鹿児島市出身のシンガーソングライター・長渕剛さん。全編鹿児島弁の「気張いやんせ」や、地元のシンボルへの熱き思いを歌った「桜島」など、鹿児島を題材にした作品も多い。2004年には桜島でオールナイトライブも開催された。
その長渕さんが2023年春、鹿児島市内の高校2校を訪れ、卒業を迎えた3年生を激励しようと歌声を届けた。ギターを弾きながら語りかけるライブは、生徒たちの胸に強く響いた。

鹿児島女子高の芸術鑑賞会でサプライズ

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2月27日、鹿児島市の鹿児島女子高校。卒業式を翌日に控える中、体育館に集まった全校生徒は、どこかそわそわしている。例年は開催されない「芸術鑑賞会」が始まるからだ。

そこに響いた「長渕剛さん、よろしくお願いします!」のアナウンス。大きな拍手と歓声の中、ギターを手にした長渕さんが登場した。

長渕剛さん:
来たよ、女子高に!僕でよかったかな?

生徒たちは大興奮。卒業生を激励するライブが始まった。体育館いっぱいに力強く響き渡ったのは、鹿児島の思い出を歌った「いつかの少年」。卒業生たちは真っすぐなまなざしで聴き入った。

そして、長渕さんが優しく語りかけた。

長渕剛さん:
あした(2月28日)卒業でしょ?おめでとう!きっとあしたの卒業式を終えると、福岡とか大阪とかに出て行く人たちも多いんじゃないかなと思うけど、待ってるからね。社会で一緒に戦うのを待ってるから

アンコールでは、マスクを外し、笑顔でコールアンドレスポンス。芸術鑑賞会という名のライブは予定の時間を大幅に過ぎて盛り上がり、生徒たちも興奮と感動に満ちていた。

生徒:
最高!心に響きました

生徒:
「コロナの時期を乗り越えたからこそ強い絆がある」と言ってくれた

生徒:
長渕さんも言っていたけど、鹿児島に帰って来てみんながいるっていうのがすごく心強いと思ったし、何度も帰ってきたいと思いました

体育館いっぱいにみんなの笑顔が広がっていた。

母校では卒業生と一丸となって叫ぶ

翌、2月28日。長渕さんの姿は鹿児島市の母校・鹿児島南高校にあった。この日が卒業式だ。3年間の思い出をかみしめながら式に臨んだ300人の生徒たち。

鹿児島南高校の石田尾行徳校長は2022年12月、「コロナ禍の中入学し、3年間をコロナとともに過ごした生徒たちに、大先輩からエールを送ってほしい」と、長渕さんに手紙を送った。長渕さんはこのオファーを快諾。後輩の門出を熱い歌声で激励することになった。

サングラスをかけた長渕さんは体育館後方の出入り口から入場。生徒たちの拍手の中、ステージに上った。サングラスを外し、ギターにハーモニカと、おなじみのスタイルの長渕さん。

「かわいい後輩たちよ、いくぞー!」と叫び、「俺らの家まで」を歌った。生徒たちから手拍子が起こった。

そしてステージから笑顔で後輩たちに呼びかけた。

長渕剛さん:
僕はもしも人生をもう一回やるとしたら、やっぱりここにもう一回戻ってきたいなと思うよ!今、君たちはまさしく人生の中で輝いているど真ん中にいるんだからね!

マスク不要の卒業式。体育館は大きな歓声に包まれた。

長渕さんは鹿児島南高校・情報処理科の出身。2009年、情報処理科の直属の後輩たちと一緒に作詞した曲がある。そのタイトルは「卒業」。卒業で友達と離ればなれになってしまう切なさ、悲しさをスローなメロディーで歌い上げた曲だ。

卒業生たちは肩を組み、左右に体を揺らしながら、長渕さんと一緒に万感の思いで歌った。中には涙ぐむ人も。

門出の日をサプライズで祝福してもらった卒業生たち。フィナーレでは長渕さんが卒業生の中に入り、声を張り上げた。

長渕剛さん:
南高校から全国に発信だ、けしんかぎい、きばっどー(死ぬ気で頑張るぞ)!

生徒たちも声をそろえて拳を突き上げ「きばっどー!」と、思い切り叫んだ。

入学してから卒業するまで学校生活の全てがコロナ禍と重なった3年生たち。多くの我慢を強いられてきた卒業生にとって、郷土の大先輩からの生歌、そして熱いメッセージは、そんな我慢のもやもやを一気に吹き飛ばす、最高のはなむけとなったに違いない。

(鹿児島テレビ)

鹿児島テレビ
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