感染者減でも警戒するワケ 

26日、東京都の新型コロナウイルス専門家会議が開かれ新規陽性者数の7日間平均は、前回の9771人から、5,993人に減少した、との分析が示された。

ただ、これまで主流であったオミクロン株BA.5 が49%まで減少、国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は「BF.7 」や「BQ.1.1」など亜系統への置き換わりが進むなかで「新規感染者数が再び増加する可能性がある」と警戒感を示した。 

東京都モニタリング会議(26日午後 都庁)
東京都モニタリング会議(26日午後 都庁)
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大曲氏は、BA.5から、他の亜系統への置き換わりに警戒感を示した。
大曲氏は、BA.5から、他の亜系統への置き換わりに警戒感を示した。

コロナ以外の病床はほぼ満床 

「感染症以外の病床は100%近い状況になっていますから」 東京都医師会の猪口副会長は、冬は通常医療の患者が増えるのでコロナ以外の病床は満床に近い状態、との現状を明かした。

猪口氏は、「感染症以外の病床は100%近い状況になっている」と危機感を示した。
猪口氏は、「感染症以外の病床は100%近い状況になっている」と危機感を示した。

今後の見通しについては「外国の例をみてもなかなか救急のひっ迫状態はなかなか変わらず、この現実をどうこなしていくかっていうのは我々の今の課題になっている」とコロナ対応と一般医療の両立の難しさを改めて訴えた。 

「救急車が一日あたり20台から多い日は30台きます」 

都の担当者によると都立病院でも、コロナ病床を確保するなかで一般医療の病床で利用率は95%ちかくまで上がる日もあるという。特に1月に入ってからは更に救急搬送が増えているという。 

ワクチンと入院費用はさすがに・・・本当に心配していることとは 

新型コロナを5月に感染症法上の「5類」にする方針が国からしめされた。 

「ワクチンと入院費用は、さすがに国も出すだろう」 都庁内では5類移行の話が出た当初からこのような声が聞かれた。 

東京都の「臨時医療施設」(去年2月 東京・荒川区)
東京都の「臨時医療施設」(去年2月 東京・荒川区)

では都が最も心配していることは何か、関係者にきくと「臨時医療施設」だという。 

都は、新型コロナの臨時医療施設を設置している。ここには介護の必要な高齢患者が、多い時には500人弱入所しているという。しかし「5類」に移行すると特措法の適用がなくなり、臨時の医療施設の設置根拠がなくなる。そうすると介護が必要な高齢のコロナ患者の行き場がなくなるのではないか、というのだ。 

また、介護の必要な高齢のコロナ患者を病院で引き受けた場合にも懸念があるという。 

「介護度が高い患者が病院に入院すれば、排泄物、床ずれ、徘徊の対応という高齢者施設の機能が病院に求められる事になる。そうすると病院は人手がとられ、一般医療の患者の受け入れ数が減るかもしれない」 

病床確保料出なければコロナ患者は受け入れない 

もう一つの懸念が「病床確保料」だという。現状では新型コロナ患者を受け入れる病院と受け入れない病院に分かれている。関係者は「コロナ患者を受け入れる病院は病床確保料が出ることが前提。(病床確保料が)出なければ受け入れないだろう」と話す。

感染症法の扱いが「5類」に移行されることで、「病症確保料」も懸念されているという。
感染症法の扱いが「5類」に移行されることで、「病症確保料」も懸念されているという。

つまり、全ての病院が新型コロナ患者を受け入れるようになる前に病床確保料を無くすとコロナ患者の行き場がなくなるのではないか、というのだ。 

「5類」への移行で高齢者への対応や病院のあり方をどうするのか、さらなる検討が求められているのではないか。

(フジテレビ社会部・都庁担当 小川美那)

社会部
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今、起きている事件、事故から社会問題まで、幅広い分野に渡って、正確かつ分かりやすく、時に深く掘り下げ、読者に伝えることをモットーとしております。
事件、事故、裁判から、医療、年金、運輸・交通・国土、教育、科学、宇宙、災害・防災など、幅広い分野をフォロー。天皇陛下など皇室の動向、都政から首都圏自治体の行政も担当。社会問題、調査報道については、分野の垣根を越えて取材に取り組んでいます。

小川美那
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「お役に立てれば幸いです」 見てくださる皆さんが“ワクワク&ドキドキ”しながら納得できる情報をお伝えしたい! そのなかから、より楽しく生き残っていくための“実用的なタネ”をシェアできたら嬉しいなあ、と思いつつ日々取材にあたっています。
フジテレビ報道局社会部記者兼解説委員。記者歴20年。
拉致被害者横田めぐみさんの娘・キムヘギョンさんを北朝鮮でテレビ単独取材、小池都知事誕生から現在まで都政取材継続中、AIJ巨額年金消失事件取材、TPP=環太平洋経済連携協定を国内外で取材、国政・都政などの選挙取材、のほか、永田町・霞が関で与野党問わず政治・経済分野を幅広く取材。
政治経済番組のプログラムディレクターとして番組制作も。
内閣府、財務省、金融庁、総務省、経産省、資源エネルギー庁、農水省、首相官邸、国会、財界(経団連・経済同友会・日商・東商)担当を経て現在は都庁担当。