2023年7月に大分県日田市や中津市を襲った大雨から3か月。
小鹿田焼の里として知られる日田市の集落は被害にあった窯がすべて復旧し、少しずつ前に進み始めている。

「小鹿田焼の里」を襲った豪雨

小鹿田焼の里として知られる日田市小野地区の皿山集落。
10月、集落の窯元が共同で使う焼き窯に7月の大雨以来、初めて火が入った。

日田市小野地区の皿山集落
日田市小野地区の皿山集落
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7月に県内を襲った記録的な大雨。
皿山集落では焼き物に使う土を砕く唐臼が濁流で流されるなど集落にある39の全ての唐臼に被害が出た。

7月
7月

5軒の窯元が使う「共同窯」にも被害

「普段なら側溝の中を水が流れるが、地表の部分もだいぶ流量があって水が一部窯の中に入っていった」
こう話すのは共同窯を使う窯元・黒木史人さん。
小鹿田焼の窯元はあわせて9軒。そのうち4軒は自前の窯があるが、黒木さんを含む5軒の窯元は「共同窯」と呼ばれる1つの窯を交代で使って器を焼いている。

黒木史人さん
黒木史人さん

しかし、7月の大雨で側溝から溢れた雨水が共同窯の一部に入り込み窯の中が10mほど浸水。
黒木さんは本来なら7月に共同窯で約5000個を焼く予定だったが断念せざるを得なかった。

3か月ぶりの窯焼き

大雨から約3か月となった10月6日。共同窯に黒木さんの姿があった。

「心配な気持ちと、この先どうなるかなというのは思っていた」と黒木さんは被災した当時を振り返る。

大雨以降、集落全体の復旧作業に追われていたが、ようやくこの日、共同窯に器を運び入れることが出来た。

「やっとできるなという気持ちと、あとやっぱり窯に水が入った面でどう仕上がるのかという不安も両方ある」(窯元・黒木史人さん)

3か月ぶりの窯焼きに臨む黒木さんは思いを込めて窯に薪をくべていく。
「ようやく何とか火をつけられて安心している。もちろん気合は入ってます。色々な人の協力でいつも通りに窯を焼くことが出来たので、これが皆さんの手元に届けば」

大雨から3か月。
被災地の完全な復旧には時間がかかるが、小鹿田焼の里は少しずつ前に進み始めている。
今回、焼いた器は11月から黒木さんの工房で販売が始まる予定だ。

(テレビ大分)

テレビ大分
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