「バイデンもトランプも嫌だ」そんな声が聞こえてきそうな調査結果が明らかになった。
7月19日に米キニピアック大学の世論調査で、有権者のほぼ半数(47%)が、2024年の大統領選で二大政党以外の“第三の党”の候補に投票することを検討すると答えたことがわかった。

無党派層は6割超(64%)が“第三の党”の候補への投票を検討すると回答。一方で民主党支持層も35%、共和党支持層も38%と、二大政党支持者でもいずれも約4割が同様の回答だった。前回同様、民主党のバイデン大統領と共和党のトランプ前大統領による戦いが有力視される中、党派を超えて多くの有権者が両者の再戦に嫌気を示していることがうかがえる。

こうした調査結果は、“第三の党”の候補者擁立への後押しとなるのか。

実は“第三の党”候補擁立への動きはすでに始まっている。民主党のジョー・マンチン上院議員(ウエストバージニア州・75歳)や共和党で元ユタ州知事のジョン・ハンツマン氏(共和党)らで構成する超党派の第三政党「ノー・レーベルズ(No Labels)」は7月17日、ニューハンプシャー州で集会を開き、来年の大統領選での候補者擁立に向けて本格的に動き出した。

第三政党「ノー・レーベルズ」を設立したマンチン議員
第三政党「ノー・レーベルズ」を設立したマンチン議員
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集会でマンチン氏は「右翼も左翼も高みの見物をしていないで、一緒に仕事をしよう」と呼びかけ、民主、共和両党ではない「中道」の第三の選択肢として、来年の大統領選で候補者を擁立する考えを匂わせた。バイデン大統領の“身内“となるマンチン氏が旗振り役となり、再選に事実上「NO」を突きつけたことで党内には波紋が広がっていて、バイデン陣営も警戒を強めている。

民主党からは、すでにジョン・F・ケネディ元大統領の甥に当たるロバート・ケネディ・ジュニア氏が出馬を表明している。しかし再選を目指すバイデン氏にとっては、本戦で戦うことになり得る第三の政党の造反候補が、自らの再選を脅かす存在になるとして、周辺は戦々恐々としているという。

出馬を表明している民主党のロバート・ケネディ・ジュニア氏
出馬を表明している民主党のロバート・ケネディ・ジュニア氏

中道政策を掲げるマンチン氏は、民主党が上院で主導権を握れるかどうかのキーマンでもある。現在、連邦議会の上院(定数100)は民主党(無所属を含む)が51、共和党が49と民主党が過半数を維持している。マンチン氏は議会でも、政権が推し進める政策を巡って度々、バイデン氏に牙をむいてきた。もし大統領選にマンチン氏率いる“第三の党”が本格参戦すれば、民主党色が強いだけに、共和党候補よりも民主党候補の票を奪う存在になりかねない。現にバイデン氏は、2020年の大統領選で、ジョージア州やアリゾナ州、ウィスコンシン州でトランプ氏との得票差は1%未満だった。この3州でトランプ氏に逆転されていれば、選挙人は同数になっていた可能性もある。それだけに“第三の党”の出現は、バイデン氏の再選を脅かす存在となる可能性がある

中道派の政治団体「No Labels」は、実際に候補者を擁立するかどうかについては、大統領選の予備選が集中する来年3月頃まで決定しないとしている。しかしアメリカ国内で分断が深まる中、現状維持に嫌気を示している有権者に新たな選択肢を印象づければ、候補者擁立の後押しとなり、その動きはバイデン氏にとって逆風となる可能性もある。

(FNNワシントン支局 千田淳一)

千田淳一
千田淳一

FNNワシントン支局長。
1974年岩手県生まれ。福島テレビ・報道番組キャスター、県政キャップ、編集長を務めた。東日本大震災の発災後には、福島第一原発事故の現地取材・報道を指揮する。
フジテレビ入社後には熊本地震を現地取材したほか、報道局政治部への配属以降は、菅官房長官担当を始め、首相官邸、自民党担当、野党キャップなどを担当する。
記者歴は25年。2022年からワシントン支局長。現在は2024年米国大統領選挙に向けた取材や、中国の影響力が強まる国際社会情勢の分析や、安全保障政策などをフィールドワークにしている。