鳥取県内3つのJAが、スーパー「Aコープ」の閉店方針を相次いで示す中、9月26日、倉吉市関金地区で唯一のスーパーだった「Aコープせきがね店」が閉店した。

高齢者の運転免許自主返納を進む中、最寄りの買い物の場が失われたことを受けて、「買い物支援」のツアーバスが増便された。関金地区では買い物環境を守る取り組みが続いている。

高齢者にうれしい「買い物バスツアー」

人口3,020人。高齢者の割合が4割を超える倉吉市関金地区。

高齢者が乗りこんだバスが向かったのは、地区から車で約15分、10kmほど離れた倉吉市中心部のスーパーだ。バスから降りた高齢者は、店内で早速、食料品などを手に取っている。

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利用者が「2週間に1回だからね」「家の前まで来て乗せてくれるので助かっています」「自分で運転して来られないからありがたい」と喜ぶのは、地元の振興協議会が運行する無料の「買い物支援」ツアーバス。

取材したこの日、利用者は5人と多くはなかったが、交通手段のない高齢者にとって、なくてはならない存在になっている。

“唯一のスーパー”閉店で増便へ

9月26日、関金地区唯一のスーパーが姿を消した。

JA鳥取中央は、所有するスーパー「Aコープ」4店舗について、業績の改善が見込めないことから撤退を決めた。せきがね店と北栄町の下北条店は、引き継ぎ先が決まらないまま、閉店の日を迎えることになった。

こうした中、せきがね店の地元、関金地区振興協議会は、倉吉市と連携し、運行してきた無料の買い物ツアーバスを、2023年7月から、それまでの年2回から月2回へと大幅に増便した。

今後も続く“買い物環境”改善の動き

この日、バスは倉吉市内のスーパーや直売所など3店舗を巡り、利用した高齢者が新鮮な食材や日用品を買い込んだ。

利用者:
大変助かっております

利用者:
野菜と果物とヨーグルトと、足らないものがちょこちょこあるので。(バスは)多い方が良いです、月に4、5回くらいあれば

買い物ツアーバスの増便を喜ぶ一方、月2回の運行では自由に買い物ができないという声も聞かれた。

関金地区振興協議会・松井収事務局長:
きのう閉店したので、利用したいという方が増えてくると思います。現状としては月2回の運行が限界だと思います

この他、協議会は高齢者などを対象にした買い物代行サービスなども実施。

地区唯一のスーパー閉店という“非常事態”に直面した今も、地域の「買い物環境」の確保をどのように進めるか、模索が続いているのが現状だ。

(TSKさんいん中央テレビ)

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