フライパンを熱々にして、汚れを冷たい水で洗い流したことはないだろうか。実は製品の寿命を縮めるような行為だと、Twitterで話題になっている。

実際のつぶやき(和平フレイズの公式アカウントより)
実際のつぶやき(和平フレイズの公式アカウントより)
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きっかけは、調理用品メーカー「和平フレイズ」の公式アカウント(@waheifreiz)のつぶやき。11月21日、流行していたハッシュタグ「#大事な事なので5回言います」を付けて、「使用後すぐにフライパンを急冷しない」と注意喚起したのだ。さらに「あのジュ~はふっ素樹脂の表面が傷む原因になりますので、すぐに水をかけないで」ともした。

意外な落とし穴に、ユーザーからは「楽しくてやってしまうわ」「料理で一番楽しいとこなのに…」といった反応が続出。投稿には6万2000以上のいいねがついた(11月24日時点)。

水で洗い流したくなるがNG(提供:和平フレイズ)
水で洗い流したくなるがNG(提供:和平フレイズ)

使用後のフライパンは汚れがこびりつき、水を入れると「ジュ~」と音が聞こえることがある。汚れが落ちていそうな気もするが、よくないことのようだ。ただ、そうなると正しい洗い方や調理時の注意点が気になるところ。

急な冷却はフライパンを「収縮」させる

水がだめならお湯で洗うのはどうなのだろう。調理で液体調味料を熱したりする時にも「ジュ~」と聞こえるが、問題ないのだろうか。疑問点を和平フレイズの担当者に聞いた。

フライパンは加熱で膨張する(提供:和平フレイズ)
フライパンは加熱で膨張する(提供:和平フレイズ)

――フライパンの急冷が傷む原因になるのはなぜ?

フライパンは加熱で膨張するので、その後に急な冷却があると製品本体に「収縮」が起きてしまい、本体の変形や塗装面(表面)の剥がれにつながる恐れがあります。洗い物は毎日のようにするので、積み重なると劣化の原因になってしまいます。


――傷むとどうなる?見た目などで判断できる?

フッ素樹脂などの加工が劣化するので、焦げつく場所、焦げ付かない場所がまだらに出てくることも考えられます。見た目での判断は難しいですが、使用時にこびりつきやすくなります。

調理での蒸し焼きは大丈夫?(画像はイメージ)
調理での蒸し焼きは大丈夫?(画像はイメージ)

――急冷はどのフライパンにも良くないの?

こびりつきにくくするための加工が施されているものは特に注意が必要です。鉄製(中華鍋など)は熱に対する耐久性が高いですが、空炊き状態で水をかけると高温の蒸気が発生します。やけどや本体の変形につながるので、(どれでも)行わないことを勧めます。


――液体調味料や蒸し焼きで水を熱するのはどう?

頻度が多くなければ問題ありません。

洗うのは火元から離して“一呼吸”してから

――調理の汚れを落とせる、お勧めの洗い方は?

洗う際はフライパンが十分冷えてから洗ってください。火元から離して、一呼吸(最低でも2分程度)してからのお手入れをお勧めします。目安は手で触れるくらいでしょうか。その後は柔らかいスポンジと中性洗剤で十分に洗ってください。急冷を避けるためにお湯で洗うのはお勧めです。ただ、熱湯はやけどの恐れがあるためお勧めできません。

フライパンの洗い方にも注意(提供:和平フレイズ)
フライパンの洗い方にも注意(提供:和平フレイズ)

――逆に勧められない、洗い方はある? 

まずは、使用後すぐに裏面(底面)から水をかけて洗うこと。裏側からでも急冷されると、熱の急激な変化による変形を引き起こしてしまうことにつながります。次に食器洗浄機で洗うこと。ハンドルに水が浸入してしまい、腐食などのトラブルに繋がる可能性があります(ハンドルが取れるタイプでしたら大丈夫です)。このほか、スポンジの硬い面やスチールたわしや磨き粉の使用にも注意してください。表面の加工が痛む原因になります。


――洗剤や水でつけおきするのは問題ない?

フライパンに溜めるのは問題ありません。こびりつきは無理に落とそうとするとフッ素樹脂加工を傷つける恐れがあるので、水に浸して柔らかくしてからスポンジで擦り洗いしてください。ただ、洗い桶に本体を丸ごとつけると、ハンドルの取付金具に水が浸入して腐食につながります。

フライパンが長持ちする5つのポイント

――フライパンが長持ちするポイントを教えて。

5つお伝えします。(1)急冷しないこと。急激な温度差はフライパンが悲鳴をあげます。傷む原因となるので、熱々のままではなく少し時間を置いてからお手入れしてください。(2)保存は一昼夜まで。フッ素樹脂加工には目に見えない小さな穴が存在します。そのため、調理したものを長期間保存すると、塩分などの成分が徐々に染み込んで、加工がはがれる原因になります。保存容器などに移していただくのが好ましいですが、保存は一昼夜を目安にお願いします。

調理したものの保存にも注意(提供:和平フレイズ)
調理したものの保存にも注意(提供:和平フレイズ)

――そのほかにはどんなポイントがある?続きを教えて。

(3)使用ごとに油を薄く引くこと。油を引くと急激な温度変化を抑えられるので長持ちします。焦げ付きやすくなってきてからではなく、新品のうちから引くことをお勧めします。「油を引かなくてOK」とある製品もありますが、当社としてはお勧めしていません。

(4)調理は中火以下ですること。急激な温度上昇が起こらないよう、調理は中火以下の火力ですることをお勧めします。コンロを使う場合は、炎が底面からはみ出さないように使用するのがお勧めです。炎がはみ出ると取っ手に当たって焦げる場合があり、危険でもあります。

キッチンツールの使用にも注意(提供:和平フレイズ)
キッチンツールの使用にも注意(提供:和平フレイズ)

(5)鋭利なものは使用を避けること。フライパンの表面に傷が付くと、そこから加工のはがれが起こります。金属製のキッチンツールは、金属製が使用可能と明記されているフライパンでのみ使えます。その際は表面を傷付けにくい、角の丸い滑らかなものをお使い下さい。木製や耐熱樹脂製のツールを使うと表面の加工が長持ちします。

フライパンの寿命は使い方に影響されるため、高価なものが必ずしも長持ちすると断定はできません。


――Twitterで話題となった受け止めを聞かせて。

フライパンは誤った使い方を続けると、劣化のスピードも早まります。決して、安い買い物ではないと思いますので、当社が「また言ってるよ」と言われるくらいまで、認識が広がればいいですね。

熱々のフライパンに水を入れたときの「ジュ~」。音の響きの良さもあり、やってしまう人もいるだろうが、どのフライパンでも本体に負担をかけていることは覚えておきたい。