福岡市の海岸で26歳の男性が殺害された事件で、2月25日、大阪市に住む17歳の男子高校生が殺人の疑いで逮捕された。少しずつ見えてきた2人のつながりとは。

海岸で発見された遺体

プライバシー保護のため、その姿が隠された容疑者送検の様子。

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永松野々花記者(送検・2月26日福岡西署):
ブルーシートに隠され少年の姿は見えませんが、かすかに見える足元から車に乗り込んでいることが分かります

逮捕された男子高校生と殺害された男性の間に一体何があったのか。

2月17日、福岡市西区のJR今宿駅近くの長垂海岸で、住所、職業不詳の山本駿一さん(26)の遺体が発見された。

通報した男性:
見たら、すぐ分かったです。もう亡くなってるなと。唇が紫になってましたから。付近には練炭が3個、ワンカップの酒が3本くらいあった

山本さんの遺体は1人用とみられる折りたたみ式テントから上半身を出して、階段の壁にもたれかかった状態で発見され、そばには使用済みのものも混じった複数の練炭などが置かれていた。

さらに、首には直径1cmほどの荷造り用のロープが数回巻き付けられていた。捜査本部は、遺体の状況から殺人事件と断定。遺体発見から8日後、ついに事件が動いた。

福岡西警察署・佐伯光一署長(記者会見 2月25日):
本日、被疑者を殺人容疑で逮捕。高校生A男、17歳

殺人の疑いで逮捕されたのは、大阪市平野区に住む17歳の男子高校生。警察によると、2月17日明け方、山本さんの首をロープで絞め、窒息死させた疑いが持たれている。

「一緒に死のう」2人の接点

永松野々花記者:
大阪の少年と被害者を結び付けた接点は、SNS上での自殺に関する書き込みでした

福岡県警・有馬健一捜査一課長:
自殺関連サイトではありませんが、そのSNS上に書き込みがあった。その書き込みを通じて知り合った

「一緒に死のう」

2人は、事件の数日前、山本さんがSNS上に隠語で残した「自殺に関する書き込み」に、男子高校生が反応して知り合ったとみられている。

事件前日の2月16日、男子高校生は、大阪から新幹線で博多駅に移動したあと、福岡市内で山本さんと合流。その後、山本さんと公共交通機関などを使って現場の海岸まで向かい、犯行に及んだとみられている。

現場から押収された山本さんの携帯に残されたSNSのやりとりから、男子高校生が浮上。現場周辺の防犯カメラにも男子高校生が1人で歩いて去っていく様子が映されていた。大阪市内の自宅に捜査員が赴いた際、男子高校生は抵抗するそぶりを見せなかったという。

調べに対して男子高校生は「ロープで首を絞めたことについては間違いない。一緒に死ぬつもりだった」と容疑を認めているが、ではなぜ男子高校生は現場から立ち去り、帰宅したのか。警察が経緯などを慎重に調べを進めている。

SNSに自殺願望 繰り返される悲劇

SNSに自殺願望を書き込んだ若者が殺害される事件は後を絶たない。

記憶に残るのが、2017年10月に神奈川・座間市で発覚した事件。犯人の男は自殺を話題にしたSNSで知り合った男女9人を自宅アパートに誘い込み、次々に殺害した。
さらに2021年3月には、静岡・浜松市でSNSで知り合った女子中学生の自殺を手助けするなどして、福岡市の男が逮捕された。
また、2022年10月にも北海道・札幌市で、SNSで知り合ったとみられる女子大学生から依頼され殺害した疑いで男が逮捕されている。

警察庁は有害情報として自殺を勧誘する投稿を削除要請の対象にしているが、書き込みはまだまだなくなっていない。いたちごっこの状況ではあるが、サイト運営側が問題を放置していたら、また悲劇が繰り返されてしまう。

(テレビ西日本)

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