朝晩涼しげな日も増え、10月に入りようやく秋らしさを感じられるようになった。一方で気象庁が「記録的な高温」と評するように、暑さが9月下旬まで残った影響で秋の味覚に異変が起きているという。
“暑すぎた”夏 真夏日は84日
気象庁は10月2日に9月の天候のまとめを発表し、「気温は全国的にかなり高く、東・西日本では記録的に高くなった」と総括した。
この記事の画像(4枚)9月28日には静岡市の清水区と駿河区で県内としては観測史上最も遅い猛暑日を記録するなど、静岡市の真夏日は84日を数える。これは言うまでもなく過去最多で、2022年が70日だったことを考えると、2023年の暑さがいかに異常だったのかがわかる。
暑さの影響でブドウが…柿が…
そして、猛暑の影響で秋の味覚にも“異変”が起きているという。藤枝市にある観光農園・みやま農園ではブドウの成熟が早く、また例年と比べて実と房が小さくなり、杉本浩史 代表は「こんな年は初めて」と嘆く。
照り付ける日差しで葉が“焼け”てしまうと光合成が十分にできず、ブドウが育たないため、日よけを初めてかけるなど管理に苦労したが、その分、甘みは凝縮されて味には自信を持っている。しかし、暑さで収穫期も早まり、ブドウ狩りの営業は例年より1週間ほど早く終了を余儀なくされた。
一方で、皇室献上柿としても有名な森町特産の次郎柿。太田知宏さんの畑では、すでに極早生の次郎柿の収穫が始まっているが、猛暑に加え7月の雨不足で地下水が渇水状態となったことで収穫量が例年の半分ほどに落ち込んでいる。このため、次郎柿が一番おいしいとされる11月中旬をどういう状態で迎えるのか心配が尽きず、「2~3週間も日照りが続かず、適度に雨が降ってほしい」とこぼす。肥料や燃料の値上げも頭が痛いが、それでも惜しまずに使って病害虫対策を徹底し「おいしい柿ができれば」と前を向く。
値上がりする野菜 トマトはなんと…
さらに、影響は果実だけでなく野菜にも出ている。
農林水産省がまとめた9月25日からの週の野菜の価格動向に目を向けると、キャベツやレタス、キュウリは平年比を下回っているものの、たまねぎ、ばれいしょ(じゃがいも)、ねぎは平年以上の価格となり、トマトは平年比136%、にんじんに至っては147%となっている。
物価高により家計の苦しさを感じつつある人も多い中、猛暑による野菜や果物の価格上昇が更なる打撃とならないか心配される。
なお、気象庁は10月~12月の天候の見通しについて、東日本の平均気温は“高い見込み”と発表している。
(テレビ静岡)