「通学路、安全ですか?」鹿児島テレビと南日本新聞社では2023年2月1日から7日まで、県内の危険と思われる通学路について情報提供を呼びかけ、約150件が寄せられた。
今回は県内各地から寄せられた「歩道」に関する情報を検証する。
歩道が突然“通行止め”に…
大隅半島の鹿屋市から「なぜか歩道が通行止め。一度車道に出る、何とも不思議な歩道」との投稿が寄せられた。

通行止めの歩道とは、どんな歩道なのだろうか。
現場は、鹿屋市今坂町の県道550号。西原台小学校や第一鹿屋中学校の通学路になっている。交通量も多いこの道沿いに、その歩道があった。

丸山純平記者:
(途中までは)十分余裕のある歩道ですが、突然ガードパイプがはみ出して、歩道がふさがれてしまいます

ゆとりのある歩道が突然、ガードパイプによって遮断されている。せっかく歩道があるのに「通るな」と言わんばかりだ。
朝の通学時間帯になると…

丸山純平記者:
今、小学生が遮断された歩道からいったん車道に出て、また歩道に戻っていきます
歩道は自転車も通行可能になっていて、自転車通学の中学生も利用する。ガードパイプで遮断された場所では一時的に車道にはみ出さざるを得ず、対向車とすれ違う時はかなり危険だ。

近所の人:
ペダルを縁石に引っ掛けて、転んだり、転びそうになったりする。非常に危ない。事故が起きてから動くかもしれないがそれでは遅い
さらに驚くことに、この県道では、わずか200mほど上った所にも歩道が途切れている場所があったのだ。

歩道は途切れ、路側帯に。その路側帯もどんどん狭くなり、人1人がやっと通れるほどに。一体、なぜこんな歩道が存在するのか。道路を管理する鹿児島県に尋ねてみた。

鹿児島県道路維持課・椎原賢次課長:
この道路は元々国道。1992年に鹿児島県に移管された。当時から、部分的に歩道がないところがあったようです
国道だったこの道路、取材した2カ所は、当時、国と地権者の折り合いがつかなかったとみられている。

1カ所目の、歩道が突然ガードパイプで遮断されたところについては、ガードパイプに囲まれている部分は個人の私有地で、事故などがあると地権者の責任になるため、県が通れないようにしたという。

代わりに設置されたのが、「その他の危険」を示す「!」マークの道路標識。下には「飛出し注意」の5文字が書かれている。現在、地権者と県は連絡を取り合っていて、県は歩道整備を前向きに検討したいとしている。

歩道が途切れ、路側帯が徐々に狭まっているところについては、学校などから危険箇所として上がってきていないため、県としても特に対策は検討していないということだ。
トンネルの出入り口…歩行者に気づきにくい通学路
続いて奄美大島から「トンネルを抜けてすぐ。観光客はスピードを緩めないことも。」との投稿だ。

島の南部・瀬戸内町にある国道58号。古仁屋小中学校の通学路は、片側にしか歩道がなく、子どもたちは横断歩道のない道路を渡らなければならない。

しかし、横断する道路は、島北部の奄美市方向から来る車にとってはトンネルを出た直後。南部の瀬戸内町方向からの車にとっては坂を上りきった場所にある。
ドライバーとしてこの道を通る投稿者は「(私は子どもたちのために)止まってあげたいと思うが、対向車が止まらなかった時が危ない」と話してくれた。

撮影中にも道路を渡ろうとした中学生がいた。1台をやり過ごした後、渡ろうとしたが、対向車線から車が1台来ており、一時的に道路の真ん中で立ち止まってしまう状況ができてしまった。
「なぜ、車は止まらないのか?」スタッフに現場に立ってもらい、ドライバーからの見え方を検証した。

トンネルから出てくる場合。スタッフは進行方向左側に立っているが、車に乗っていた記者やカメラマンからすると、「トンネルに気を取られていると分かりづらい」「黒い服の色だとわからない」といった意見が出た。
続いては、反対方向から坂を上ってその場所を通過する検証を行った。今度は進行方向右側にスタッフが立つ状況だ。

記者:
おーーー、これはギリギリまで気づかない
車からは、直前まで歩行者に気づきにくいことが分かった。
古仁屋小学校で話を聞いた。

古仁屋小学校・竹井敏秀教頭:
しっかりとその場所を見て、どういった対応が学校としてできるのか、自治体としてできるのかを検討する価値はある
「歩道がない」望まれる可能な限りの対策

危険な通学路はほかにもある。姶良市加治木町からは「川沿いの道路や橋の上に歩道がなく、車が行き来するタイミングによっては危険」という声が寄せられた。
南北600kmにわたる鹿児島県。子どもたちの数は少なくても危険な通学路は多い。

学校関係者からは「子ども数が少ないと対策の優先順位が下がりがち」といった声も聞かれたが、一番弱い子どもたちの立場になって、可能な限りの具体的な手だてをとることが求められている。
(鹿児島テレビ)