激しい筋トレと肉体美をアピールした動画は、投稿からわずか2日で、1500万回再生された。“筋肉マン”としても知られるロバート・ケネディ・ジュニア氏(69)が、10月9日、東部ペンシルベニア州フィラデルフィアで“重大発表“を行うと表明した。

ロバート・ケネディ・ジュニア氏(69) 投稿から2日間で1500万回再生の肉体美
ロバート・ケネディ・ジュニア氏(69) 投稿から2日間で1500万回再生の肉体美
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すでに現職のバイデン大統領の対抗馬として、2024年の大統領選で民主党から候補者指名争いへの出馬を表明しているケネディ・ジュニア氏だが、このタイミングでの”重大発表“について、米メディアからは「無所属」での挑戦の発表との見方が出ている。

“ケネディブランド”かけ、既成勢力への挑戦

ケネディ・ジュニア氏は、故・ロバートケネディ元司法長官の息子で、ジョン・F・ケネディ元大統領のおいにあたる。“華麗なる一族”による知名度はもちろん、環境活動家として、最近では新型コロナウイルスワクチンの反ワクチン活動家としても知られている。

米国内では、ケネディ一族としての知名度を踏まえ、民主党支持層からの一定の支持もあるが、過激な思想から“一族の黒羊”との異名も持つ。それ故に彼の親戚の多くは、民主党の現職、バイデン氏への支持を表明している。

筋トレを披露するケネディ・ジュニア氏
筋トレを披露するケネディ・ジュニア氏

ケネディ氏は、9月29日に公表したSNSの動画の中で「人々が、政府が腐敗にまみれていることに懸念を抱いていることを理解している。それは行政府にも議会にも両政党の指導部にもある。半年間の選挙戦を終えて私が理解したことは、勝利への道筋があるということだ」と訴え、民主、共和両党の既成勢力への挑戦状をたたきつけた。

「クレイジー」「危険」の評価も人気の理由

米政治サイト「リアル・クリア・ポリティクス」よれば、10月5日時点で、民主党支持層の支持率は、バイデン氏が62.4%と2位のケネディ・ジュニア氏(15%)を大きく引き離している。共和党支持層では、トランプ氏が57.9%と、デサンティス・フロリダ州知事(12.5%)を抑え、圧倒的なリードを保っている。現時点で2020年同様、バイデンVSトランプの構図となる可能性が高く、両者もそれを強烈に意識をした選挙戦をすでに展開している。

ケネディ・ジュニア氏は「無所属」で大統領選出馬か
ケネディ・ジュニア氏は「無所属」で大統領選出馬か

こうした状況の中、ケネディ・ジュニア氏が民主党からの出馬を取りやめ、「無所属」で出馬となれば、“華麗なる一族“も背景に、バイデン氏の票を奪う可能性があるのではないかという見方もある。実際に党内には、2016年に第3政党の緑の党の候補者が、ヒラリー・クリントン氏から票を引き剥がしたことを気にかけている関係者もいる。しかし、「ワクチンは安全ではない」などという主張を訴えていることで、民主党支持層では、“嫌気”を感じる有権者も少なくないようだ。ニューハンプシャー大学の世論調査(7月)では、ケネディ・ジュニア氏を形容する言葉として、「クレイジー」、「危険」、「非常識」、「変人」、「陰謀」などがあげられ、敬遠されがちであることがわかっている。

一方で、保守的な思想家の間では彼を支持する声もある。米キニピアック大学が先月行ったケネディ・ジュニア氏への好感度を尋ねる調査では、民主党支持層の14%に対し、共和党支持層では48%が「好感が持てる」と答えていた。これはトップのトランプ氏(81%)、2位のデサンティス氏(70%)、元国連大使のヘイリー氏(49%)に次いで、共和党支持層の中で4番目となっている。これを踏まえると民主党支持層よりもむしろ共和党支持層から好まれる傾向にあることもうかがえる。

三つ巴で左右する“ケネディ票” 第3勢力としての存在感

さらに2024年の大統領選で、バイデン氏(民主党)、トランプ氏(共和党)、ケネディ・ジュニア氏の3氏が出馬したと仮定した10月3-4日の世論調査(ロイター/イプソス)では、投票先として、バイデン氏が31%、トランプ氏は33%、ケネディ・ジュニア氏は14%だった。

82歳で2期目を迎えるバイデン氏の高齢問題への懸念に加え、刑事事件で91の罪で起訴されているトランプ氏に嫌悪感を抱く有権者も少なくない。

言い間違いが多く、歩行中につまずくことも少なくないバイデン氏が、11月に81歳を迎えれば、一層、年齢問題に拍車がかかることも予想される。トランプ氏も今後、有罪となればトランプ離れが加速する要因ともなりうる。3割から4割程度とされる無党派層がどう動くかも選挙戦の行方を大きく左右してくる。両陣営にとって、ケネディ・ジュニア氏は、決して侮れない存在と言えそうだ。

(FNNワシントン支局 千田淳一)

千田淳一
千田淳一

FNNワシントン支局長。
1974年岩手県生まれ。福島テレビ・報道番組キャスター、県政キャップ、編集長を務めた。東日本大震災の発災後には、福島第一原発事故の現地取材・報道を指揮する。
フジテレビ入社後には熊本地震を現地取材したほか、報道局政治部への配属以降は、菅官房長官担当を始め、首相官邸、自民党担当、野党キャップなどを担当する。
記者歴は25年。2022年からワシントン支局長。現在は2024年米国大統領選挙に向けた取材や、中国の影響力が強まる国際社会情勢の分析や、安全保障政策などをフィールドワークにしている。