福井県小浜市の漁港周辺で3月、野生のイルカ1頭が定置網に入っているのを漁師が発見した。以来、2週間にわたって連日姿を現し、漁船に付きまとうなど人に慣れた様子を見せている。県内では2024年に野生イルカの人的被害が53件発生していて、同じイルカではないかと地元は警戒している。定置網に入りマグロをかじるなど、すでに漁業への影響も出ている。

漁船を見つけると“並走”するイルカ

野生イルカが毎日のように姿を見せているのは、小浜市宇久漁港の周辺。2週間ほど前、地元の漁師が定置網の中にイルカがいるのを発見した。「最初は定置網を出たり入ったりしていて、船で帰る時に並走してきて港の中にしばらくいた。毎日、船が出ると一緒に並走し戻るときも一緒に並走している状況。めちゃくちゃ人に慣れている。こんな慣れているイルカは初めて」と話す。

漁港内にイルカがいるのを漁師が発見(3月8日撮影)
漁港内にイルカがいるのを漁師が発見(3月8日撮影)
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マグロかじられる被害

今回、許可を得て福井テレビの記者が漁船に乗り込んだ。

撮影を開始すると、遠くにイルカの背びれを発見。だんだんと近付いてきたかと思うと、船のペースに合わせるように付いてくる。

漁船に接近する野生イルカ
漁船に接近する野生イルカ

「魚が入らない」漁業に影響か

漁師によると今のところ大きな被害はないが「生きていくためには食べないとだめやし…定置網の中でマグロをかじっていたから影響はある。沿岸でうろうろされると魚が怖がって網に魚が入らない」と頭を悩ませている。
   
漁業関係者らは今のところ対策は考えていないというが、漁に悪影響が出たり海水浴シーズンまで居付いたりするようであれば、県と相談して対応する方針だ。

漁船のすぐ近くを並走するように泳ぐイルカ
漁船のすぐ近くを並走するように泳ぐイルカ

福井県内では夏の海水浴シーズンに、3年前から野生のイルカが出没している。県内全域にわたっているが、2024年は敦賀半島を中心に出没。イルカが嫌う周波数の音を出したり、遊泳客に注意を呼び掛けたりと対策をしていたものの、県によると3年間で53人の人身被害があった。
   
今回、イルカが出没したのはさらに西の小浜市で、対策をしてこなかったエリアに出没していることが分かる。一連の被害を及ぼした“かみつきイルカ”と同じ個体かは分からないが、漁業や海水浴への影響を考えると、早急な対策が求められている。

福井県内でのイルカによる人的被害は3年で53件
福井県内でのイルカによる人的被害は3年で53件
福井テレビ
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