車は所有からリースへ。新たなカーリースが広島で登場。契約途中でも新たな車に乗り換えることができ、乗り換えた車は別のユーザーに継承するというもの。売買にかかる中間コストのカットで、皆がハッピーというシステムだ。

3年2カ月で新車に乗り換えられるリース

梶谷羽奈アナウンサー:
これは国内のリース車の保有台数の推移を示したグラフです。

梶谷羽奈アナウンサー
梶谷羽奈アナウンサー
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この10年間で、およそ140万台から220万台と1.5倍以上に増加。今、車は「所有する」から「利用する」に変化し始めている。ただ、これまでのカーリースは通常、7年契約のケースが多く、この期間中に、子供が成長したり、増えたりした場合への対応や、最新の機能を持った車に乗り換えることができないことが難点だ。

途中で解約する場合、残り期間のリース料を支払えば、車はユーザーのものになるが、リースカーの途中解約には、通常100万円以上が必要なケースが多く、負担が大きいのが実情だ。

この問題を解決した新たなビジネスで、特許を申請している企業が広島市にある。
自動車ビジネスのサポートをするコンサルタント会社「ジャムス」。

いったい、どんなシステムなのか?
ジャムス・牧原一朝チーフアドバイザー:
新車を登録してから最短3年2カ月で、新たなリースカーに乗り換えられるシステムになっています。中古となったリースカーは、残り約4年間を新たなユーザーが、通常の料金より低額でリース契約をすることができます

例えば、7年間のリース期間のうち、最初の3年間をAさんが利用。Aさんが乗り換えた後の残った4年間を新たなユーザーのBさんが利用することで、リース期間は終了。この場合、安いリース料で中古のリースカーを利用するBさんには、大きなメリットがある。

ジャムス・牧原一博社長:
中古という新しく生まれた商品を買うのではなく、前に乗った人のリースを継承する。”リース継承システム”を我々が日本で最初に出したわけです

「売買」ではない「継承」 消費税や取引業者のコストがかからない

継承すればどんなメリットがあるのか?
牧原社長:
継承するだけですから売買ではないです。個人から個人へと受け渡される。これは消費税がかからないのです

通常の中古車リースの場合はまず、リース会社がオークション市場から仕入れる。

牧原社長:
中古車販売店から買って乗ると、まず消費税がかかります。また、オークション市場から買うのには、業者の利益が乗ります。お客の手元に渡る時にまた、ユーザーが支払う消費税がかかります。プラス、中古車自動車店だったら、店を運営したり人件費が必要だったり、そういったコストがかかります。つまり中古車は意外とコストがかかっている

「継承」はリース会社がすでに所有している車の利用者の変更だけで済むので、新たに中古車を買い入れる「仕入れ」の必要がない。

牧原社長:
ありとあらゆる中間コストが全部カットされるという形になるわけです。そういうものがバッサリなくなって、残りのリース料だけを支払えばいい

このサービスは窓口となる車の販売店にも大きなメリットがあるという。
福山自動車検査場・來山忍店長:
マイカーリースに関しては、車検や点検やオイル交換メンテナンスも全てついているので、当社は整備工場を中心として成り立っているので、整備の方でも収益が上がってくる

グレイス・黒飛幸洋社長:
お客もいい思い。売る方もいい思い。仕入れ先もいい思い。社会的にお金が回るシステム

しかし、ここで大切になるのが、中古のリースカーを乗り継いでくれる新たなユーザーをどのように探すかだ。その問題を解決したのが情報のDX化。

メタバース上に中古リースカーを “展示”

リースカーの情報は販売店が管理するユーザーに電子DMで送られる。

もっと車を探したい人は、メタバース上に作られた展示場で、解約予定のユーザーが登録したおよそ500台以上から車探しができる。

メタバース上の中古リース者展示場
メタバース上の中古リース者展示場

メタバース上にはリースの解約時期と価格を表示。車のリース代の残額を月単位で計算して価格が決定されるため、価格が車種の人気度合いなどに影響されない点が大きな特徴。

牧原社長はこのシステムを活用することで大手企業に対抗する地域の中小の自動車販売店の競争力の強化につながればと期待している。
牧原社長:
町の自動車屋さんが、笑顔でニコニコ商売ができるようになる。こういうことが喜びで、我々のやった感がでる

テレビ新広島コメンテーター・広島大学大学院 匹田篤准教授:
使用者が変わるだけで、リースをしている会社にとってみると、ずっとリースをしているという考え方。すごく斬新だと思います。ライフスタイルに合わせてクルマを選ぶとはいうものの、ライフスタイルの変化の速度が激しい。そんなときにレンタルとかシェアよりもより充実して、自分の好きな車に乗れる。すごく可能性が広がりますね

梶谷アナウンサー:
カーリース自体が車の持ち方の選択肢を広げるものだと思いますが、リースの継承が加わることで、クルマとのかかわり方も、もっと多様になると感じました。

梶谷アナウンサー
梶谷アナウンサー

モノを持たないライフスタイルが広がりを見せているが、車のような価格の高いモノで、消費税など売買にかかるコストがカットできると家計的にも助かるのではないだろうか。

(テレビ新広島)

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