福井県の沿岸では近年、海水浴客が野生イルカにかみつかれるなどの被害が相次いだ。県は、そのイルカを特定し、6月に定置網に入ったところを捕獲し、発信器を装着した。ところが、7月に入り、イルカに取り付けられた発信機の信号が途絶えていることが分かった。
海水浴場は対策を強化
過去に観光客がイルカにかまれる被害もあった鷹巣海水浴場では、観光協会が安全対策を強化。7月10日の海開きに合わせて、イルカが嫌がるとされる超音波装置12台を設置し、見張り台から監視をすることにしている。

漁港に来た際に発信器を装着
県は、“かみつきイルカ”とみられる野生のイルカ1頭を特定。法律上、イルカの捕獲は原則禁止されているが、試験研究の目的で国の許可を得て、2025年6月、そのイルカが小浜市宇久漁港に入ってきた際、背びれに発信器を装着した。
発信機から送られるリアルタイムの位置情報を県内の行政や観光協会などで共有し、接近してきた際は場内アナウンスやSNSを通じて海水浴客に注意を呼び掛ける仕組みだ。

居場所が特定できず
ところが…
漁業関係者によると、そのイルカが“音信不通”になっているというのだ。
7月2日午後1時46分、敦賀湾で位置が確認されたのを最後に、7日まで位置情報が受信できない状態が続いていないという。
県に確認すると、その事実を認めたうえで▼イルカが海の中を深く潜っている▼発信機が外れたなどの可能性があるとした。

本格的な海水浴シーズンを前に突如、行方が分からなくなった“かみつきイルカ”。このままシーズンを終えることができるのか、その行方が注目される。