SNSを巡っては、高額な報酬をうたって犯罪の実行役を募る、いわゆる「闇バイト」が社会問題化している。経済的に困窮した若者が安易に応じるケースが相次ぐ中、福岡県警が犯罪の芽を摘む対策を強化している。

詐欺に気づいたら警察へ通報を

宗像市のコンビニエンスストア。1人の客が携帯電話で会話をしながら来店した。

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お目当ては「電子マネーカード」のようだ。客はカードを選び、店員に対して「3万円分の購入」を申し出た。すると店員は…。

コンビニの女性店員:
少し購入金額が高い気がします。使用目的を確認してもいいでしょうか

実はこれは、「特殊詐欺の被害」を防ぐための訓練の様子だ。店員はチェックシートを活用しながら警察に通報する流れを確認した。

コンビニの女性店員:
プリペイドカードの支払いになりますと詐欺が多いんですよ

宗像警察署・大久保哲生活安全課長:
ニセ電話詐欺については年齢、性別は問いません。若い方や女性も被害に遭っています。ぜひ皆さまご協力を頂いて警察への通報をよろしくお願いします

「闇バイトは破滅しかありません」

高齢者を中心に被害が後を絶たない「ニセ電話詐欺」や「オレオレ詐欺」。

福岡県内の2022年1年間の被害額は9億2,000万円以上と、前の年を1億円以上上回っている。

増加の背景にあると考えられているのが、「闇バイト」の存在だ。SNS上に大量に投稿されている「高額報酬」や「簡単な仕事」などの誘い文句に乗って応募した「闇バイト」の実行役が、事件を起こしているとみられている。

「闇バイト」の実態について、過去に特殊詐欺に加担した経験のある男性は…。

過去に特殊詐欺に加担した男性:
知人から「もうかる昼の仕事がある」ということで「高級時計をつけてみたりできるよ!」と言われた。そこで行われていたことが、融資保証金詐欺。最高月収で2,000万円ですね

特殊詐欺グループのリーダー格として逮捕され、懲役刑を受けた男性は、指示役にとって「闇バイトは切り捨て要員」「一度手を出すと個人情報などを奪われ抜け出せなくなる」と警鐘を鳴らす。

過去に特殊詐欺に加担した男性:
闇バイトに手を出すと破滅しかありません。加害者自身、加害者の家族、または被害者、被害者の家族全てを闇に落とします。それが闇バイト

県警が投稿する「警告文」

経済的に困窮した若者が手を出すケースが多いといわれる「闇バイト」。安易な気持ちで犯罪に加担するのを防ごうと、福岡県警は対策を強化している。今回、初めて取材が可能となった。

福岡県警・担当捜査員:
ニセ電話の受け子、出し子を募る可能性がある、短期間で高額な報酬をうたい文句としたSNS上の投稿を検索してます。数秒単位でどんどん投稿されてますね

捜査員は、SNS上で「闇バイト」の募集と思われる投稿をチェックしながら「警告文」を投稿していく。福岡県警では、2022年1年間に約1,800件の警告文を投稿していて、一定の効果をあげている。今回の取材中も警告文の投稿後、10分ほどで変化が現れた。

記者:
これはどういう意味ですか? 相手が削除したんですか?

福岡県警・担当捜査員:
はい、削除されています

記者:
送ったリプライに対してすぐにリアクションがある?

福岡県警・担当捜査員:
はい、見て、すぐ反応しています

被害が後を絶たない特殊詐欺への安易な加担を防ぐため、県警はこの春、SNS上での警告などを専門とする「予防対策係」を新設し、対策を強化する方針だ。

(テレビ西日本)

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