避暑地・軽井沢で11日に開幕した女子プロゴルフのNEC軽井沢72ゴルフトーナメント。その舞台に復活を期すあの選手が帰って来た。

原英莉花(えりか)。173センチの長身を生かしたパワフルショットを武器にツアー通算4勝。実力と人気をあわせ持つトップ女子プロゴルファーだ。

しかし、2021年11月の大会を最後に勝利から遠ざかると、この頃から持病の腰痛に悩まされていた。

この記事の画像(9枚)

椎間板ヘルニアの手術を経て、ツアー戦線復帰を果たした原英莉花。ここまでの道のりとそこで味わった葛藤を、持ち前の明るさで語ってくれた。

右足の痺れ「感覚がない」

ーー今回手術に踏み切った経緯を教えてください。
元々2年半ぐらいヘルニアはあって、「いつか足に痺れがくるかもね」みたいな話があったんですけれども、今年の5月ぐらいから、足(の感覚)がぼんやりして「痺れてるかも」みたいな感じがあって、その中でもやっていたんですけど 、ついに起き上がるのも痛くなったので、ちょっと難しいなと思って、手術という形を取りました。
 

シーズンさなかの今年5月、椎間板ヘルニアの摘出手術に踏み切った原。現役のトッププロとして戦い続ける中での決断に、迷いはなかったのか治療に向けた胸中を聞いた。

「ここに戻って来れないかもって最初は思いました。1回休んだらもう無理な気がして。手術っていう、内視鏡っていう選択肢が自分の中でなかったので、良い先生に出会うことができてよかったんですけど、ほんとにその時は絶望でした」

――手術を受ける決断を精神面で支えたものは?
いや、それこそゴルフっていう、試合に戻りたいっていう気持ちで、その一心ですね。


さらに術後に待ち受けるのがリハビリだ。この期間を原はこう語る。

原選手インスタグラムより
原選手インスタグラムより

「右足の神経が結構やられてしまっていて、足に力が入らなかったりしていたので、まずは神経へのアプローチを電気とかを流しながらやったり、地道に足を動かすことをやったりしながら、1カ月ぐらい過ごしました。この"感覚がない感覚”を戻して、早く戻りたいと思っていました」

ーー感覚がないって、想像もつかないですが。
不思議ですよね。右足1本で立てないみたいな感じだったんですよ、不思議と。かかとを離せないみたいな。もう忘れましたけど(笑)。

術後始めて打った時の喜び

気丈に、そして明るい笑顔を交えながら当時のことを語る原。地道なリハビリを経て、術後1カ月ぶりにボールを打った感触を鮮明に覚えていると言う。

「感動はなんかすごかったです。1球目、めっちゃ幸せでした。『あー打ってる!』みたいな。へなちょこで、スピードも出ないんですけど、楽しかったですね。嬉しかったです。でも、ここから勝負するまでに持って行くっていう現実に戻った時に、ちょっとした不安はありました」

ーーどのあたりが一番不安でしたか?
スピードもどこまで出していけるのかなっていうのもありましたし、アプローチの感覚も、長い間やらないと「どういうふうになるんだろう」とか。「手の感覚が変わってたらどうしよう」とか思ったんですけど、「今までのことは捨てて新しく頑張ろう」と思いました。

復帰2戦目で目指すは「強気」

過去の自分を捨てる覚悟を持って挑んだリハビリ。そしてついに原は表舞台に帰ってきた。

先週の『北海道meijiカップ』で約3カ月ぶりにツアー復帰し、予選を突破。大会3日間を無事に完走した原は、復帰2戦目となる今回の軽井沢。開幕に先立ち、10日に行われたプロアマ大会で、復活を印象付ける300ヤードのパワフルショットを放った。

「思いっきり振りちぎりました(笑)。どこまで飛ばせるんだと思って。でもすごく飛んでいたのでびっくりしました、自分でも 」

ーー何ヤード飛んだか、覚えていますか?
300ヤードって言われました。よっしゃー!


ガッツポーズする原。

「まだ飛ばせるぜって(笑)」

そして迎えた大会初日。原は最終18番ボールで放ったセカンドショットがグリーンを転がるとそのままカップイン。ギャラリーを沸かすイーグルで締めトータル70、2アンダーの26位タイで発進した。

復帰2戦目、この大会で原が目指すゴルフとは。

「(フリップを出して)あきらめない!強気。自分の思い通りにいかないことも多いですし、めげたくなることありますけど、絶対にあきらめない強気のプレーを目指します。魂込めて1球1球打ちたいと思います」

大会2日目、原のさらなる強気のプレーに期待したい。

NEC軽井沢72ゴルフトーナメント2023
8月12日(土)午後3時~3時55分(生中継)
8月13日(日)午後4時~5時25分

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(9枚)