江戸時代から続く山形・新庄市の伝統的な絹織物で、何度か途絶えては復活するという歴史を繰り返してきた「新庄亀綾織(しんじょうかめあやおり)」。動き出した新たな挑戦を取材した。

京都の会社の援助で県産生糸が誕生

新庄市エコロジーガーデン原蚕の杜(げんさんのもり)は、手織りの絹織物「新庄亀綾織」を今に伝える活動拠点だ。

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新庄亀綾織伝承協会 広報部・沓澤沙優里部長:
もともと「山形県産の生糸を使って新庄亀綾織を織りたいよね」という話がありました

新庄亀綾織は中国産の生糸を使っているが、職人たちが抱いていたのは「県産の生糸でも」という思い。これまで可能性を探ってきたが、なかなかチャンスはめぐってこなかった。

そんな中、4年前の2019年に転機が訪れた。亀綾織に魅せられた京都の会社経営者が開発資金を援助し、お隣の最上町でフランス由来の蚕を飼育しセヴェンヌという生糸20kgが作られた。しかし、糸が完成した当時は職人の技術が追い付かず製作は見送りに。

2023年5月に着手 完成は9月頃

そして2023年、ようやく入会3年目と2年目の織り手2人が挑戦することになった。

岡山県出身の三宅由利子さんは2年前に協会に入会した。奈良の専門学校で技術を学び「手織り」の仕事を探していたところ、今まで見たことがなかった亀綾織の技法にひかれて新庄にやってきた。

新庄亀綾織伝承協会・三宅由利子さん:
中国産の生糸だとすんなりと馴染んでくれるんですけれど、セヴェンヌは我が強いというか、元の形に戻ろうとする、すごくしっかりしている糸です

県産の糸を使い三宅さんが織るのは長さ約13メートルの反物。5月10日に着手し、取材時には、1メートル80cm織り上がっていた。一日に織り上げられる長さは最長でも30cmほど。丁寧さと根気が求められる作業が続いていく。

新庄亀綾織伝承協会・三宅由利子さん:
8月末か9月頭には仕上がると思います。できるだけきれいな、私の技術でできる範囲でしっかりとした着尺を織ってあげたい。ちゃんと様子を見ながら最後まで織ってあげたいと思っていますね

身近な素材に「より気合が入る」

こう話すのはもう一人の織り手、2022年に協会に入った宮本麻衣さん。

新庄亀綾織伝承協会・宮本麻衣さん:
ただ、国産というだけではなくて県内の糸というのがあって、身近な感じなので気合が入りますね。普通の今までの中国の糸よりもだいぶ気合が入っています

この日は機(はた)に経糸(たていと)を設置する準備作業に追われていた。

織り手の交代などがあり、着手できていなかった県産生糸を使った反物製作。新庄亀綾織の歴史に新たな風を吹き込む純県内産の絹織物は、この秋完成する見込み。

(さくらんぼテレビ)

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