ロシアの民間軍事会社ワグネルのトップ、プリゴジン氏による武装反乱は「撤退」で終わった。南部の軍事施設占拠を明らかにしてから、わずか13時間での撤退表明だった。

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ワグネルが進軍…ロシア正規軍と交戦か

「ワグネル!ワグネル!」
市民から“ワグネルコール”があがるなか、日本時間25日朝、ワグネルの兵士たちがロシア南部の拠点から撤退した。なかには、戦車と一緒に写真を撮る市民の姿も見られた。

そして、プリゴジン氏が乗った車には、市民数人が駆け寄り握手を求めていた。

ロシア軍に部隊が攻撃された報復として、プリゴジン氏が南部ロストフ州の軍の司令部を占拠したと明らかにしたのは、現地時間24日午前7時半頃だった。その後、プリゴジン氏は、部隊を「首都モスクワに進軍させる」と述べた。

ワグネルの部隊は、ロシア正規軍と交戦したとみられ、アメリカのシンクタンク、戦争研究所は、ワグネルがヘリコプターなど8機を撃墜した可能性があるとした。

一方、プーチン大統領は緊急会見で「我々が直面しているのは裏切りだ」と述べ、プリゴジン氏の行動を武装反乱だと非難、鎮圧すると表明した。

ロシア国防省はモスクワ市内に軍事車両を出動させた。さらには、大統領専用機がモスクワからサンクトペテルブルク方面に飛び立ち、プーチン大統領が逃亡した可能性が報じられたが、ロシア大統領府はこれを否定した。

首都まで200キロ地点で「撤退」

世界が固唾を飲んで反乱の行方を見守るなか、事態が大きく動いたのは、プリゴジン氏が南部の軍事施設占拠を明らかにしてから約13時間後の午後8時半頃だった。

プリゴジン氏は音声メッセージで「我々はモスクワまで200キロの所に迫った。だが、ロシアの人の血が流れる責任を自覚し、部隊を方向転換させる」と、部隊を駐屯地に引き上げると表明した。

進軍後、宗教界や政界の大物が相次いでプーチン大統領の支持を表明していた。事態の打開には、ベラルーシのルカシェンコ大統領が仲介したとされている。ロシア大統領府のペスコフ報道官は、「プリゴジン氏への捜査は終結し、プリゴジン氏はベラルーシへ行くことになる。反乱した兵士は不問に付す」などと表明した。

アメリカの戦争研究所は今回の武装反乱について、「ロシア軍が多くの後方地域で予備兵力を欠いていることを示し、ほぼ間違いなくウクライナにいるロシア軍兵士の士気を低下させるだろう」との見方を示した。

(「イット!」6月25日放送より)

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