「通学路、安全ですか?」鹿児島テレビと南日本新聞では2023年2月1日から7日まで、県内の危険と思われる通学路について情報提供を呼びかけた。

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寄せられた約150件の情報で「道が狭い」「歩道がない」に続いて多かったのが「車のスピード」について。通学路の多くは最高速度30km/hに規制されているが、実際はどれくらいのスピードが出ているのか、検証した。

速度制限を20km/hオーバーする車も

鹿児島市・玉江小学校の通学路。最高速度30km/hに規制されているこの通学路について「(車が)制限速度を超えて走行しています」との情報が寄せられた。取材班は、車がどのくらいの速度で走行しているのか、スピードガンで計測してみた。

時間によって一方通行になる鹿児島市・玉江小学校の通学路
時間によって一方通行になる鹿児島市・玉江小学校の通学路

朝の通学時間帯の午前7時からの1時間半、この道は一方通行となり鹿児島市街地方向にしか進めない。近くを走る国道3号を迂回(うかい)する抜け道にもなっており交通量が多くなる。

多くの車は30km程度で走行していたが…。

安楽遥記者:
車が児童のすぐそばを40km/hほどで通過していきました

さらに…

安楽遥記者:
(スピードガンでは)53km/hと表示されています。20km以上オーバーしています

一方通行でスピードが出しやすいこともあってか、制限速度を超えて走行する車もみられた。

児童を渡らせるために旗をかざすが…
児童を渡らせるために旗をかざすが…

通学保護員:
朝の早い時間帯は(車が)どんどんスピードを出す。旗を持って「すみません、止まってください」とやるが、子どもが渡ろうとしても止まらない。怖いですよ

通学路にある横断歩道は、山手の住宅地に住む児童が利用するが、通学保護員の存在が欠かせない。この日は確認できなかったが、朝は一方通行にもかかわらず逆走する車も少なくないという。

通学保護員:
逆走ですよね、(一方通行の)時間帯の逆走が多いですよ。標識を見ていない

下校時間は一方通行ではなくなるが車との距離が近くなる
下校時間は一方通行ではなくなるが車との距離が近くなる

下校の時間帯、午後3時。一方通行の規制がなく通行量は朝より増えている印象だ。

安楽遥記者:
児童が横並びで歩くすぐ横を車が通り過ぎていきます

道幅が狭いこの道路。車がすれ違う際に互いがスピードを落とすため30km/hを超える車はほとんどなかったが、その分、児童との距離が近くなるリスクがあった。

玉江小学校・有川武教頭:
毎年地域の方から(危険な通学路として)出される場所。体感としては少し速いかなとの感じは受ける。下校指導も行うが、朝は私と校長で交互に見回りをするように、自転車で走るようにしている

姶良市にもある危ない通学路

鹿児島市の隣、姶良市の姶良小学校の通学路にも、車のスピードを指摘する投稿があった。

安楽遥記者:
この車は40km/h以上出ています。制限速度から10km以上オーバーです。そしてそのままのスピードで児童のすぐそばを通り過ぎていきます

約700メートルにわたる直線の通学路。取材した午前7時からの1時間で、40km/hを超えて走る車が30台以上確認できた。

近くの住民:
全体的に速い気がする。皆さんスピードを出す。危ない

段差や路肩で速度を抑え安全を守る

速度規制が守られない通学路がある一方、道路整備が功を奏した通学路もある。鹿児島市・鴨池小学校の通学路は「ゾーン30」に指定されている。

ゾーン30に指定されている鴨池小学校の通学路
ゾーン30に指定されている鴨池小学校の通学路

安楽遥記者:
こちらの通学路は速度が30km/hに規制されているうえ、道路に車の速度を抑制するための段差が設置されています

ゾーン30とは通学路などがある地域一帯を最高速度30km/hに制限するもので、緑の道路表示を設けたり、路肩にポールを立てたりすることで、車の速度を抑え、歩行者の安全を守るのが目的だ。

パンプと呼ばれる段差
パンプと呼ばれる段差

さらに、この道路には「ハンプ」と呼ばれる段差も設置されている。段差を通る前にスピードを落とす車が多く、取材中に時速35kmを超える車は確認できなかった。

近くの住民:
結構スピードを出してくる車が多かったが、段差があることでスピードも緩和されてきたかなと感じるし、私自身も段差の前になるとスピード落とす

ほかにも「子どもが飛び出してきても止まれる速度になるので効果はあるのでは」との住民の声もあった。

近隣住民も効果を実感しているゾーン30。鹿児島テレビにはこのゾーン30の導入を望む声も数件あったが、ゾーン30の指定にはその場所で起きた事故の件数や交通量などの基準があり、すべての通学路に導入できるわけではない。

子どもの安全を守るため物理的な対策と合わせて、ドライバーのモラルが改めて問われている。

(鹿児島テレビ)

鹿児島テレビ
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