トルコとシリアを襲った大きな地震から1週間が経ったが、がれきから人々を救い出す作業は難航している。犠牲者はこれまでにトルコとシリア・合わせて3万4000人を超えた。

シリアでは、そもそも重機がないという場所もあり、そのワケを現地に住む人たちに聞いた。

”重機”は1台 手作業でがれきを撤去

トルコと隣接する国シリア。

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その北部の「ジンディレス」という街では辺り一面、がれきの山。しかし、「重機」は1台だけで住民などが手作業でがれきを撤去している。ここに住むハッサンさんにこの街の現状を聞いた。

ハッサン・サイードさん:
救命において地震発生から最初の3日間が1秒を争う大事な時だが、この地域は完全に孤立していました。私たちはがれきの下の人たちに何もしてあげられない。…ただ、死体を探すだけ

トルコ以上に、物資などが不足しているとみられるシリア。アサド政権と、反政府勢力が争う内戦状態にあり、各国がアサド政権に対して「経済制裁」を行ったことで、元から重機などが少なかったとハッサンさんは話す。

さらに…内戦状態の中で、政府からの支援物資が「届く地域」と「届かない地域」があるという。

ハッサン・サイードさん:
トルコとつながる道が地震で壊れてしまいました。残念ながら、政府からの支援はありません。この地域はアサド政権支配に囲まれていて、国内の往来も閉ざされています

長引く内戦状態で支援に格差

自宅を失った人たちは、簡易のテントを組み立て、身を寄せ合っている。さらに、木の下で身一つで過ごす人も…。

こうした人たちを支援するため大阪に拠点を置くNPO法人「ピースオブシリア」の中野貴行代表は、クラウドファンディングを立ち上げた。資金を集めて、食糧・医療品・毛布・テントなどを届けたいとしている。

ピースオブシリア・中野貴行代表:
シリアという国自体が長引く戦争の中で、被害を受けて脆弱な状態にありました。さらに今回の地震で大きな被害を受けているような状況なので相当厳しい

中野代表は、これまでもシリアの中で最も支援が届きにくい場所に住む子どもたちに対して、教育の機会を届ける活動を行ってきた。そのノウハウを活用して、集めた支援物資を、シリアの中でも「支援が届きにくい場所」に運びたいとしている。

内戦が続く中での大きな地震はシリアにとって「ダブルパンチ」だと中野代表は話す。シリア国内で苦しむ全ての人に支援物資が行き届くよう、様々な課題を解決する必要がある。

トルコ南部を震源とする大地震発生から1週間、死者数は、3万4000人を超えた。特に支援が遅れ、孤立するシリアについてお伝えする。まず、なぜ支援が遅れているのか?

現地で支援活動を行っているハッサンさんによると、海外からの支援が届く、トルコとのルートが地震で遮断されているということだ。

さらに、シリアではアサド政権とさまざまな反体制派による内戦が続いており、地域によって支援に格差がある。シリアで支援活動を行う、ピースオブシリアの中野代表は、「街に物資はあるが、みんな買う金がない被災者には、毛布・防寒着などが必要で、今後どう生き抜けるかが課題」と話している。

関西テレビ 神崎博デスク:
(日本の)外務省はいま退避勧告を出していて、『シリアにいる人は避難して下さい』と言っています。だからシリアに日本から行こうとしても『ここに行くのはやめて下さい』という状況になっています。制限が掛かっている状態なので、日本から支援物資を持って現地に入るのは、とても難しい状況なんです

トルコ・シリア地震による被害を受けて、フジニュースネットワークでは、被害にあった方々の支援のため、サザエさん募金をを受け付けている。募金は、ユニセフを通じて、被災者へおくられる。振込はご覧の口座まで。

(関西テレビ「報道ランナー」2月13日放送)

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