「銀河鉄道999」や「宇宙戦艦ヤマト」など数々の名作を世に送り出した漫画家・松本零士さんが2月、死去した。85歳だった。
松本零士さんと福井との縁は深い。敦賀市には作品キャラクターの銅像が日本一密集しており、松本さん本人も何度も福井県内を訪れていた。福井に残した足跡を、5年前の単独インタビュー映像とともに振り返る。
漫画のテーマは“永遠の命”
少年のように目を輝かせて宇宙について語る、漫画界の巨匠、松本零士さん。
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松本零士さん:
これが隕石ですね。持ってもらうと、その重さたるやすごい!
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5年前、福井市美術館で開かれる作品展を前に、松本さんは福井テレビの単独インタビューに応じていた。取材当時は80歳だったが、精力的に創作活動に打ち込んでいた。
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松本さんは1938年、福岡県に生を受けた。
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幼少期は日本が戦争へと向かう暗い時代。300万人ともいわれる戦争犠牲者、破壊される国土を子ども心に見せつけられたことが、全ての作品に大きな影響を与える原体験になったという。
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松本零士さん:
私のテーマは「永遠の命」というものが多い。命は生きるために生まれてくる。死ぬために生まれてくるはずはない
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父親は陸軍の戦闘機パイロットで、戦争中に多くの部下を失っている。父親は松本さんに命の大切さを何度も語っていた。
「直接見る」ということ
松本さんは、高校生の時に漫画家としてデビュー。
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漫画の神様、手塚治虫さんの元でアシスタントを務めたこともある。
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半世紀以上にわたって漫画を描き続ける松本さんが大切にしていたことは、「直接見る」ということだった。
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松本零士さん:
見たものは描ける。裏側を知っているのと、資料だけ見て描くのとは全然違う。だからいたるところで本物の景色を見る。福井に行くと、あそこに住みたいなどと感じる場所がいっぱいある。自然の環境を眺めるのが好き
「終わりなき侍」として…
敦賀市内には、作品に登場するキャラクターなどの銅像が置かれている。
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その数は28体あり、1つの街としては日本で最も多いといわれている。
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松本さんと敦賀との縁は1999年にさかのぼる。敦賀市が開港100周年事業の一つとして、鉄道の街を発信するため「銀河鉄道999」の作者、松本さんにオファーしたのが始まりだった。2007年には敦賀のイベントに訪れるなど、鉄道がつないだ縁を大切にしてきた。
松本さんと直接面識がある地元商店街の理事長はこう振り返る。
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敦賀駅前商店街振興組合 河藤正樹理事長:
これだけたくさんのモニュメントがあるのは敦賀だけなので、もっと盛り上げないといけないと言われた。私も感激して、活用策を考え続けている
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2016年には福井市の西武福井店で、2018年には福井市美術館で作品展が開かれ、県内の多くのファンが訪れた。
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ペンネーム「零士」の意味について、松本さんは「零」は「終わりのないゼロ」、「士」は「侍」を表しているという。
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5年前のインタビュー当時、80歳の年齢をものともせず「終わりなき侍」として最後まで漫画に打ち込み続けると話していた。
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松本零士さん:
まだ全ての作品が終わっていない。全ての作品は実は1つの物語という思いで、若いころから漫画を描いてきた。描き終わってエンドマークを書くとあの世に行きそうなので、まだ描きたくない。でも終わりまで書きたい
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85年の生涯を最後まで現役で走りぬいた松本零士さん。
生涯のテーマは「永遠の命」。その思いは漫画やアニメという形として人々の心に残り、昭和、平成、令和へと時代を超えて受け継がれている。
(福井テレビ)