神面では、自分の意識ほど身体が動かないことを認識しておくことが重要だといえそうだ。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。