空気の輪を口から吐き出す「バブルリング」のパフォーマンスが人気だったシロイルカの「ケーリャ」が6月8日、天国へ旅立った。
「島根のおじさま」としてCMでバブルリングを披露し、しまね海洋館「アクアス」(島根・浜田市、江津市)の知名度アップにも貢献。2000年の開館以来、多くのファンを魅了し、アクアスを支えてきた人気者だった。

「島根のおじさま」としてファンを魅了

しまね海洋館アクアス スタッフ:
じゃあ、ケーリャくんも一緒にやりましょうか。そうすると、こんな風にバブルリングができるんです

「バブルリング」のパフォーマンスを披露する「シーリャ」(左)と「ケーリャ」(右)
「バブルリング」のパフォーマンスを披露する「シーリャ」(左)と「ケーリャ」(右)
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スタッフの合図で「バブルリング」のパフォーマンスを披露するのは、2頭のシロイルカ。2023年5月の大型連休にしまね海洋館「アクアス」を訪れると、大勢の親子連れがシロイルカのパフォーマンスプールにくぎ付けになっていた。息子の「シーリャ」と一緒にパフォーマンスを披露するのが、お父さんイルカの「ケーリャ」だ。

元気にバブルリングを見せてくれていた「ケーリャ」だったが、それから約1カ月後の6月8日、水槽の中で意識を失っているのが見つかり、その後、死んでいることが確認された。正確な年齢は分からないが、推定で25歳から27歳。人間だと70歳前後にあたるといい、「大往生」だった。

しまね海洋館アクアス・湊直樹館長:
シロイルカの寿命は明確なものはありませんが、30年から40年ではないかと言われていますので、推定年齢27歳というのは、精いっぱい生きた結果ではないかと私は思います

世界初と言われたパフォーマンス

「ケーリャ」がアクアスに来たのは1999年。開館の半年ほど前に仲間の3頭とともに、ロシアからやってきた。

当時の飼育スタッフ:
(移送されたので)次の段階は、とにかく餌を食べてくれることを願うばかりですね

「アクアス」に元気になじんだ「ケーリャ」
「アクアス」に元気になじんだ「ケーリャ」

そんなスタッフの心配をよそに、「アクアス」に元気になじんだ「ケーリャ」。次々にパフォーマンスを覚えたが、一番の見せ場になったのが「バブルリング」だ。イルカたちの「遊び」をきっかけに生まれたパフォーマンスで、水族館でトレーナーの指示のもとで演技するのは世界で初めてと言われた。

このパフォーマンスをきっかけに、2007年には大手携帯電話会社のCMに出演。「島根のおじさま」として「バブルリング」を披露すると、知名度は全国区になり、来館者増加に大きく貢献した。

「ケーリャありがとう」

さらに、オスの「シーリャ」とメスの「ミーリャ」の2頭をもうけ、お父さんになった。2頭の子どもはすくすく成長し、パフォーマンスでも共演。アクアスの人気者になっている。

しまね海洋館アクアス・湊直樹館長:
「シーリャ」、「ミーリャ」がその意をしっかり受けて、アクアスを盛り上げてくれると思います

「ケーリャ」の死因については現在調査中で、アクアスは感染症などの恐れもあることから、死因が判明するまで当分の間、シロイルカのパフォーマンスを中止している。

しまね海洋館アクアス・湊直樹館長:
この悲しみを超えて、みなさまに愛され、応援していただけるような水族館を目指して精進してまいります。「ケーリャありがとう」と言いたい

(TSKさんいん中央テレビ)

TSKさんいん中央テレビ
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