年の瀬の大掃除に備えて重曹やクエン酸を用意しているあなた。それぞれ、どんな汚れに使えば良いのか、きちんと知っているだろうか?
実はこんなツイートが話題になっているのだ。
重曹とクエン酸を混ぜると勢いよく泡が立ちますが、中和しちゃうので汚れはあまり落ちません。
Twitterに投稿したのは、洗剤などを製造する第一石鹸株式会社(@daiichisekken)の公式アカウント。「いいにくいことをいう日」とも呼ばれる11月29日にこうつぶやくと、たちまち大きな話題になり、1万3000いいねが付くまでとなったのだ(12月14日時点)。
この投稿に今まで重曹とクエン酸を混ぜて使っていたユーザーなどは相当なショックを受けたようで、「えええ!」「知らなかった」「嘘だろ…」など様々な反応が寄せられた。
それぞれ単独でお使い下さい
なぜ混ぜると汚れが落ちないのか? 理由についてはイラストの中で次のように説明している。

クエン酸に重曹を混ぜ合わせて水を加えると、中和反応により「二酸化炭素」の泡が勢いよく発生しますが、この泡自体にこびりついた汚れを洗浄する効果はありません。これらを混ぜ合わせるとお互いの洗浄効果を打ち消しあってしまうため、製品をお使いになる時は、それぞれ単独でお使いください。
同社公式サイトでは、クエン酸と重曹に加え、セスキ炭酸ソーダと過炭酸ナトリウムの使い分けについても詳しく解説している。クエン酸はその名の通り酸性で、得意分野は「水アカ」と「消臭効果」。対する重曹は弱アルカリ性で、「鍋のコゲ落とし」「研磨剤」「消臭効果」に威力を発揮するそうだ。
なおクエン酸と重曹ともに「消臭」の効果はあるが、中和する対象が異なる。クエン酸はアルカリ性のニオイ(アンモニア臭・生臭いニオイ)で、重曹は酸性のニオイ(足、靴から発生するニオイ)を中和消臭するという。

重曹とクエン酸の「時間差攻撃」がオススメ
公式Twitterは「弊HPでは時間差攻撃を推奨しています」とも投稿していたが、それは一体どんな方法なのか? 重曹とクエン酸を混ぜると出てくる「泡」に、本当に洗浄効果がないのかもしっかり知りたい。
気になる点を第一石鹸の担当者に聞いてみた。
――今回のツイートをした狙いは?間違った使い方をしている人が多いの?
弊社は業界の中でも過去の販売実績が長いため、ポイントを整理し使用方法等をHPに掲載し、製品パッケージでも注意表示をできるだけ分かりやすくお伝えすることに取り組んでおります。今回のツイートもその一環として行ったものですが、結果としてそのような使い方をしていた、という声も多数いただきました。
――具体的に、重曹とクエン酸の「時間差攻撃」とはどのようなもの?
「時間差攻撃」は、HPに書かれている下のような排水口への使い方を想定したものです。
【排水口のヌメリやニオイの取り方:カップ1杯の重曹を排水口に振り入れ、15分以上放置します。 汚れがひどい時には、クエン酸カップ1/2杯を加え、お湯を入れ発泡し始めたら15分以上放置し、泡が消えるのを待ちます。その後40〜50℃のお湯※で洗い流すと効果的です。】
※熱湯を流すとキッチン等の配管を傷める可能性があります。

――重曹とクエン酸を混ぜると出る泡には何の効果もないの?
炭酸ガス(二酸化炭素)は空気中に存在するもので、水の中で発生することにより物理的な接触などで軽質汚れを浮かび上がらせることは考えられますが、泡そのものでこびりつき(固化した状態)の汚れを落とすことは弊社では確認できておりません。
――なぜ重曹は研磨・消臭に、クエン酸は水垢・消臭に効果がある?
酸性汚れ(油が酸化する等)、アルカリ性の汚れ(水垢が固化する等)はそれぞれ逆の液性を持つ洗浄剤により、こびりつき(固くなった状態)を分解し柔らかくする事が重要です。洗浄剤が中和されてしまうと液性が中性領域にふれますので、その分の効果がなくなります。同様に酸性・アルカリ性の特質を持つ悪臭に対しても、逆の液性の洗浄剤により中和消臭の作用が働きます。
「セスキ炭酸ソーダ」と「過炭酸ナトリウム」が得意な掃除は?
同社のサイトで解説している、セスキ炭酸ソーダと過炭酸ナトリウム、そして重曹はみな弱アルカリ性なのだが、なぜ効果が違うのか? どのように効果を覚えれば良いのかについても聞いてみた。
――重曹・セスキ炭酸ソーダ・過炭酸ナトリウムはみな「弱アルカリ性」なのに、なぜ効果が違う?
弱アルカリ性と分類される中でもそれぞれの水素イオン濃度(pH)が異なり、固化(酸化)した油汚れにはアルカリ度が高い方が効果を発揮します。一方手肌の影響も高くなりますのでご注意ください。重曹は研磨しやすく、過炭酸ナトリムは漂白力(色素汚れ)や除菌力が高いのですが、水と反応し分解しやすい性質があります。それぞれの目的・用途に合わせて使い分けてください。

――それぞれの効果の違いを簡単に理解するにはどうしたらいい?
アルカリ性の特質を持つ汚れ(石鹸カス・水垢等)は酸性のクエン酸で分解する、茶シブ・焦げ付きなどは重曹で研磨。
頑固な油はセスキで分解。
水に溶かして漂白・除菌は過炭酸ナトリウムがお勧めです。
いずれも、弊社HPや製品表示をよく確認いただき、変色など適さない材質もあることもご理解をお願いします。
重曹とクエン酸を混ぜると勢いよく泡が立ちますが、中和しちゃうので汚れはあまり落ちません。#いいにくいことをいう日 pic.twitter.com/3zhWkNN8X0
— 第一石鹸株式会社【公式】 (@daiichisekken) November 29, 2022
最近では大掃除を寒くなる前に行うこともあるようだが、年末ギリギリに済ます人も多いのではないだろうか。これらの情報を参考に、今年の大掃除はさらなるキレイを目指してほしい。