「通学路、安全ですか?」。鹿児島テレビと南日本新聞では2023年2月1日から7日まで、県内の危険と思われる通学路について情報提供を呼びかけたところ、視聴者、読者から合わせて約150件もの情報が寄せられた。

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市町村別に見ると、人口や学校が多い鹿児島市が一番多かったが、薩摩地方北部や、大隅半島では鹿屋市も目立った。さらに、離島の種子島や奄美大島の情報も寄せられた。
このうち鹿児島市では、市の南部に情報が密集している場所があり、これらは中山小学校の通学路に関する投稿だ。
児童1,400人を超える全国屈指のマンモス校。その通学路についての投稿には、「歩道が狭い」「いつか事故が起きる」「満員電車のような通学路」など危険を訴える言葉が並ぶ。

今回、鹿児島テレビでは、中山小学校の南北3つの通学路を検証、延べ11台のカメラで撮影した。危ないという情報が最も多かった県道。投稿を寄せた母親に話を聞いた。

「いつか事故が起きる」危険訴える声

投稿した女性:
ガードレールがない。狭い歩道は片側しかないのに人口密度が高い。悪い条件がそろっているかなと

小学1年生の息子に小型のカメラをつけてもらい、子どもの目線で通学路を見た。

息子:
ここからだね

歩き出して早速、狭い歩道になる。ただし、ガードレールが設置されているため、車との距離は確保されている。

息子:
ここからは広がるんです

さらに、その先は歩道が拡張されていて、安心して通ることができる。しかし、再び道幅が狭くなっていた。

安楽遥記者:
多くの児童・生徒がいて、歩道からはみ出す生徒もいます

中山小学校の全校児童は1,473人と、県内一のマンモス校だ。そのうえ、谷山北中学校の通学路と重なり、朝の時間帯は歩道を埋め尽くすほどの子どもたちが行き交う。

子どもの目線でも混雑しているのがわかる。歩道が狭いうえにガードレールもない場所。子どもたちがお互いをよけ合ったり、車道にはみ出したりする場面も多く見られた。

さらにその先には、歩道の先に標識があり、歩くスペースがほどんどない所もあった。

女性:
1回後ろ見て、車が来ないか後ろ見て

ーー 一緒に登校するのは交通的に危ないというのがあるから?

女性:
そうです。危険な箇所が多いので

過去に車にはねられる事故も

続いて検証した市道は、片側にしか歩道がなく、もう片方は狭い路肩となっているが、近くに横断歩道はない。

安楽遥記者:
大変、交通量の多い道路です。今、歩道のない側にいる児童が立ち止まって左右を確認しています。横断歩道がないところを児童が渡っていきました

狭い路肩をよけて、横断歩道がない場所を横断する児童の姿もあった。横断歩道のある交差点まで路肩を歩く子どももいたが、児童と車との距離はかなり近い。

小学生の子どもを持つ親:
歩道のない所を通ると、後ろから車が来るから見えなくて怖い。横断歩道はないが、ここの車道を走って安全な所から子どもをいつも送る形にしている

過去には、自転車で渡ろうとした児童が車にはねられる事故もあったという。

道路整備のめどは…

最後に、もう1つの県道を検証した。

安楽遥記者:
児童が3人、横並びで歩いています。1人は車道に出ている状態です

歩道がなく、道幅も狭いため、児童のすぐそばを車が通る。取材中も何度か危ないシーンが確認できた。多くの危険な箇所が確認された中山小の通学路では、安全対策はどうなっているのか?

3番目に検証した県道は、歩道がない場所の土地取得のめどが立ち、県が歩道を整備する予定だ。しかし、物理的に制約がある場所もあるという。

1カ所目の県道は土地の取得が進まず、道路を整備するめどが立っていない。2カ所目の市道については、学校が警察に横断歩道の設置を要望したが、歩行者が信号待ちするスペースが確保できず、設置は難しい。

中山小学校・廣森丈太郎校長:
鹿児島県や鹿児島市にお願いはしているところ。ただ、横断歩道をつけるにしても色々な制約や決まりがあるみたいで、なかなかそこは厳しい状況らしい。とにかく、命に関わることについては徹底指導しないと

関係者は、通学路の危険を認識してはいるものの、対策がなかなか進まないところもあり、学校や親が子どもへの指導を繰り返し、日々の安全を確保せざるを得ない現状があった。

(鹿児島テレビ)

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