春の終わりから夏にかけ再増加? 

「感染状況は改善傾向が続いている。」「入院患者数は減少傾向が続き、約8か月ぶりに1,000⼈を下回った。」東京都の新型コロナウイルスモニタリング会議では改善を示すコメントが並び、赤、オレンジ、黄色、緑の4段階で示す警戒レベルは、感染状況、医療提供体制とも下から2番目の黄色だ。 

「春の終わりから夏にかけて、ということはやはり想定しておくべきではないかと思っています」 しかし、今後の感染状況について、国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は、春の終わりから夏にかけて感染者数の再増加を想定しておくべき、との見方を示した。 

大曲氏は「春の終わりから夏にかけて」の感染増加に懸念を示した。 
大曲氏は「春の終わりから夏にかけて」の感染増加に懸念を示した。 
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理由は、去年12月から1月の感染拡大時に自然感染した人が感染後3ヶ月以上たつと再感染のリスクがあること、ワクチン効果が4か月程度であるからだという。 

確かにコロナ禍の都内では例年6月下旬から感染者数が増え出した。 また、都庁の担当者からも「夏は増えるだろう」「夏は確実に感染者が増える」といった声が多くきかれる。 

一方、国は5月から高齢者・基礎疾患のある人など“ハイリスク”者にワクチンをうつ方針だが、これは「感染拡大を抑える」というより「重症化予防」ひいては「死者を減らすための施策」とみられ、やはり感染者増加は避けられないのではないか、とも思われる。 

“救急搬送困難”は高止まり 

医療提供体制も改善し「通常の医療との両⽴が可能な状況である」としつつも東京都医師会の猪口正孝副会長は… 「救急の東京ルールは高止まりのままになっています」 と。

東京ルールとは救急搬送困難時に適用されるものだが、感染者数が減っている中、医療現場でなにが起きているのか。 「抗原検査で調べてみると、陰性で抗原定量とかPCR検査をしても陰性っていうような方がですね、1日2日経ってみると陽性だったというようなことが起きているんですね。 

猪口氏によると、救急搬送困難事案は「高止まり」の状態にあるという。
猪口氏によると、救急搬送困難事案は「高止まり」の状態にあるという。

そうすると、そういうことを経験した病院は、いきなり大部屋で見ることができませんので、個室で1日2日経過を見ます。その上で検査をしてはっきり陰性だってわかったならば大部屋に収容するので、今の救急が個室の数に限定されてしまっているんです」猪口副会長は「「個室の数=搬送受け入れ可能数」が救急搬送困難事例の高止まりにつながっている」と現状を話した。 

マスクだけでなくパーテーションも 

「実はパーテーション問題が大きい。リサイクル含め社会問題になるんじゃないか」 都庁幹部はこう話す。それもそのはず、西新宿の都庁舎内だけでもおよそ1万人の職員がいて、その人数に応じたパーテーションがある。

都庁内の職員用デスクで使用されているパーテーション
都庁内の職員用デスクで使用されているパーテーション

このパーテーションを巡り「窓口のような不特定多数が訪れる場所は置いたまま?」「いつも同じメンバーの執務室は外してよい?」「撤去後は保存するのか?」「感染の再拡大を考えると保管しておくべき」「保管場所は?」など、国の議論の結果を待ちつつ頭を悩ませているという。 

また、都はパーテーション設置に補助金を出してきたが、その設置先である飲食店などからも同様の声がきかれる。 

コロナの新常識とは 

「ポッケに一つマスクをしのばせておく、というのも必要なことだというふうにも思います」小池知事はマスクの着用が個人の判断にゆだねられるようになる13日以降もマスクを持ち歩くことが必要、と話した。 

東京都モニタリング会議の記者会見(2日午後 都庁)
東京都モニタリング会議の記者会見(2日午後 都庁)

「常時着用」から「持ち歩き」。マスク一つとっても“あらたなコロナの常識”に変わる中、自分にとっての“コロナ新常識”何が必要で何が不要なのか、見直す時期なのではないか。 

(フジテレビ社会部・都庁担当 小川美那)

社会部
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今、起きている事件、事故から社会問題まで、幅広い分野に渡って、正確かつ分かりやすく、時に深く掘り下げ、読者に伝えることをモットーとしております。
事件、事故、裁判から、医療、年金、運輸・交通・国土、教育、科学、宇宙、災害・防災など、幅広い分野をフォロー。天皇陛下など皇室の動向、都政から首都圏自治体の行政も担当。社会問題、調査報道については、分野の垣根を越えて取材に取り組んでいます。

小川美那
小川美那

「お役に立てれば幸いです」 見てくださる皆さんが“ワクワク&ドキドキ”しながら納得できる情報をお伝えしたい! そのなかから、より楽しく生き残っていくための“実用的なタネ”をシェアできたら嬉しいなあ、と思いつつ日々取材にあたっています。
フジテレビ報道局社会部記者兼解説委員。記者歴20年。
拉致被害者横田めぐみさんの娘・キムヘギョンさんを北朝鮮でテレビ単独取材、小池都知事誕生から現在まで都政取材継続中、AIJ巨額年金消失事件取材、TPP=環太平洋経済連携協定を国内外で取材、国政・都政などの選挙取材、のほか、永田町・霞が関で与野党問わず政治・経済分野を幅広く取材。
政治経済番組のプログラムディレクターとして番組制作も。
内閣府、財務省、金融庁、総務省、経産省、資源エネルギー庁、農水省、首相官邸、国会、財界(経団連・経済同友会・日商・東商)担当を経て現在は都庁担当。