二人のレジェンドの対談が実現した。
この記事の画像(31枚)内村・羽生:
よろしくお願いします!
羽生:
再会できて光栄です。
内村:
色々とお疲れ様でした!お互いに!(笑)
ロンドン五輪(2012年)とリオ五輪(2016年)で体操・個人総合2連覇を含む世界大会8連覇。夏の絶対王者・内村航平(34)。
ソチ五輪(2014年)と平昌五輪(2018年)でフィギュアスケート・男子シングル2連覇を含む数々の伝説的演技。冬の絶対王者・羽生結弦(28)。
採点競技において、“美しさ”と“強さ”を両立し、最強を極めてきた2人はこれまで、
羽生:
やっぱ内村さんとかかっこいいじゃないですか。
内村:
羽生くんしか(この壁は)越えられない。
互いにリスペクトしあい、「S-PARK」の取材カメラを通じてエールを送り合ってきた特別な間柄。過去に二人を取材した際にも、「羽生くんには僕は期待しかないです」と言う内村に対して、羽生も「(内村さんと)対談したいですね!」と語っていた。
その言葉を聞いて、いつしかこのレジェンド二人の対談を見てみたいと願ったファンも、多くいたに違いない。
それが、2022年ともに競技生活に終止符を打ったことで、“国宝級”とも言える対談が実現した。この記事ではその第1弾の模様をお伝えする。
金メダルに秘めたそれぞれの思い
第1弾のテーマはずばり「オリンピック」。
――この日の為に持参してもらった互いの金メダルコレクションについて
羽生:
夏のオリンピックってメダルが伝統的なものでいい。冬って毎回(デザインが)違うんですよね。
内村:
僕はなんか違う方がいいなって。ないものねだりなんでしょうけど。なんか冬のってカッコイイんだよなって毎回思ってて…今日見られてやっぱりカッコイイなって。
羽生:
ちょいちょいメダルにケースない時あるじゃないですか?分厚い手袋みたいなのに入れたりしましたね。
内村:
俺もうがぜんジップロック。
羽生:
ジップロックですか?傷つきそうで怖いですけど(笑)
内村:
(メダルそのものに)対しては大事じゃないかな。取ったことに対してはすごく大事だと思うけど。これに対しての価値はあまりないかなと自分の中では思う。
メダルに秘められていた意外な思い。
対談はさらに、お互いの演技を見て感じとった“衝撃”におよぶ。
内村:
(羽生の)平昌五輪の演技が忘れられなくて、自分のリオの個人総合も結構自分の中では、良かったなっていうのはあって、それ以上に人の演技を見てここまで衝撃を受けたのが今ままでなかった。
羽生が右足首の大ケガからの復帰戦で鬼気迫る演技を見せ、男子シングルで66年ぶりとなる五輪2連覇を達成した2018年の平昌オリンピック。
羽生:
あれは生と死を彷徨っているじゃないですけど、色々なことを覚悟した上での演技だった。でも体操見てても思いますよ、跳馬とかやってる時、死ぬんじゃないかなって。
内村:
やってる側も思ってる(笑)
羽生:
こうやって(腕伸ばして)スッていく瞬間から「それ本当に大丈夫?」って思いながら…。
内村:
今、行っていいのかダメなのか分からないまま行って「あ良かった!」みたいな時もあるし、「ダメだった…」っていう時もある。
羽生が語る“五輪の魔物”に内村「なにそれ!?」
そんな“オリンピックヒーロー”二人にどうしても聞きたい問い。
――オリンピックに魔物はいるのか?
羽生:
魔物はいますよね、間違いなく。
内村:
うん。出会ってしまった、俺は。でも出会ってないでしょ?
羽生:
僕、出会ってますよ。出会ってるけど「こんにちは!」って。
内村:
なにそれ!?めっちゃいいな、うらやましいな。「こんにちは!」って。
羽生:
「力いただきます!ありがとうございます!」って。
内村:
俺なんか首根っこつかまれてビシッとやられたけど…。
体操選手として無双状態で迎えた2012年のロンドン五輪。
内村は個人総合では自身初の金メダルを獲得したが、団体では思いの強さゆえに、その正確な演技に歪みがでて、結果は銀メダルに終わった。
当時、競技後のインタビューでもこう語っていた。
内村:
(五輪は)独特ですね。本当に魔物がすんでるような。
それに対し羽生はこう話す。
羽生:
でもいわゆるプレッシャーの一種じゃないですか。それこそ“オリンピック”って思えるやつじゃないですか。そんなにプレッシャー感じるんだったら、絶対に力でるなと思って。もらっちゃいましたね、僕は。
内村:
逆に…。意味分かんないですね(笑)
羽生:
ちなみに僕はソチ(五輪)団体戦のショートの時、コールがずっと「ロシア!ロシア!」って自分の演技前にあったんですけど、全然「ロシア」って聞こえてなくて、ずっと「ハニュウ」とか「ユヅル」とか言われてると思っててめっちゃ嬉しくて。
その言葉の通り、羽生の競技直前、会場には「ロシア!ロシア!ロシア!」の大声援が響き渡っていた。それでも…。
羽生:
「めっちゃ期待されてる。めっちゃ嬉しい」と思ってノーミスで帰ってきたら、すごく静かだったから、「あれ?期待されてたのに、なんでこんな静かなんだろう」って。
「あれロシアって言ってたのによくやったね」って言われました。
内村:
魔物も結局すべては自分が作り出している。自分に期待もしているし、国民にも期待されているし、準備も今までにないぐらいにできているし、そうなるのはしょうがないかなって思います。
内村「プレッシャーを求めていた」
そんな二人の話題は“勝ち続けるプレッシャー”に及ぶ。
羽生:
一般から見たら“内村航平”は本当に完璧です。
内村:
一時期そんな時もあったかな。
羽生:
そのプレッシャーすごく大変じゃないですか?それこそ世界選手権も何連覇もしていて。
内村:
嫌だというよりかは、シンプルに「もっとそう思って欲しい」という。
羽生:
カッコイイ!
内村:
もっとプレッシャーを求めていた感じはあった。
羽生:
カッコイイ!いつまでいけました?ちなみに。
内村:
やっぱりリオ(五輪)までかな。結果を残せたとなると。
それ以降も求めたけど、それに見合った練習が徐々にできなくなったり、ケガもあったり。そうなると「もっとできるはずなんだけどな」みたいなのがでてきて。(無敗で勝ち続けるのが)8年間ぐらいできたのは、プレッシャーに強かった証拠だったなのかなという気はする。
羽生:
スゴイですよ…
尽きることなく続く「レジェンド対談」。その第2弾では…
内村:
それがたぶん“過去一”のゾーン。
羽生:
跳んだ瞬間に時間止めて「軸ぶれてるから直そう」って思って。
内村:
僕の場合、ロボット司令塔系なんですよ。
スポーツ界の神ともいえる次元に達した二人による“至高の対話”は異次元の領域へと入って行く。
「S-PARK」
内村航平×羽生結弦 SP対談第2弾
1月15日(日)よる11時15分から