和歌山市の雑賀崎…という名前を聞くと、4月、岸田首相が漁港で襲撃された事件を思い浮かべる方も多いと思うが、この雑賀崎ではずっと「別の問題」が住民の頭を悩ませている。

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坂元龍斗キャスター:
和歌山市の雑賀崎漁港に来ています。漁港のすぐ近くに住宅が立ち並んでいます。イタリアの世界遺産・アマルフィに景色が似ていることから“日本のアマルフィ”と和歌山がPRをしている場所なんです。あちらが、岸田首相の襲撃された場所、漁港の下の辺りで、(ニュースなどで)報道された場所です

坂元龍斗キャスター:
今回お伝えしたいのが全く別の問題でして、ネットに囲まれました廃墟となっている旅館です。本当にもうボロボロの状態でして、大きな地震があったらいつ崩壊してもおかしくないなと感じますし、実際に、台風で物が飛んで他の家に当たってしまうという被害がすでにでているんですね。今回これを、税金で解体撤去するという事が決まったそうなんです

地元住民:
大きな物落ちてくるからね、窓枠とかコンクリとか

市が強制撤去へ…台風シーズンに間に合う?

問題となっているのは和歌山市雑賀崎にある、3階建てでのべ床面積は1000平方メートル近くある建物。建築された時期は不明。

旅館「太公望」として1975年ごろまで営業していたが、近くの高台に「新館」ができたのを機に使われなくなり、2014年には運営会社が経営破綻。

その後、所有者が死亡し、関係者が相続を放棄したため、所有者が“不在”の状態となっていた。

坂元龍斗キャスター:
廃墟となっている旅館の真下に来ているんですけども、これが崩れたら、確かにすぐ近くに家がこれだけあるんで、これは、本当に危ないなと思いますね

地域の住民達:
日常的にはガラスとかが、落ちてくるんやけどね。今、網とか張ってるけど、それをくぐってくるんかな~。台風強い風吹いてきたらね、あれみな剥がれてね、コンクリみんな全部剥がれてる、あれ全部下に落ちてるからもう、危ない危ない

和歌山市 尾花正啓市長:
調べたが、どう探しても(所有者が)出てこないので、もう市で代執行する形になると思います

ことし3月、和歌山市は法律に基づいて自治体が代わりに撤去を行う「略式代執行」の手続きに入った。

5月22日を期限に所有者に撤去を求める「公告」を行ったが、連絡はなかったということで、今後、正式に解体の手続きに移ることになる。

坂元龍斗キャスター:
今、階段を上ってる最中でこれだけ細い階段がありますので、観光として来ていただいても面白い場所ではあると思いますが、今、上の方にあがってきました。ここはどこかと言いますと、最初の中継場所から、階段を上ってきてネットの裏側。建物の屋上辺りを見ているという事になります。1975年に営業を終了して、40年から50年ほど手つかずの状態になってしまっているそうで、中は、こんな状態なんですね。こういった物が台風の時期になると飛散してという事が起こっている

坂元龍斗キャスター:
例えば、飲み物が置いてあるままになっていて、ラベルがすごい古い感じ、昔の物という感じがします。今お伝えしました通り運営会社が経営破綻し、関係者が相続放棄して、持ち主が不在という形になっているんですが、「略式代執行」にかかる費用は約7000万円かかるという事なんですね。国の費用が4割、和歌山市が4割、和歌山県が2割負担で、市としては約2800万円ほど税金で負担するという事になるそうです。それに関して、地元の皆さんは「すごく助かる、うれしい」と話されています

坂元龍斗キャスター:
今後の予定なのですが、6月にも解体作業を開始して、年内に解体完了という事なんですが、台風シーズンに間に合うかは分からないという事で、今お伝えしました通り、今の場所もありますし、大きな木材も残ったままですので、(木材)こういった物が飛んで家に当たらなければいいなと願うばかりです。全国の温泉旅館、スキーの旅館ですね、こういった場所がますます増えていって、こういった事態が増えていくのではないかと思います

この場所は地元住民にとって“本当に危ない場所”だという事が分かった。全国にはこういった「特定空家」と呼ばれる著しく危険、著しく景観を損ねる空家が約1万7600件ある。

(関西テレビ「newsランナー」5月23日放送)

関西テレビ
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