名古屋市中区栄の南大津通りで、2023年4月下旬から6月初めにかけて「歩行者天国」になった。非日常的な雰囲気を味わうことができる「ホコ天」には、訪れた人の気持ちをちょっと上げる力があるようだ。
コロナ禍を経て…4年ぶりに「ホコ天」が復活
たくさんの車が行きかう名古屋市中区栄の大津通が、日曜日の正午になると、栄交差点から矢場町北交差点の間の南大津通がホコ天＝「歩行者天国」になった。コロナ禍の影響で、ここで春の歩行者天国が開催されるのは4年ぶりだ。
楽しそうに動画を撮るカップルを見つけた。
男子高校生：
彼女がかわいすぎたので撮っちゃいました
友達の誕生日プレゼントを買いに来たという、初々しい高校生カップルだ。
男子高校生：
（ホコ天やっていることを）今日来て初めて知って。せっかくだから歩いてみようかなと思って。歩行者天国でテンション上がっちゃって。いい感じかなと思ったので撮ってみました
いつもはしないことをしたくなるのは、ホコ天の力かもしれない。
コスプレイヤーにも絶好の撮影場所 「おもしろい写真がいっぱい撮れる」
光を反射させるレフ板を使い本格的な撮影をしているスラリとした女性がいた。
プロのコスプレイヤーを目指しているという紫月（しつき）さん。
紫月メリーさん（23 三重県・コスプレイヤー）：
今日はポートレート撮影に。遊びに来ました。ホコ天狙って
この日は「ポートレート」という、人物メインの撮影をしていた。
紫月メリーさん：
楽しいですね。道路のど真ん中に立つってそうそうできないので。使うレンズによっては、だいぶ奥行きを凝縮して撮る撮り方もあるので、おもしろい写真がいっぱい撮れるのがいいところだなって、私は思います
子供も動物も楽しいホコ天 人が多すぎて「歩行者地獄」と呼ばれた歴史も
車が来る心配がないホコ天は、子供にとって遊び場のようだ。
母親と訪れていた8歳のみなと君と4歳のひかる君。
兄のみなとくん（8）：
楽しい
母親：
普段ね、歩けないとこだからね。前からここ行きたいって言ってたね
2人は道路にゴロゴロと横になった。
確かにホコ天でなければできない。
弟のひかる君（4）：
硬い！めっちゃ硬い！
天国ではなく地獄…1970年に始まった当初のホコ天
1970年に始まった南大津通のホコ天は当時、40万人もの人出で、歩くのも大変だった。
新聞に「歩行者地獄」という見出しまで躍ったという。
1984年に一度なくなったが、2012年から「春・秋」限定で再開し、コロナ禍による中断を経て2023年、「春のホコ天」が復活した。
楽しそうなのは、人間だけではない。フレンチブルドッグのオス、ぽのん君（3）も、いつもより広い散歩コースを堪能した。
飼い主の黒岩永充さん（48 名古屋市・会社員）：
うれしいね
妻の黒岩涼子さん（47 名古屋市・公務員）：
お散歩楽しいもんね
黒岩涼子さん：
普段車で通ると、歩道はすごい人で犬連れて歩けるような感じじゃないので、（ホコ天は）街の風景とか見ながら歩けるので、いいなと思います
黒岩永充さん：
人好きなので、この子が。テンション上がってるみたいです
アコーディオン教室に通う母と息子は“道の真ん中”でひと休み
通り沿いの店も屋台を出し、ホコ天にはイベントやお祭り会場のような雰囲気が漂う。
沿道には小腹が空いた時にぴったりなキッチンカーが出店していて、おやつを食べてちょっと休憩という人の姿も見られた。
豊山町から来たという親子も中央分離帯に座ってひと休み。
母の縄田敦子さん（44 豊山町・パート）：
公園行きたかったけど、ちょっと距離あるし、歩行者天国だから座っちゃえって
アコーディオンのレッスンで栄にやってきていた。結婚するまで保育士として働いていた縄田さんは、息子も大きくなり、また子供向けのボランティアがしたいと、2019年頃から栄でアコーディオンを習い始めたという。
縄田敦子さん：
（アコーディオンは）コロナの半年くらい前から、勢いで調べて、「ここにあるんでいっちゃえー」みたいな
息子の直都君（8）は、母親を誇らしく思っている。
縄田直都くん：
すごいなーと思う
縄田敦子さん：
本当！やったー
すぐ近くの教室で、演奏を披露してもらった。
縄田敦子さん：
ボロボロなんだけど！恥ずかしい～！
仲間と一緒にストリートライブを開くことが今の目標。ホコ天で演奏することがあるかも…。
普段着ないロリータ系の服でも「非日常」なら
白いロリータ系の服を着た女性をモデルに、写真を撮影する女性がいた。
撮影者の女性（32 豊橋市・会社員）：
「白昼夢」みたいな感じで撮れたらいいなあと思って
モデルの女性（26 名古屋市・アルバイト）：
普段はあんまり（ロリータ系の服は）着ないんですけど、せっかく撮られるならと思って新しいのを着てみました
撮影者の女性：
いろんな幅が、いろんな撮り方ができるので、いろんなアイデアも浮かんでくるし、面白いです
初めてホコ天を訪れた女子高校生はこの日が誕生日。
女子高校生（17 長久手市）：
今日誕生日なんで。セブンティーンです。17歳です
友人：
びっくりしました。車いないから
女子高校生：
いいですね。いい1年になりそうです。勉強と部活の両立
友人：
恋愛もですよね！
コロナ禍を経て、「日常」が戻ってきたからこそ感じる「非日常」。
ホコ天には、いつもの日曜日をちょっと特別にしてくれる、そんな力があった。
2023年6月5日放送
（東海テレビ）
