夏本番を迎え、肌の露出が増えるのにともなって増加するのが性犯罪だ。誰もが被害者になりうる卑劣な犯罪に、どのように対処すればいいのか。
福岡県警が開いている「誰でも簡単にできる護身術」の体験会を取材した。

“性犯罪”抑止のために警察官が声かけ

見回りをする私服警官
見回りをする私服警官
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7月21日午後10時ごろの福岡市城南区。

1人で出歩く女性に声をかける松尾香菜子巡査
1人で出歩く女性に声をかける松尾香菜子巡査

夜間の住宅街を歩く、男女2人の私服警察官。その内の一人、松尾香菜子巡査が、1人で歩いている女性に「今、1人でイヤホンしながら歩いて帰られてたから、危ないなと思って、お声がけしました」と声をかけた。夜間に1人で歩く女性たちに、性犯罪の被害に遭わないよう声かけを行っているのだ。

ーーどんな人に声かけをしている?

特別遊撃隊・松尾香菜子巡査:
夜間の道路上で、ひとり歩きで、スマホを扱いながらイヤホンで音楽を聴きながらなどの“ながら歩き中”の事案が発生しているので、そういった人に着目して声をかけています

肌の露出が多い夏は性犯罪が増加

被害が多いのは肌の露出が増える7月と8月
被害が多いのは肌の露出が増える7月と8月

福岡県内の強制性交や強制わいせつといった性犯罪の認知件数は、2022年で281件に上り、過去5年間の月別平均では、忘年会シーズンの12月のほか、肌の露出が増える7月と8月の被害がやはり多くなっている。

警察によると、被害を訴え出ない女性も多いため、実際の発生件数はさらに多いとみられている。

女性にも使える“護身術”を警察が伝授

突然、被害に遭うことが多い性犯罪から身を守るにはどうしたらいいのか…。警察が「ぜひ覚えてほしい」と訴えるのが、誰でも簡単にできるという護身術だ。

福岡県警のレクチャー:
相手が両手で手首をつかんでいます。これ結構、多いです。引きずり込まれるんですね。その場合は、引かれている手はこぶしで、とられたこぶしを反対の手でとって、テコの原理でぐっと上げる…

手首を両手でつかまれた場合、つかまれた方の手のこぶしを握り、逆の手をこぶしに重ね、肘を支点に上に引き抜く。逆の手を重ねることで力が増し、テコの原理で腕が抜けやすくなる。

実際に、新人の女性記者が体験した。

江川夕月記者:
両手で引かれた場合です。まったく手を抜くことができません。教えていただいたことを実践してみます。上に手を重ねて抜きます。こちらの手は利き手ではないんですが、上に手を重ねることによって、腕が引きやすかったです

また、相手に同じ側の手で手首をつかまれた場合は、手のひらを下に向け、自分の肘を相手の肘にぶつけるように振りほどく。反対側の手で手首をつかまれた場合は、手のひらを上に向け、わきを締め、肘を支点に親指の方向へ手を引くのが効果的だという。

体験会の参加者:
手首をひねったりとか簡単にできる内容だったので、日々意識して、日常で行っていきたいなと思います

体験会の参加者:
結構、女性同士でも力が強くって、できれば被害に遭いたくないですけど、(被害に遭った際に)できるかというのは結構難しいなと思いました

福岡県警 犯罪抑止対策室・下村篤史室長:
まずは防犯の意識をしっかりと持っていただいて、いつそういった状況が来てもおかしくない、自分がそういった立場に置かれるということを気持ちのどこかにおいて、周囲を警戒しながら歩いていただきたいと思っております

「魂の殺人」とも言われる性犯罪。夜間のひとり歩きの際には特に気をつけ、万が一被害に遭いそうになった時には、とにかく逃げることを最優先してほしいと警察は呼びかけている。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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