「閉院のお知らせ 当院は5月8日をもちまして閉院いたしました。通院いただいておりました患者さまには大変ご迷惑とご不安をおかけいたします」

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これは5月9日、ある妊婦の元に届いたメールの一部です。
送信したのは、東京・荒川区にある、「加藤産婦人科医院」。このメールが届く前日の8日に突然閉院してしまいました。

「めざまし8」が医院を訪ねると、入り口は閉ざされていました。

閉院を知って訪れたという女性は、「初産で元々不安だったところに重なったので。怒りたいところもある」と話します。

閉院する前のホームページには、「心身に寄り添い 女性のための かかりつけ医を目指します」と書かれていましたが、現在はトップページに「閉院のお知らせ」があるのみです。

患者も医院と連絡取れず…一時危険な状態になった人も

医院の前で立ち尽くす女性。今年の9月に出産予定だといいます。

貼り紙の前で立ち尽くしている
貼り紙の前で立ち尽くしている

妊娠6カ月の女性:
電話を医院にかけましたけど、ガイダンスが流れるだけなので…何もできないです。

健診ごとに撮影していたエコー写真のフォトブックを見せてくれました。

妊娠6カ月の女性:
次の産院で続けられるのか、これを見ることが結構楽しみだったり、それが続かなくなっちゃう可能性があるのは、嫌だなって思います。

さらに、医院と連絡が取れず、妻が一時危険な状態になったと訴える人も。

妻が7月に出産予定の男性:
妻が元々あんまりよろしくない症状が出てましたので、電話させていただいたんですけど、つながらなくて。他の医院の方で検診していただいたら、切迫早産の疑いがあるってことで。何かあったときに子どもと母親の2人の命を預かる、医院側としては、本当に不誠実な対応だと思います。

医院は、分娩の予約をしている人には転院のための紹介状を出すとしていますが、管轄する荒川区の保健所も、医院と連絡が取れず、区は急きょホームページに相談先などを知らせる対応をとりました。

「経営困難」「体調不良」謎に包まれた閉院理由

なぜ突然閉院することになったのか。医院の関係者に直接話を聞こうと試みましたが…。

ディレクター「フジテレビの者なのですが、少しお話をお伺いしてもよろしいですか?」
医院の関係者「分からないので…」
ディレクター「院長さんはお手すきですか?」
医院の関係者「…」

医院側から回答は得られず。

しかし、知人がこの医院に勤務していたという女性によると、勤務者には5月2日に閉院の説明があったといい、その理由を「経営困難のため」と話していたといいます。

さらに、娘が今月6日に検診に行く予定だったという医院の近所に住む人は、電話でこんなことを言われました。

医院の近所に住む人:
先生コロナになっちゃった
って言われたんですよ。予約取り直したいんですけど、って言ったんですよね、そしたら、「そういったこともお伝えできないので、ちょこちょこ電話してください」って言われたんですよ。

しかしその2日後、医院は突然閉院したのです。

また、ゴールデンウィークに、別の医院で出産したという女性は、4月に院長から直接、こんな説明を受けたといいます。

「実は体調が悪くて、これから病院に来られない方が多くなる。医師が少なく、(あなたは)初産だからどんなトラブルがあるか分からず、医療行為に万全の自信がない。紹介状を書くから紹介先で出産してください」

閉院の理由は「経営困難」だったのか…、それとも「院長の体調不良」だったのか。

医院の前で困惑する人々
医院の前で困惑する人々

通院していた妊婦から相次いで困惑の声が聞かれる中、医院からは一方的なメールなどの対応のみで、その真意はわかりません。

産婦人科医の宋美玄医師は、閉院の詳細は分からないとした上で、今回の病院側の対応についてこう話します。

宋美玄医師:
妊婦さんというのは、いつどういった状態の変化があるのか分からない。常にかかりつけという存在が必要なんですね。病院の方からこのような事情で閉院しますって言って、対応についても1人1人ご連絡を差し上げるべき案件だと思います。

(めざまし8 5月11日放送)